凍った太陽 著者名:高城高(著)
出版社:東京創元社
出版年:2008.06
ISBN :9784488474027
高城高氏の復刊全集第2弾。
で、巻頭は、日本ハードボイルドの原点といわれる作品『X橋付近』(昭和30年)。
どうなる、どうなる、どうなる・・・と思いながら読んでたら、え!ここで終わり?
すっかり長編の感覚で読んでいたので、ビックリ。わずか40ページ。
全集第1弾の『墓標なき墓場』は唯一の長編であって、この著者は短編の人。次の『火焔』(昭和31年)はさらに短く11ページ(!)。他の短編もほとんどが30〜40ページ、最も長い表題作でも約70ページ。
皆まで書かず、語らず、徹底的に刈り込まれた、読者の想像力を刺激する物語。
ハードボイルド=長編、ハードボイルド=血と暴力とエロス、という一時期の日本の現代ハードボイルドのイメージを鮮やかに裏切る端正で硬質な世界が、はるか昔に存在したことは驚きだ。
昨今のライトなハードボイルド(ハードボイルド風というべきか)とも全く違う。
独立した短編が7本。著者唯一のシリーズものが4本。エッセイが3本。
いちばん興味深かったのは、由利シリーズ。最初の3本は昭和33、36、37年。最後の1本が著者復帰作となる平成19年。第1作に登場したときは、普通の女子大生だった彼女が、時と共に謎めいた悪女になっていく。恐らくその人格的変貌のきっかけは1作目での恋人の死だろうが、2〜3〜4作目における彼女の正体が全く説明されないところが面白い。1作目で消えた後、彼女はどんな人生を送ってきたのか?
仕事が忙しく、ひたすらコマ切れ読書だったので、意外に読むのに時間がかかってしまった。次は、『マイナス・ゼロ』(広瀬正・著/集英社文庫)。

