2008年03月11日

ティファニーで朝食を


ティファニーで朝食を
著者名:トルーマン・カポーティ(著)
     村上春樹(訳)
出版社:新潮社
出版年:2008.02
ISBN :9784105014070


・内容
ホリーは朝のシリアルのように健康で、石鹸やレモンのように清潔、そして少しあやしい、16歳にも30歳にも見える、自由奔放で不思議なヒロイン。―第二次世界大戦下のニューヨークを舞台に、神童・カポーティが精魂を傾け、無垢の世界との訣別を果たした名作。
(「BOOK」データベースより)


 あぁ〜ビックリした。

 こんな小説やったとは!

 映画と全然違うがな。

 いや、映画を観たのは随分昔で、もうほとんど覚えてないけど、確か「ロマンチック・コメディ」やったような。

 しかし、小説はそれとは似ても似つかない。

 というか、映画は小説とは似ても似つかない。

 カポーティは主演がオードリー・ヘップバーンと聞いて、少なからず不快感を表明したそうである。そりゃそうだろう。あまりに原作とはイメージが違い過ぎる。

 ヘップバーンの女優として魅力や映画の出来不出来は別として(ヘップバーンは好きだし、この映画も好きだが)、ここまで映画と小説の「精神」が別モノって珍しい。

 カポーティはよくも「おれの作品を“原作”としてクレジットするな!」と言わなかったものだ(言ったかも知らんけど)。

 とにかく痛々しい小説である。

 読みながら、サリンジャーの『ライ麦畑でつかまえて』や、フィッツジェラルドの『グレート・ギャッツビー』をずっと連想してた。

 新聞広告で見つけたときは、なぜに村上春樹氏が『ティファニーで朝食を』やねん?と思ったが、読んで納得。


 次は、『銀河英雄伝説7怒涛篇』(田中芳樹・著/創元SF文庫)。
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2007年09月23日

カラマーゾフの兄弟4&5


カラマーゾフの兄弟 4
著者名:ドストエフスキー(著)
     亀山郁夫(訳)
出版社:光文社
出版年:2007.07
ISBN :9784334751326


 古典としては異例の売れ行きを記録中の『カラ兄』シリーズ。4巻、そして一気に最終5巻を読了。

 といっても、5巻は短いエピローグだけ。

 しかし、4巻は、いやあもう、歯応えのある大長編で、またまた読み終わるのに時間がかかってしまった。どんなに長くてもスラスラサクサク読める現代小説とはエライ違いである。いや、そもそもほとんどが会話や独白(鬼気迫る饒舌!)中心の作品だし、優れた訳業のおかげもあってガンガン読めるのだが、密度が濃すぎるので(笑)、どうしても時間がかかるのだ。

 で、全部読み終わって振り返ってみるに、ここに描かれんとしたことを十全に理解したという自信は全くない。だが、理解できる範囲は限られてはいても、この異様な迫力と熱さは凄い。表面的な壊れ方なら、もっと過激な人物やシーンが登場する作品はいくらでもあるだろうけど、内実のレベルが違う。


11月初め。フョードル殺害犯として逮捕されたミーチャのまわりで、さまざまな人々が動きだす。アリョーシャと少年たちは病気の友だちを見舞い、イワンはスメルジャコフと会って事件の「真相」を究明しようとする。そして裁判で下された驚愕の判決。ロシアの民衆の真意とは何か。
(第4巻 「BOOK」データベースより)

 ・・・『カラ兄』ってミステリでもあったんやね!

