ナイチンゲールの沈黙 上 著者名:海堂尊(著)
出版社:宝島社
出版年:2008.09
ISBN :9784796663588
『チーム・バチスタの栄光』を読んだときも思ったけど、この著者、小説の文章そのものは下手だ。情景描写、心理描写、洒落た(つもりの)会話、どれもイマイチ。
会話といえば、眼球の癌を抱える突っ張った物言いの少年・牧村瑞人。上巻168ページで、放射線科のドクター・島津に「誰に向かって物を言ってるんだよ」。171ページ、場の続きで再び島津に「誰に向かって言ってるんだよ」。このあたりセリフ選びに芸がない。
小児科入院患者が登場する物語ということもあってか、小説内現実として、ウルトラマンと並ぶ(?)オリジナル特撮ヒーローの話が結構細かい設定まで出てくるんだけど、このへんのセンスもなあ・・・。仮に半分ギャグであっても。
単行本読者は先刻ご承知の通り、この作品と『ジェネラル・ルージュの凱旋』は、小説内時間において対になっているらしい。しかし、その匂わせ方は、森博嗣氏の『幻惑の死と使途』と『夏のレプリカ』には及ばない。まあ、これは『ジェネラル〜』を読んでから判断すべきか。
瑞人の父親殺しの真相に絡む、伝説の歌手・水落冴子と小児科病棟看護師・浜田小夜の歌唱に秘められた力、加納警視正の捜査手法“デジタル・ムービー・アナリシス”。
道具立ては面白い。話自体も面白い。
だからこそ、細かい点が色々気になる。もったいない。
登場人物それぞれが持つ“愛”の描き方も、真っ直ぐカッコよく書こうとして、かえって鼻につく感じ。著者の想いが悪い意味で強すぎるかな。
繰り返すけど、話そのものは悪くない。じゃなきゃ、途中で読むの止めてる。
次は『魔王』(伊坂幸太郎・著/講談社文庫)。

