2008年09月03日

わたしを離さないで


わたしを離さないで
著者名:カズオ・イシグロ(著)
     土屋政雄(訳)
出版社:早川書房
出版年:2008.08
ISBN :9784151200519


 『このミス2007年版』の海外編で10位にランクインした作品であるが、ミステリと呼ぶには違和感あり。

 確かに謎めいた物語であり、徐々にその謎が明らかになってくるところに妙味があるのだが、別に論理的な謎解きがあるわけじゃない。“謎”はストーリーテリングの道具であって、作品の本質は別のところにある。ジャンル分けにどれほどの意味があるかはさておいて、やはりミステリとかエンタメというより、純文学と呼ぶにふさわしいだろう。


・内容
優秀な介護人キャシー・Hは「提供者」と呼ばれる人々の世話をしている。生まれ育った施設ヘールシャムの親友トミーやルースも提供者だった。キャシーは施設での奇妙な日々に思いをめぐらす。図画工作に力を入れた授業、毎週の健康診断、保護官と呼ばれる教師たちのぎこちない態度…。彼女の回想はヘールシャムの残酷な真実を明かしていく―全読書人の魂を揺さぶる、ブッカー賞作家の新たなる代表作。
(「BOOK」データベースより)


 ネタバレになるので詳細は書かないが、上の「内容」を読んで、どういう世界設定の物語か、想像つく人もいるだろう。

 で、このような設定は、別の小説や映画でも例があり、それ自体に衝撃や驚きはない。しかし、その設定が活かされているという意味では、素晴らしい。

 こんな世界はやっぱり嫌だよ。辛すぎる。

 心震える青春小説。命の意味、人生の意味を静かに問いかける1冊。読後、もの凄く切なくなる。


 次は『銀河英雄伝説10落日篇』(田中芳樹・著/創元SF文庫)。
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2008年05月11日

河岸忘日抄


河岸忘日抄
著者名:堀江敏幸(著)
出版社:新潮社
出版年:2008.04
ISBN :9784101294735


・内容
ためらいつづけることの、何という贅沢―。ひとりの老人の世話で、異国のとある河岸に繋留された船に住むことになった「彼」は、古い家具とレコードが整然と並ぶリビングを珈琲の香りで満たしながら、本を読み、時折訪れる郵便配達夫と語らう。ゆるやかに流れる時間のなかで、日を忘れるために。動かぬ船内で言葉を紡ぎつつ、なおどこかへの移動を試みる傑作長編小説。
(「BOOK」データベースより)

 決断したり、判断したり、覚悟を決めたりすることの、ある意味での“安易さ”よりも、考え続けること、迷い続けることの誠実さを静かに語るような作品。

 ただ、作品中で紹介される他の小説や物語、「彼」の生活の具体的なエピソードはなかなか良いのだが、「彼」の思索の道筋が僕には難しくて、いささか退屈してしまった。

 堀江氏の作品は4つめで、『熊の敷石』と『雪沼とその周辺』はマル、『いつか王子駅で』と『河岸忘日抄』はバツ。この人の場合、短編の方が性に合うようだ。


 次は、『居眠り磐音 江戸双紙 遠霞ノ峠』と『居眠り磐音 江戸双紙 朝虹ノ島』(佐伯泰英・著/双葉文庫)
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2008年05月01日

きいろいゾウ


きいろいゾウ
著者名:西加奈子(著)
出版社:小学館
出版年:2008.03
ISBN :9784094082517


 この作品を純文学にカテゴライズすることには異論もあろう(笑)。


・内容
夫の名は武辜歩、妻の名は妻利愛子。お互いを「ムコさん」「ツマ」と呼び合う都会の若夫婦が、田舎にやってきたところから物語は始まる。背中に大きな鳥のタトゥーがある売れない小説家のムコは、周囲の生き物(犬、蜘蛛、鳥、花、木など)の声が聞こえてしまう過剰なエネルギーに溢れた明るいツマをやさしく見守っていた。夏から始まった二人の話は、ゆっくりと進んでいくが、ある冬の日、ムコはツマを残して東京へと向かう。それは、背中の大きな鳥に纏わるある出来事に導かれてのものだった―。
(「BOOK」データベースより)


 前半部、この人、マジ天才と思ったわ。

 この伸びやかで、あっけらかんとして、ユーモアが滲み出る文体はいったい何や!?