「エピローグ」では、主人公たちのその後が描かれる。彼らそれぞれに、どんな未来が待ち受けているのか…。訳者・亀山郁夫が渾身の力で描いた「ドストエフスキーの生涯」と「解題」は、この至高の名作を味わうための傑出したすばらしいガイド=指針となるにちがいない。
(第5巻 「BOOK」データベースより)

 ・・・5巻の詳しい解説は読書の大きな助けになる。これを踏まえてアタマから再読すれば、より作品を楽しみ、理解することができるだろう。


カラマーゾフの兄弟1
カラマーゾフの兄弟2
カラマーゾフの兄弟3


 でも、読みたい本が目白押しで先を急ぐので、次は『キラレ×キラレ』(森博嗣・著/講談社ノベルズ)。
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2007年05月11日

飛ぶ教室


飛ぶ教室
著者名:ケストナー(著)
     丘沢静也(訳)
出版社:光文社
出版年:2006.09
ISBN :9784334751050


 『飛ぶ教室』といえば、児童文学。

 もっと(良くない意味で)子供向けの作品だと思っていた。幼い頃、読んだような気もするのだが記憶は曖昧である。

 とにかく、今回読んでみてこんなに素敵な小説だったのか!と目からウロコの大感銘。


孤独なジョニー、弱虫のウーリ、読書家ゼバスティアン、正義感の強いマルティン、いつも腹をすかせている腕っぷしの強いマティアス。同じ寄宿舎で生活する5人の少年が友情を育み、信頼を学び、大人たちに見守られながら成長していく感動的な物語。ドイツの国民作家ケストナーの代表作。
(「BOOK」データベースより)


 5人の少年達の個性豊かな腕白ぶりがキラキラで、愛おしい。そして、寄宿舎の舎監を務める「正義さん」ことベーク先生、列車の禁煙車両を自宅にしている「禁煙さん」といった大人たちも素敵だ。もし、子供の頃、こんな大人に接することができたら、その子供はとても幸運だし、素敵な大人になれるだろう。

 読んでいる間中、思わず吹き出しそうになったり、目が潤んだり。幸福な読書だった。1933年の作品だが、古典とは呼びたくないほどの瑞々しさ!


 次は『地球へ…』(竹宮恵子・著/スクウェア・エニックス)。
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2007年04月09日

カラマーゾフの兄弟3


カラマーゾフの兄弟 3
著者名:ドストエフスキー(著)
     亀山郁夫(訳)
出版社:光文社
出版年:2007.02
ISBN :9784334751234


 今回も結構読むのに時間がかかった。北方水滸伝とほぼ同じ厚さで、向こうはあっという間に読めるのにな。

 面白くないわけじゃない。むしろ、ぐいぐい読ませる。なんだか得体のしれない異様な迫力がある。しかし、やはり一筋縄では理解できないところもあって・・・。


ゾシマの死に呆然とするアリョーシャ。しかし長老の遺体には、信じられない異変が起こる。いっぽう、第2巻で「消えて」いたミーチャは、そのころ自分の恥辱をそそぐための金策に走り回っていた。そして、ついに恐れていた事態が。父フョードルが殺された!犯人は誰なのか。
(「BOOK」データベースより)


 主要な登場人物たちはごく一部を除いて、やたらに多弁で饒舌で情熱的で、何かに取り憑かれたように常軌を逸した躁状態と鬱状態を行き来する。

 そして、この第3巻ではカラーマゾフ3兄弟の長兄ミーチャが、純粋で高潔ゆえに人生を狂わせていく、その様が滑稽でもあり、哀しくもある。

 しかし、ドストエフスキーって、重厚で難解で説教臭くて退屈で・・・と勝手にイメージしていたのだが(若い頃『罪と罰』も数ページで挫折したし)、こんなに(ある意味)パンクやったんやな。

 登場人物たちの思考や感情や妄想が暴走しとる。この迫力には、グロテスクなだけの通俗小説では勝てまい。

カラマーゾフの兄弟1
カラマーゾフの兄弟2


 次は『バッテリー6』(あさのあつこ・著/角川文庫)。これは昨日今日で読み終わったけど、『村上かるた うさぎおいしーフランス人』はまだ途中。
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2007年02月27日

黒猫/モルグ街の殺人


黒猫,モルグ街の殺人
著者名:ポー(著)
     小川高義(訳)
出版社:光文社
出版年:2006.10
ISBN :9784334751104


 世界最古の名探偵が登場する世界最古のミステリ。それがエドガー・アラン・ポー『モルグ街の殺人』である。

 初めて読んだ。

 世界最古(しつこい)の密室トリックである。

 う〜ん、こんな作品だったとは。まさか×ラ××ー×ンが犯人とは!

