2008年11月22日

チャイルド44(上・下)


チャイルド44 上巻
著者名:トム・ロブ・スミス(著)
     田口俊樹(訳)
出版社:新潮社
出版年:2008.08
ISBN :9784102169315


 「WEB本の雑誌」の新刊採点書評で、5人中4人が最高の5つ星、残り1人も4つ星ということで気になっていた本。


・上巻
スターリン体制下のソ連。国家保安省の敏腕捜査官レオ・デミドフは、あるスパイ容疑者の拘束に成功する。だが、この機に乗じた狡猾な副官の計略にはまり、妻ともども片田舎の民警へと追放される。そこで発見された惨殺体の状況は、かつて彼が事故と遺族を説得した少年の遺体に酷似していた…。ソ連に実在した大量殺人犯に着想を得て、世界を震撼させた超新星の鮮烈なデビュー作。
(「BOOK」データベースより)

・下巻
少年少女が際限なく殺されてゆく。どの遺体にも共通の“しるし”を残して―。知的障害者、窃盗犯、レイプ犯と、国家から不要と断じられた者たちがそれぞれの容疑者として捕縛され、いとも簡単に処刑される。国家の威信とは?組織の規律とは?個人の尊厳とは?そして家族の絆とは?葛藤を封じ込め、愛する者たちのすべてを危険にさらしながら、レオは真犯人に肉迫してゆく。CWA賞受賞。
(「BOOK」データベースより)


 初めは本筋に関係なさそうな(って、そんなハズあるわけないのだが)話から始まる。で、これが後で物語にどう関わってくるのか、とんと想像が付かないまま読み進めていく。

 そして、主役のエリート刑事レオの登場が、誠にヒーローらしからぬ。部下の息子の死を、捜査することなく事故として処理するように上から命じられ、粛々とそれをこなすだけである。

 というわけで上巻は退屈(笑)。

 なんで、皆、高い点を付けたんだろう?読むの止めようかな、と思いつつ・・・。

 ・・・下巻に入ると、早く先が読みたくて、止まらないのだ、これが!

 妻をスパイとして告発することを拒否したために、高い地位と安定した生活の全て失い、左遷されるレオ。

 異動先で発見した子供の他殺死体。同僚の息子の死との共通点に気付き、極秘捜査により国のあちらこちらで同一犯による子供殺しが頻発していることを掴む。

 だが、理想的な社会主義国家に凶悪犯罪は存在しない・・・という馬鹿馬鹿しくも絶対的な国是がまかり通るこの社会で、猟奇的連続殺人犯の存在を示唆することは“叛逆罪”なのである。

 それでも、正義に目覚め真相を追うレオに次々と襲い掛かる理不尽な運命。ハードボイルドの主人公に逆境は付き物だが、ここまで苛酷なケースがこれまであっただろうか。

 そして、辿り着いた真犯人とは?

 ここで最初のエピソードが、絶妙の伏線であったことに驚くことになる。

 ああ、面白かった!

 リドリー・スコットが映画化。

 映画で愉しみたい人は、原作を読まずに観に行く方がいいだろう。


 次は『ストロベリーナイト』(誉田哲也・著/光文社文庫)。
posted by ふくちゃん at 23:51| Comment(0) | TrackBack(0) | ハードボイルド
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