銀河英雄伝説 7 怒濤篇 著者名:田中芳樹(著)
出版社:東京創元社
出版年:2008.02
ISBN :9784488725075
レンネンカンプ総督の圧力の下、自らを逮捕しようとした同盟政府と退役生活に別れを告げ、かつての部下達と共に“不正規隊”(イレギュラーズ)として、惑星エル・ファシルの独立革命政府と合流するヤン。
「・・・予は自らの不明と帝国政府の不見識を認める。(略)」
「だが同時に、予は、同盟政府の無能と不実を看過することはできぬ。故レンネンカンプ高等弁務官がヤン元帥の逮捕を要求したことは不当であった。同盟政府はその不当なることを予にうったえ、同盟にとって最大の功労者たるヤン元帥の正当な権利を擁護すべきであったのに、強者にこびてみずからの法をすらおかしたのだ。しかも、その策動が失敗すると、報復をまぬがれるために、高等弁務官の身柄をさしだすとは!」
「一時の利益のためには国家の功労者も売る。直後にはひるがえって、予の代理者を売る。共和政体の矜持とその存在意義はどこへいったか。(略)」
清冽な精神を持つ銀河帝国の絶対君主にして、征服者ラインハルトの怒りをかった同盟政府。和約は破棄され、ラインハルトは同盟政府の完全粉砕を宣言する。
ヤンの尊敬する同盟軍の前宇宙艦隊尾司令長官であり、既に退役生活に入っていた老将ビュコックは、勝ち目がないことも、同盟政府の存在意義が潰えたことも承知で、同盟の軍人として最後の抗戦を試みる。かつてのヤンの部下や30歳以下の者については、ヤンの下に去らせた上で。
一方、まさかビュコックが自ら死地に赴くことはないと考えていたヤンは、同盟軍と帝国軍の間隙を縫って、2度目のイゼルローン要塞奪取を試みる・・・。
終戦後は、ヤンを臣下に迎えようとしたラインハルト。2人の、そして民主制と絶対王政の存在意義を賭けた新たな戦いが始まろうとしている。
その陰に蠢く、地球教(かつて宇宙の盟主であった地球の復活を目指す狂信集団。前巻で本拠は殲滅)、ルビンスキー(銀河帝国に征服されるまで、独立経済国家であった惑星フェザーンの自治領主。現在潜伏中)。そして、ラインハルト麾下の“帝国の双璧”のひとり、ロイエンタールの心の裡に芽生え始めた不穏な想い。
束の間の和平は終わり、新たなる混乱と争乱の世が訪れる・・・。
では、今巻の印象的なフレーズ。
“名君にとって最大の課題は、名君でありつづけることなのである。名君として出発して暗君または愚君として終わらなかった例は、ごく珍しい。君主たる者は、歴史の審判をうける以前に、みずからの精神の衰弱にたえねばならないのだった。”
・・・いずこも同じ也哉。
銀河英雄伝説1黎明篇
銀河英雄伝説2野望篇
銀河英雄伝説3雌伏篇
銀河英雄伝説4策謀篇
銀河英雄伝説5風雲篇
銀河英雄伝説6飛翔篇
次は、『犬はどこだ』(米澤穂信・著/創元推理文庫)。