 読んでて幸せだった。

 初読みで、いい人に巡りあえたわぁ〜てな感じで。

 ただ、物語が動き出すと転調してしまう。“純文学”っぽい感じ(少々ハルキもどき?)の平凡な小説になってしまった。ちょっと観念的に過ぎるというか。

 最後にまた元の調子に戻るんやけどね。

 でも。前半部だけでも読む価値あり。

 他の作品も読んでみよ。


 次は『銀河英雄伝説8乱離篇』(田中芳樹・著/創元SF文庫)。
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2007年11月09日

その名にちなんで


その名にちなんで
著者名:ジュンパ・ラヒリ(著)
     小川高義(訳)
出版社:新潮社
出版年:2007.10
ISBN :9784102142127


 彼の名は「ゴーゴリ」。

 父アショケと母アシマはインド出身、自身はアメリカ生まれのアメリカ育ち。なのに、与えられたのはロシア人のような名前。

 そもそも、インドでは家族や親戚の中だけの使用する愛称と対外的な正式名、2つの名前を持つのが普通なのだが、正式名をしたためたはずのインドの祖母からの手紙が届かず、アショケとアシマは「ゴーゴリ」という愛称を決めて、出生証明書に記入する名前=正式名としても便宜的に使用することに。

 幼稚園入園に際して、ようやく「ニキル」という正式名が用意されるが、幼いゴーゴリが親しんだ名前を変えられることに抵抗したこと、改名の事務手続が煩雑なことを理由に立ち消えになる。

 ところが、思春期に差し掛かった彼は、インドでもアメリカでも他に見かけないこの名前、周囲のアメリカ人(移民も含めて)とは趣きの異なるこの名前を恥じるようになる。インド人として、アメリカ国民としてのアイデンティティにも関わりかねない。

 大学生となった彼は、遂に自分自身で手続きし、「ニキル」と改名する。

 「ゴーゴリ」という名は、父アショケの好きなロシアの作家ニコライ・ゴーゴリにちなんで付けたとだけ聞かされていたゴーゴリ/ニキルであったが、父の死後、実は若き日の父にとって絶対に忘れられない重大な出来事が関係していたことを知り、改名したことに少し罪悪感を覚えたりもする。

 インド人であることから遠ざかり、アメリカ人でありたいと思い、家族から離れ、両親とは違う生き方を志向する彼。その学業生活、仕事、恋愛、結婚・・・。

 ドラマチックたることを徹底して避ける淡々とした筆致。ほぼ全文が現在形の短いセンテンス。最初は退屈に感じられたこれらの特徴が、徐々に小気味よく響いてくる。名前の問題に象徴される彼の複雑な思いは、彼の人生をどのような場所へ運んでいくのか、気になって仕方がなくなり、先へ先へと読み進めていく。

 不幸な出来事、辛い出来事もあった。だけど、彼も、彼の両親も妹もきっと小説が終わる今=ゴーゴリ/ニキル32歳の時点ではどちらかといえば幸せなのだろう。この先の彼らの人生も読んでみたいと思わせる、静かな余韻漂うアンチ・クライマックスなラストがじわりと良い。彼らの人生はページの向こうでまだ続いている。


 ここからSF3連チャン、まずは『銀河英雄伝説5 風雲篇』(田中芳樹・著/創元SF文庫)。
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2007年08月09日