 意外すぎて笑える・・・。

 伏線の張り方、論理性には難があり過ぎると思うが、確かにここに密室ミステリの原型が示されている。

 女性の悲鳴と男性のなだめるような声、激しい物音。警察や近所の人々が鍵を壊して踏み込んでみると、女性の死体が2つ。隈なく探しても他には誰もいない。窓には内側から鍵がかかっている・・・。

 これが江戸時代の作品なんだから、驚くよなぁ。

 『モルグ街の殺人』のほかには、もうひとつの代表作『黒猫』を含めた短編小説が5つ、評論というかエッセイのような短編が1つ収録されている。『モルグ街〜』は約60ページ、他は20ページ以下。

 短編は、何かに取り憑かれたような語り手が、自己の成し遂げた完全犯罪(と本人は思っている)を密かに誇りながら、遂には自ら犯罪を露見させる道を選んでしまう・・・そんなテイストの話ばかりだが、いずれも読む側を不思議な感覚で包んでしまう。こんなに短いのに小説を読む楽しみはギッシリ。

 読んで良かった。

 今は『あなたに不利な証拠として』(ローリー・リン・ドラモンド著/ハヤカワポケットミステリ)を読んでる最中。
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2006年12月14日

カラマーゾフの兄弟2


カラマーゾフの兄弟 2
著者名:ドストエフスキー(著)
     亀山郁夫(訳)
出版社:光文社
出版年:2006.11
ISBN :4334751172


 やっと読み終わった。

 僕の主な読書タイムは、通勤とか遠出(というほどでもないが)の時の電車の中である(あとは風呂とトイレ)。

 でも、慢性睡眠不足なので、面白くない本を読んでるとすぐに眠たくなってしまう。

 『カラ兄2』もそのようにしてなかなかページが進まなかった。

 ところが!

 ちょうどこの巻の真ん中にあたる、第5編の5「大審問官」から俄然面白く、約250ページを12日・13日の2日で読了。前半250ページは6日かかったのに・・・。

 この巻の後半は、宗教(キリスト教)に関する本質的な論議が熱く語られる。一方は、敬虔な主人公アリョーシャの兄イワンによる神の存在の否定として、もう一方はアリョーシャが敬愛して止まない修道院の長老ゾシマによる神の存在の肯定として。

 宗教の本質に関する論議は、哲学的な論議でもあるが、これが面白かった。

 ちなみに、僕は無神論者に極めて近く、宗教も宗教団体も、オカルトもスピリチュアルも信じていないのだが、そういうことに関係なく、興味深く読めた。

 ようやくこのシリーズを読んで良かった、次が待ち遠しいと思えてきた。

 次は先日観た映画『硫黄島からの手紙』の流れで、『散るぞ悲しき 硫黄島総指揮官・栗林忠道』(梯久美子・著/新潮社)を読む。珍しくハードカバーで。
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2006年12月03日

グレート・ギャツビー


グレート・ギャツビー
著者名:スコット・フィッツジェラルド(著)
     村上春樹(訳)
出版社:中央公論新社
出版年:2006.11
ISBN :4124035047


 『グレート・ギャツビー』や「フィッツジェラルド」で検索したがヒットせず、結局ISBNコードで引っ張ってきた。時々こういうことがある。「ほんつな」さんにも頑張ってもらいたいものである。

 さて、『グレート・ギャツビー』といえば、かの「野崎孝」版を昔読んだ。今でもその文庫本(新潮文庫)を持っている。

 奥付は「平成4年5月25日第48刷」。25歳の頃に読んだわけだ。ちなみに初版は「昭和49年6月30日」とある。

 今回、村上春樹版を読むにあたって、時々参照して見たのだが、現代的見地からすると(言葉かたいなぁ・・・)、使われている日本語が古くて、珍妙な感じがした。

 村上氏が言う通り翻訳には賞味期限があり、「不朽の名作はあっても不朽の名訳はない」のかも。

 この本のあとがきによると、村上氏の人生にとって最も重要な本は『グレート・ギャツビー』、『カラマーゾフの兄弟』、『ロング・グッドバイ』(レイモンド・チャンドラー)だそうだが、その中でも1冊だけを選べと言われたら、『グレート・ギャツビー』を取るとのこと。

