2008年06月28日

司政官 全短編


司政官全短編
著者名:眉村卓(著)
出版社:東京創元社
出版年:2008.01
ISBN :9784488729011


 長い、高い(笑)。
 
 700ページ、1500円(税別)。

 文庫で、1500円って・・・。

 眉村卓といえば『なぞの転校生』、『ねらわれた学園』。

 それ以外は読んだことなかったけど、この『司政官』シリーズは著者24年のライフワークらしい。


・内容
星々に進出した地球人類。だが連邦軍による植民惑星の統治が軋轢を生じさせるに及び、連邦経営機構が新たに発足させたのが司政官制度である。官僚ロボットSQ1を従えて、人類の理解を超えた原住者種族を相手に単身挑む若き司政官たちの群像。著者を代表する、遠大な本格SF未来史の短編全7作を年代順に配し、初の一巻本として贈る。巻末には詳細な作品世界ガイドを収録した。
(「BOOK」データベースより)


 収録されているのは次の7話で、1)〜7)は当文庫収録順、( )内は発表年月。

1)長い暁(1980年2月)
2)照り返しの丘(1975年2月)
3)炎と花びら(1971年10月)
4)扉のひらくとき(1975年7月)
5)遥かなる真昼(1973年5月)
6)遺跡の風(1973年5月)
7)限界のヤヌス(1974年1月)

 で、3)5)6)7)は、『司政官』として1974年に単行本、1982年に文庫本。1)2)4)は『長い暁』として1980年に単行本、1982年に文庫本で早川書房から刊行されている。

 これらが1冊にまとめられて創元SF文庫から復刊されたというわけである。

 1)は地球連邦が軍事力による植民星統治から、司政官と官僚ロボット群という行政機構による統治に切り替えた直後の物語。まだ、植民星は駐屯軍と司政官の二重権力状態で、しかも表面上は軍の方が優位である。

 そこから、2)3)・・・と舞台となる星を変えながら時代を下っていきつつ、司政官制度の確立・進展・変遷を描く。

 そして、7)では司政官制度発足約70年が経過。原住者の文化・習慣・生活を尊重しつつ、原住者世界の文明発展を善導し、さらに植民者(地球人)との融和を図る・・・という理想は崩れつつある。

 高邁な理想や自負心に裏打ちされて始まったはずの司政官制度、着実に効果を上げつつ、それがゆえに根本的な矛盾(司政官は原住者と植民者のどちらを利するのか)を拡大し自壊していく・・・地味なSFと思いきや、複雑な読後感と人間存在に対する一種の虚しさを残す短篇集である。

 この後、『消滅の光輪』(1979早川書房/1981ハヤカワ文庫/2000ハルキ文庫)、『引き潮のとき(全5巻)』(1988〜1995早川書房/2006黒田藩プレス)と長編の続編が刊行されているらしいが、絶版である(黒田藩プレスは第2巻でストップ)。

 しかし、『消滅の光輪』は創元SF文庫から7月に出るらしいので、楽しみ。しかも、新たな続編執筆の構想もあるらしい。

 創元さんには『引き潮のとき』も出してもらいたい。司政官制度が、地球連邦が、宇宙世界がどうなっていくのか、最後まで付き合いたいと思う。


 次は『空の中』(有川浩・著/角川文庫)。
posted by ふくちゃん at 22:48| Comment(2) | TrackBack(0) | SF
この記事へのコメント
この短編集を店先で見つけた時は大喜びでした。
悪名高い早川書房がかつての版元だったので、もう二度と読めないと思っていましたから。おかげで文庫は読む暇がなくても買う癖がついています。
「司政官」シリーズはSFを読み始めの頃に全部読みましたが、見事に本は散逸させています。一好きなのは「長い暁」でした。
早く長編も復刻してほしいものです。
Posted by kinkacho at 2008年07月09日 12:52
>kinkachoさん。
『司政官』。
地味だけど、良い仕事ですよね。
Posted by ふくちゃん at 2008年07月09日 22:19
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