雪沼とその周辺


雪沼とその周辺
著者名:堀江敏幸(著)
出版社:新潮社
出版年:2007.07
ISBN :9784101294728


 堀江敏幸氏は、初めて読んだ『熊の敷石』が良くて、その次に読んだ『いつか王子駅へ』は僕には退屈で、これが3冊目。


小さなレコード店や製函工場で、時代の波に取り残されてなお、使い慣れた旧式の道具たちと血を通わすようにして生きる雪沼の人々。廃業の日、無人のボウリング場にひょっこり現れたカップルに、最後のゲームをプレゼントしようと思い立つ店主を描く佳品「スタンス・ドット」をはじめ、山あいの寂びた町の日々の移ろいのなかに、それぞれの人生の甘苦を映しだす川端賞・谷崎賞受賞の傑作連作小説。
(「BOOK」データベースより)


 雪沼という架空の街とその周辺で暮らす、普通の人々の日常を切り取った、微かに重なり合う7つの短編。起承転結が有るような無いような・・・無い。だから、どの作品も、え?ここで終わり!?みたいな終り方。でも、実際の人生にも、絵に描いたように分かりやすい起承転結や序破急なんて存在しないものだ。

 それに「普通の人々の日常」なんて安易にまとめてしまったけど、誰にでもあてはまる「普通の日常」なんてものも、やっぱり無いのだ。人それぞれに生きていて、見ようによっては、みんな普通じゃないし、他人には窺い知れない部分もあるし、ドラマもあるし、それが普通なのだ。

 「普通」なんて無いのが「普通」なのだ。自分の、誰かの、その人生がちっぽけな普通の人生に見えても、本当はその人だけの特別な世界なのだな。


 次は『半島を出よ』(村上龍・著/幻冬舎文庫)。
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2007年05月21日

ブラフマンの埋葬


ブラフマンの埋葬
著者名:小川洋子(著)
出版社:講談社
出版年:2007.04
ISBN :9784062756938


ある出版社の社長の遺言によって、あらゆる種類の創作活動に励む芸術家に仕事場を提供している“創作者の家”。その家の世話をする僕の元にブラフマンはやってきた―。サンスクリット語で「謎」を意味する名前を与えられた、愛すべき生き物と触れ合い、見守りつづけたひと夏の物語。第32回泉鏡花賞受賞作。
(「BOOK」データベースより)


 ブラフマンという名は、入れ代わり立ち代わりやって来る様々なアーチスト ― 作家、詩人、翻訳家、哲学者、画家、デザイナー、指揮者、装丁家、カメラマン、歌手、染色家、映画監督、バイオリニスト、表具師、舞踏家、クラリネット奏者、レース編み作家、ホルン奏者など ― と違って、“創作者の家”で唯一住み込みのような状態で仕事をしている碑文彫刻家が付けた名前だ。

 「謎」という意味の名にふさわしい架空(だよな?)の小動物。水掻きのある短い四本の肢。フック状の爪。肉球。黒いボタンのような鼻。ひげ。首の付け根あたりに申し訳程度に存在する耳。胴体の1.2倍の長さの尻尾。

 姿形を表す言葉だけを並べても、可愛いとは思えないかもしれないが、「僕」との触れ合い・交情と仕草がなんとも愛らしいのだ。ペット好きな人も、そうでない人もきっと好きになると思う。

 ストーリー自体は、とりたてて何もない。作品のタイトルが示すとおり、愛すべきブラフマンとの出会いから「埋葬」までの、すなわち看取るまでの、ひと夏の短い物語だ。雑貨屋の娘に向ける「僕」の淡い恋情のようなものはあるが、それも作品の主題ではない。

 主題。

 いったいこの作品の主題はなんだろう。

 ・・・そんなことはどうでも良くなってしまう。この静かで、小さな、いとおしい世界。それだけを感じていれば幸せなのだ。


 次は『水滸伝・八 青龍の章』(北方謙三・著/集英社文庫)。
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2007年04月11日

蹴りたい背中


蹴りたい背中
著者名:綿矢りさ(著)
出版社:河出書房新社
出版年:2007.04
ISBN :9784309408415


 楽しくて心温まる素敵な思い出はいっぱいあるし、「青春だったなぁ」だし、今でも仲良く酒を酌み交わす一生の友人も得たし、思春期ってのは本当に貴重な宝石のような時間だったと思う。

