扉は閉ざされたまま 著者名:石持浅海(著)
出版社:祥伝社
出版年:2008.02
ISBN :9784396334062
以前『月の扉』を読んで、「おいおい、こんなのアリかよ・・・」と最後にガクッときた過去がある。
そんなわけで迷ったのだが、「06年このミス」第2位ということで購入。
倒叙モノであるからして、まずイキナリ序章の殺人シーンから始まる。当然、犯人もトリックも明らかにされる。
その後、時間は遡って第1章。
大学の軽音楽部で、“アル中分科会”と呼ばれた仲良し6人組が卒業後初めての同窓会に集まる。
まず、人望あるリーダー的存在の伏見亮輔。ただし、この同窓会を殺害計画実行の絶好機と捉え、実行に移す(移した)犯人である。
豪奢のペンションを同窓会会場として貸切で提供した同期の安東章吾。1年先輩で、現実的でシニカルな物言いの女性・上田五月。1年後輩で、この中ではある意味最も普通のキャラにも思えるが、伏見に殺害される新山和宏。同じく1年後輩で、気が利いて明るい、世話役的存在の大倉礼子(旧姓・碓氷礼子)。そして、2年後輩のイジラレ役・石丸孝平。
これに、礼子の妹であり、当時は高校生でアル中分科会のアイドル的存在だった碓氷優佳も加わり、7人の宿泊同窓会は和やかにスタートする。
間もなく、伏見は新山を事故死に見せかけて殺害する。ペンションの構造や防犯設備を巧みに利用し、外部からの進入を一切拒む完璧な密室殺人。しばらくは誰もが、それまでのやりとりや状況から、新山が軽い運動+前日までの睡眠不足+薬の服用と副作用+アルコールによって、眠っているだけだろうと考える。
ある理由(動機に絡む)から、警察による新山の死体回収をできるだけ遅らせようとする伏見の意図通りの展開だが、些細な点から疑問を抱いたのは、優佳だった。
“冷静で熱い”伏見と“冷静で冷たい”優佳。互いに、並外れた観察力と洞察力を持ち合わせた2人。過去に因縁のある2人。
皆が伏見の誘導にコントロールされそうな中、そのシナリオを突き崩して行く優佳。
息詰まる頭脳戦。面白い。
ただ、なぜ仲良しの後輩を殺害したのか?その動機が最後の最後で明らかになるが、相当違和感がある。こんな理由で人を殺すかなぁ・・・と。
巻末の光原百合氏の解説によると、やはり物議を醸したようだ。それを補うために、文庫化にあたって、「前夜」というタイトルのエピローグ(時系列としては同窓会のずっと前)を追加したようだが、それでもなぁ・・・。
もう少し敷衍して、この事件を“歪んだ正義感による殺人”と考えれば、この動機も分からないでもないというか、成り立つような気がしないでもないというか・・・。
いや、でもなぁ。
あと、碓氷優佳はかなり特異なヒロインで、感情移入できんかった。如何に見目麗しくても。こういう女性には関わりたくない(笑)。
でも、論理による知的な戦いはとても楽しめる。
で、これまた巻末解説によると、この作品は“倒叙3部作”の第1弾ということであり、3月12日にはノベルズ版で第2弾『君の望む死に方』が発売されるそうだ。探偵役は再び碓氷優佳。楽しみ。
さらに、帯によると『扉は閉ざされたまま』が3月29日、『君の望む死に方』が3月30日、WOWOWでドラマ放映されるそうだ。前者では黒木メイサ、後者では松下奈緒が碓氷優佳を演じるらしい。黒木メイサの方が、まだ僕のイメージに近いかな?
どっちにしても加入してないから、観れんけど。
次は、『居眠り磐音 江戸双紙 狐火の杜』(佐伯泰英・著/双葉文庫)。


私は二年ちょっと前に新書で読みましたが、やはり納得できないことの一つは動機でしたね。もう一つは優佳がすごすぎること。
それでも石持作品の中ではかなり面白いとは思いましたが。
優佳には生きた人間の血が通っていない感じがしますね。もちろん意図的にそう設定されているわけでしょうが、ちょっと抵抗ありました。
優佳の追求がすごすぎでしたね。
私も関わりあいたくないです。
今後もTBさせていただきますね。
よろしくお願いいたします。
ええ。ここまで凄いと怖いですね。
犯罪を放置できないのは、当然としても。
別のコメントにも書きましたけど、もう少し人間的なキャラが良かったな(笑)。
今後も宜しくお願い致します。