 このように村上氏をしてベスト1と言わしめ、世界的にも評価の高い作品であるが、少々退屈したというところが正直なところ。

 原文は非常に難解かつ多義的で、日本語でそのニュアンスを完全に再現するのは難しいということなので、そういうことも影響しているかも知れない(日本語の「カワイイ」は今や海外でもそのまま通じるようだが、これなども英語のprettyやcuteなどでは十全に意味を捉えられないから、「カワイイ」のまま使われていて、それと同じようなものか?←適当な思いつき、学術的根拠ゼロ)。

 しかし、詳しくは書けないが(ネタバレになるので)、終盤の第8章(全9章構成だ)は不思議なことに俄然切なくて物哀しい気持ちになり、その感情を味わっただけでも読む価値があると思った。

 1人の男の儚い夢の物語である。


 光文社古典新訳文庫からも『グレート・ギャツビー』が刊行されたが、多分、村上版の煽りで売れないだろうな・・・。お気の毒・・・。


 現在の僕は『ねこのばば』(畠中恵・著/新潮文庫)を読破中。


 ところで、村上春樹訳『ロング・グッドバイ』(長いお別れ)が刊行される予定もあるらしい。ハードボイルドの古典的名作と村上春樹の組み合わせは、今からとても楽しみだ。
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2006年11月20日

カラマーゾフの兄弟1


カラマーゾフの兄弟 1
著者名:ドストエフスキー(著)
     亀山郁夫(訳)
出版社:光文社
出版年:2006.09
ISBN :4334751067


 読書好きというわりには、学校の教科書以外では、古典的名作と呼ばれている作品を意外に読んでいない。

 それでは真の読書狂とは言えんのじゃないか・・・と思う今日この頃。

 そこで、ロシアが生んだ巨匠ドストエフスキーの『カラ兄』である。

 ドストエフスキーについては、若い頃『罪と罰』にチャレンジして即挫折したという過去がある。

 しかし、『カラ兄』は、敬愛する村上春樹氏も大推薦する作品。

 いつかは絶対読もうと思っていた。

 そんなところへ創刊されたのが、「いま、息をしている言葉で。」というキャッチの光文社古典新訳文庫。

 装丁が良い。

 これにしよう。ジャケ買いである。

 そんなわけで、まず4部作の第1巻を読んでみた。

 ・・・う〜ん。

 まだ、導入部なので何とも言えないが、この作品が書かれたときのロシアの時代・文化・宗教的背景やキリスト教に対する知識がないと、なかなか難しいのかな、という感じだ。

 だが、どんな作品も途中で投げ出さないのが、今のモットー。

 それに村上春樹氏も「たしかにこの小説の中の宗教関係の部分は、一般読者にはいささか読みにくい」が、「そのうちにだんだん『なるほど、そういうことなのか』」ということになると言っておられる(『ひとつ、村上さんでやってみるか』より。現在、これも並行して読破中)。

 全4巻必ず読むぞ。

 それはさておき、この古典新訳文庫では、『リア王』、『初恋』、『ちいさな王子』(星の王子様)、『飛ぶ教室』、『黒猫/モルグ街の殺人』、『クリスマス・キャロル』、『グレート・ギャッツビー』などが刊行される。

 意欲的な試みであると評価したい。

 僕に評価されても、仕方がないか。

 『星の王子様』は、定番の翻訳は昔に読んだし、新訳も倉橋由美子版を読んだので、もういいや。『グレート・ギャッツビー』も定番は昔読んだし、先日出版された村上春樹版を読むつもり。

 でも、その他は、読んでみたい。今後のラインナップも楽しみだ。装丁も良いし(これ重要)。 

 とりあえず、『カラ兄』は一呼吸置いて、次は『ほたる館物語1』(あさのあつこ・著/ピュアフル文庫)。 
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