 でも、もう1回あの頃に戻りたいか?とか、永遠にその時間が続いて欲しかったか?と聞かれると、断然NO!である。

 自分や自分の日常を、退屈で平凡だなんて認めたくない時代。

 実は大して面白くもないことを大声で話し、笑い合い、はしゃいでいた時代。

 「あいつ、ノリわる〜」と除け者にされることを恐れていた時代。

 過剰な自意識と息苦しい同調圧力。

 この小説を読んでいたら、そんな思春期の負のイメージを思い出した。

 通り過ぎたからこその甘美な思い出。一度で十分だ。


“この、もの哀しく丸まった、無防備な背中を蹴りたい”長谷川初実は、陸上部の高校1年生。ある日、オリチャンというモデルの熱狂的ファンであるにな川から、彼の部屋に招待されるが…クラスの余り者同士の奇妙な関係を描き、文学史上の事件となった127万部のベストセラー。史上最年少19歳での芥川賞受賞作。
(「BOOK」データベースより)


 思春期特有の人間関係に疲れて、高校入学以後、孤独に身を置く「私」こと長谷川初美。でも、内心は他のクラスメイトと仲良しグループを組んでしまった中学時代の親友にさえ距離を置かれてドキドキ。孤独を満喫するどころじゃない。

 同じくクラスで浮いている、ちょっと陰気な感じの男子、にな川。彼の生きる証はオリチャン(オリビアという名前のモデル)に熱中することだけで、自分が「余り者」であることなんか意に介さない。

 にな川が「私」に関心を持ったのも、たまたま「私」が中学時代に生のオリチャンと偶然出会い、言葉を交わしたことがあるから、というだけ。

 低体温の2人。およそ青春らしくない世界を呼吸する2人。恋愛でも友情でもない関係。でも、なぜか繋がる2人。なぜか「私」の中に度々沸き起こる、にな川の背中を蹴りたいという切なる衝動、というか欲望(欲情?)。


 しかし、この若さでなぁ・・・。

 『インストール』もそうだったけど、地味で爽やかともいえない小説なのに、なんだこの瑞々しさは?

 一見、今の若い人風の口調も交えた(←おっさんコメント)ライトな文章なのに、その実は選び抜かれた言葉たち(もし、これが無造作に書かれた文章だとしたら、それはそれで凄いこと)。

 ほとほと感心した。

 話題の新作『夢を与える』も早く文庫になってほしい。そして、ゆっくり着実に書き続けてほしいものだ。


 で、次は超ベテランの味『十三歳の仲人 御宿かわせみ32』(平岩弓枝・著/文春文庫)。
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2007年01月18日

シンセミア


シンセミア 1
著者名:阿部和重(著)
出版社:朝日新聞社出版局
出版年:2006.10
ISBN :4022643773


 20世紀最後の夏、神の町で何が起きたのか?『ニッポニアニッポン』や『グランド・フィナーレ』につらなる“神町クロニクル”の壮大な幕が開く。伊藤整文学賞と毎日出版文化賞をダブル受賞した本作は、デビュー10年にして到達した著者最高の傑作長篇である。文庫オリジナルの神町地図と年表を収録。
(「BOOK」データベースより)

 本の雑誌増刊『おすすめ文庫王国2006年度版』の現代小説ベスト10にも入ってるし、書評も良かったし(現代文学のひとつの達成・・・みたいに言われてた)、海外にも翻訳されるようだし。

