2008年07月13日

老ヴォールの惑星


老ヴォールの惑星
著者名:小川一水(著)
出版社:早川書房
出版年:2005.08
ISBN :9784150308094


 今日は遂にあの本棚がやって来た。


・内容
偵察機の墜落により、おれは惑星パラーザの海に着水した。だが、救援要請は徒労に終わる。陸地を持たず、夜が訪れない表面積8億平方キロの海原で、自らの位置を特定する術はなかったのだ―通信機の対話だけを頼りに、無人の海を生き抜いた男の生涯「漂った男」、ホット・ジュピターに暮らす特異な知性体の生態を描き、SFマガジン読者賞を受賞した表題作ほか、環境と主体の相克を描破した4篇を収録。著者初の作品集。
(「BOOK」データベースより)


 いやぁ、これはいい作品集だ。

「ギャルナフカの迷宮」
平穏な顔した圧制国家から、反社会的な政治犯の烙印を押された者に与えられる無期限の「投宮刑」。治安部門の高官ギャルナフカ博士が作り出した脱出不可能な広大な地下迷宮の牢獄に放り込まれ、与えられるのは自分専用の「餌場」と「水場」が載った簡単な地図だけ。「餌場」と「水場」は互いに遠く離れ、地図があっても探し出すのは容易ではなく、探し出しても安心できない。生き延びるためには自分の「餌場」と「水場」を守り、他の囚人の「餌場」と「水場」を奪わなければならないのだ。さらに、人間を食う人間=「生肉喰い」共がいる。絶望と疑心暗鬼に満ちた世界で、テーオは囚人全員が平和共存する道を模索し始める。

「老ヴォールの惑星」
特異な惑星に奇跡的に生まれ育った特異な知的生命体たち。この星に他の生命はあるゆる意味で存在せず、彼らは同じ大きさの個体群で過ごし、時に他の大きさの個体群を捕食し、また別の個体群に捕食される。一方で、激しい嵐の季節には、全ての個体群が飛ばされないように協力して陣形を組む。そして、光学的コミュニケーションや捕食により、互いの経験や知識を共有し、種全体としてはより賢くなっていくのだ。しかし、巨大な天体との衝突により、この星は壊滅することが判明。脱出したり、他の惑星で住むことができない彼らは、自分たちの高度な知識を譲り渡したいと、周囲の星々に光通信を送り、他の惑星の知的生命体を探し始める。

「幸せになる箱庭」
ある日、人類を遥かに凌駕する高度な文明に裏打ちされた自動機械による木星大気の大規模収集が発覚する。300年以上前から続けられていたらしいその行為の問題点は、大気を超光速で運ぶための発射台が自動機械たちにより次々と建造され、そのために木星の質量が削り取られていることであった。このままでは、木星の軌道が変化し、他の惑星にも影響を及ぼす。320年後には地球も、可住日照帯を逸脱してしまうのだ。地球人類は、この自動機械を作った異星の生命体と直接コンタクトを取ることを決め、交渉団を送り出す。そこで遭遇したものは・・・。

「漂った男」
上の「・内容」を参照ということで(手抜き)。

 SFは難解とか暗いとか怖いとかいまだに思い込んでいる人たちのイメージを裏切る、明るく楽しい前向きな作品群。まぁ、「幸せになる箱庭」は現実と全く区別の付かない高度なヴァーチャル・リアリティを扱っていて、小難しく言えば“人間の実存”とか“生命の意味”とか、重たくなるテーマを孕んでいるが・・・。でも面白い。

 ファンタジーや寓話、星新一が好きな人なら、きっと楽しめると思う。


 次は・・・これから近所の書店で見繕ってくる。

 それはそうと、本棚に棚を入れて、本を入れないと!
posted by ふくちゃん at 16:49| Comment(3) | TrackBack(1) | SF
この記事へのコメント
こんばんわ☆
どれもこれもはずれナシの作品集でしたね。
SFって、宇宙を書いたり、知的生命体の事を書いたり、時代を飛び越えて書いたり、人間外の事を書いたりと、ほんと幅が広いなぁとつくづく思った一冊でもありました。

本棚って以前、もうひとつのブログで品切れ中…って書いてたあの本棚ですか?!
うわー、それに本を並べたところをぜひ見てみたいです☆きっと圧巻なんでしょうね〜。
Posted by マメリ at 2008年07月14日 01:31
こんにちは。
 これ、面白そうですねぇ。SFの短篇ってうまい人が書くとすごく面白いですもんね。
 本棚って前に話題に出ていたあの本棚ですよね。詰めていくのが楽しみですよねぇ。うちも近々引っ越して本棚詰めです。怖い様ですけれど、楽しみです。
Posted by 樽井 at 2008年07月14日 10:26
>マメリさん。
そう、SFが扱う世界は本当に幅広いですね。
その点では、ジャンル小説としては1じゃないですかね。小川氏に関しては、他のものも読んでいこうと思います。

>樽井さん。
引越、本当に大変そうですね。僕の蔵書数でさえしんどかったのに・・・。まだ本棚が必要でしたら、同じカタログハウスの本棚、スライドワイド(1台で1400冊以上収納/99,645円)が良いかもしれませんね。
Posted by ふくちゃん at 2008年07月14日 23:30
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『老ヴォールの惑星』 小川 一水
Excerpt: 偵察機の墜落により、おれは惑星パラーザの海に着水した。だが、救援要請は徒労に終わる。陸地を持たず、夜が訪れない表面積8億平方キロの海原で、自らの位置を特定する術はなかったのだ―通信機の対話だけを頼りに...
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Tracked: 2008-07-14 01:20