魔王 著者名:伊坂幸太郎(著)
出版社:講談社
出版年:2008.09
ISBN :9784062761420
ドラマの『魔王』とは無関係。
文章上手いなぁ。
会話やちょっとした描写のセンス。思わずニヤリとしてしまい、電車の中で笑いを噛み殺す。巧まざるユーモア。
絶対にありえない一種SF的な、ファンタジックな設定も違和感なく読ませる。
ああ、この筆力が海堂氏にあれば・・・(笑)。
この本に納められた『魔王』とその5年後を描く『呼吸』が書かれたのは、2004年と2005年。小泉氏が郵政選挙で圧勝する前のこと。
にも関わらず、まるでその時の、そして今の日本を書いているような作品である。
ムードに流され、自分の頭で考えない国民(自分含む)。威勢の良い言葉、小気味の良い言葉、耳に心地よい言葉に酔い。
喉元過ぎれば熱さを忘れ。
世の中をダメにする『魔王』とは・・・。
筋の通った(ある意味危険な)直言を述べる人気の政治家・犬養なのか。その言葉に流される国民全体なのか。それとも、犬養が作り出そうとする世の中の流れに、独り己の特殊能力で抵抗を試みる普通の会社員・安藤なのか。5年後、自分の特殊能力に気付いた安藤の弟・潤也なのか。
洒脱で安穏とした心地よさに包まれながらも、ここに書かれていることは、実に怖い話である。国もそこで暮らす人間も、時に「正論」や「正義」や「誇り」や「自尊心」のために暴走してダメになっていくのだ。そうと気付かぬうちに、何気ない日常に紛れながら。
この作品から50年後の日本、“検索”によって監視される社会を描く続編『モダンタイムス』が10月下旬に発売される。読みたい!でも文庫本になるまでガマン(笑)。
あ、そうそう。この作品には『死神の精度』のあの人が登場するのだ。これにもニンマリ。
次は、『居眠り磐音江戸双紙 探梅ノ家』(佐伯泰英・著/双葉文庫)。


トラバ飛ばせてみましたが、うまく飛びますか少々不安。なんせはてなですから^^
読んでも面白い小説なので、満足です。
井坂氏のようなスタイリッシュな小説は本来苦手なのですが、死神つながりで楽しく読んでいます。
今さらですが(すいません^^;)大丈夫です。
>kinkachoさん。
スタイリッシュ過ぎると嫌味な感じになりますが、伊坂氏はその加減が絶妙だと思います。