 昔、読んだ『インディヴィジュアル・プロジェクション』もそこそこ面白かった(ような気がするだけか?)し。

 全4巻。

 いつか面白くなるはず・・・と思いながら読んだが、最後まで乗り切れず。

 正直、どこかいいねん!・・・である。

 こんなに褒められている作品だから、こちらの鑑賞眼に問題があるのかも知れない。

 しかし、理解できないものは理解できない。楽しめないものは楽しめない。この手のエログロ描写小説なら、舞城王太郎の方がよっぽど面白いと思う。


 ここ数年、意図的に読書ペースを落としていた。具体的には黙読なのに、頭の中でしっかり音読するようにして。一時期ドンドン読んでいたら、読みたい新刊に数ヵ月間出会えず、仕方なくかつて読んだ好きな作品を再読して凌ぐ(それはそれで楽しいけど・・・)ことが数回続いたからだ。

 でも、最近はネットやら映画鑑賞やらで読書に使う時間が減り、一方で読みたい本も尽きることなく増えてきた。今も積読状態の本が10冊ぐらいあるし、買いたい本もいろいろある。

 ペースを上げよう!文庫中心とはいえ、お金が心配だが・・・。
 
 次は、舞城王太郎の『九十九十九』(講談社文庫)を通勤中に、飛浩隆の『ラギッド・ガール』(ハヤカワSFシリーズJコレクション)を自宅で。
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2006年12月25日

となり町戦争


となり町戦争
著者名:三崎亜記(著)
出版社:集英社
出版年:2006.12
ISBN :408746105X


 あ〜。

 『のだめカンタービレ』が終ってしまった・・・。ハッピーで笑えて、時に感動的なドラマだったなぁ。最終回の千秋とのだめの河川敷のシーンも良かったね。

 ・・・当ブログには関係ないが。


 さて、『となり町戦争』。第17回小説すばる新人賞受賞作である。


 ある日、主人公の僕・北原修路の住む舞坂町と、となり町の戦争が始まった。「地域振興」の名のもとに行われる「公共事業」としての戦争である。

 僕・北原はこの町で生まれたわけじゃない。通勤に便利だから、たまたま住んだに過ぎない。しかし、町役場から通知が来て、「戦時特別偵察業務従事者」に任命されてしまう。

 とは言っても、任務はマイカー通勤の行き帰りに見聞きしたとなり町の様子を郵送で報告するのみ。それ以外はいつもの日常が過ぎていく。

 ところが、しばらくして今度は「戦時拠点偵察業務従事者」として「となり町戦争推進室分室」勤務となる。早い話が、舞坂町「総務課となり町戦争係」の女性職員・香西さんと偽装結婚し、となり町に住みながら偵察を行う潜入スパイとなったのである。

 それでも戦争は目に見えない。

 しかし、日に日に戦死者は増えていく。

 そして、「分室」にもとなり町の査察が・・・。

 逃げなくては!


 ・・・ね。なかなか面白そうでしょ。

 ・・・だけどなぁ・・・。

 あかん、これは。

 今年の読んだ中でワースト3に入る不出来な作品。

 文章が良くない(自分のことは棚に上げる)。表現が上滑りしていて、深みがない。文法的におかしい所もあったりして、読み辛い。せっかくの面白い設定やヒトクセありそうな脇役達も、全く生かされていない。文学のマネゴトのような作品だ。

 もし、村上春樹氏が書いていたら、ユーモアと哀しみを湛えた独創的な文学作品になっていただろう。

 もし、伊坂幸太郎氏が書いていたら、愉快なエンターテインメント作品になっていただろう。

 こんな仮定の話をしても仕方がないが、もったいないなぁ。書きようによっては、もの凄く面白くなりそうなんだけど。

 最後に文庫本だけのボーナストラックとして「別章」というサイドストーリーが収録されているが、これはあらゆる意味で少しマシだった。この作品だけを『となり町戦争』という短編にしておく方が良かったと思う。

 映画化されるらしいので、そちらは面白く作ってもらいたい。観にいくかどうか分からんけど。


 そんなわけで久々に外したが、次に読む『アヒルと鴨とコインロッカー』(伊坂幸太郎・著/創元推理文庫)に期待。


 あ〜。

 『のだめ〜』のDVD、買おうかなぁ〜。原作は年末年始に読むぞ!
posted by ふくちゃん at 23:16| Comment(4) | TrackBack(5) | 純文学