四畳半神話大系 著者名:森見登美彦(著)
出版社:角川書店
出版年:2008.03
ISBN :9784043878017
第一話「四畳半恋ノ邪魔者」
大学3回生となった私は、「充実」「青春」「恋」「勉学」とは全く無縁の来し方を振り返る。新入生の春、多くのクラブ・サークルの新歓ビラの中で、私が興味を惹かれたのは、映画サークル「みそぎ」、「弟子求ム」という奇想天外なビラ、ソフトボールサークル「ほんわか」、秘密機関「福猫飯店」の4つであった。いずれの場所にも、その先に“幻の至宝”「薔薇色のキャンパスライフ」があると夢見ていた私が選んだのは「みそぎ」であったが、馴染めず脱退。他の3つのサークルのどれかを選べば良かったと後悔しつつ、人の不幸をおかずに飯が食える疫病神の同級生・小津だけを友として、「みそぎ」を牛耳る先輩・城ヶ崎との不毛な抗争に明け暮れる孤独な四畳半生活であった・・・。
第二話「四畳半自虐的代理代理戦争」
大学3回生となった私は、「充実」「青春」「恋」「勉学」とは全く無縁の来し方を振り返る。新入生の春、多くのクラブ・サークルの新歓ビラの中で、私が興味を惹かれたのは、映画サークル「みそぎ」、「弟子求ム」という奇想天外なビラ、ソフトボールサークル「ほんわか」、秘密機関「福猫飯店」の4つであった。いずれの場所にも、その先に“幻の至宝”「薔薇色のキャンパスライフ」があると夢見ていた私が選んだのは「弟子求ム」に応じて、樋口師匠の弟子となることであった。他の3つのサークルのどれかを選べば良かったと後悔しつつ、人の不幸をおかずに飯が食える疫病神の同級生で兄弟子・小津だけを友として、「みそぎ」の城ヶ崎と樋口師匠との不毛な抗争のために働く四畳半生活であった・・・。
第3話「四畳半の甘い生活」
大学3回生となった私は、「充実」「青春」「恋」「勉学」とは全く無縁の来し方を振り返る。新入生の春、多くのクラブ・サークルの新歓ビラの中で、私が興味を惹かれたのは、映画サークル「みそぎ」、「弟子求ム」という奇想天外なビラ、ソフトボールサークル「ほんわか」、秘密機関「福猫飯店」の4つであった。いずれの場所にも、その先に“幻の至宝”「薔薇色のキャンパスライフ」があると夢見ていた私が選んだのは「ほんわか」であったが、馴染めず脱退。他の3つのサークルのどれかを選べば良かったと後悔しつつ、人の不幸をおかずに飯が食える疫病神の同級生で兄弟子・小津だけを友としながら、偶然のきっかけで始まった見ず知らずの女性との文通に慰められる孤独な四畳半生活であった・・・。
ということで、最初の3話は、いずれも大学3年生の「私」が過去2年を振り返りつつ話が進む。1年生のときに選んだサークルこそ違うが、悪友の小津、謎の自由人・樋口師匠、「私」が思いを寄せる孤高の乙女・明石さん、「みそぎ」の城ヶ崎先輩、怪しげな占い師など登場人物は共通し、エピソードや主人公の「私」の語りもその順序は微妙に異なるものの、ほぼ完全に同じである。「私」の高慢な、しかし、その向こうに孤独や純情や哀しみが透けて見える口調(文体)は、リズムもよく非常に面白い。
だが、パラレルワールド的展開ではあるものの、結局どのサークルを選んでも、「私」の大学生活には劇的な違いはない。コピペされた(ほぼ同じ)文章を3話続けて読むとなると、さすがに飽きてきて、斜め読みになってくる(笑)。
そして、第4話「八十日間四畳半一周」でも、やはり大学3年生の「私」は無為に過ぎた過去2年を思う。1年生のときに「福猫飯店」を選んだもの馴染めず脱退、小津だけを友としているのである。
しかし、ここで、細かい点は違えど同じ話と言っても良い前3話が効いてくるのである。
なるほどねぇ。
まあ、“男汁溢れる”四畳半物語という点では松本零士の『男おいどん』の方がはるかに上かな(笑)。
で、結局のところ、「私」は意外に幸せなんじゃないだろか、と思ったりするのであった。
ちなみに樋口師匠と酒豪顔舐め美女・羽貫さんは『夜は短し歩けよ乙女』にも登場するそうだ。
次は、『償い』(矢口敦子・著/幻冬舎文庫)。

