死神の精度 著者名:伊坂幸太郎(著)
出版社:文藝春秋
出版年:2008.02
ISBN :9784167745011
千葉の職業は死神である。レトリックではなく、正真正銘、本物の死神である。
彼ら死神=調査部スタッフは、情報部の指示に基づいて対象者となる人間に接触する。
彼らの容姿・年齢は、対象者に合わせて、その度ごとに決定される。
そして、7日間の調査の後、対象者を死なせるべきであれば「可」、そうでなければ「見送り」と情報部に報告する(大抵の場合「可」)。「可」と判定された人間は8日目に死ぬ。その死を見届けるまでが、死神の仕事である。
彼らの姓は、自治体の名称から取られる。
彼らは人間の作り出す「音楽」が好きで、仕事で派遣された7日間、暇さえあればCDショップの試聴コーナーに入り浸る。
彼らの中には、あと7日間で(おそらく)死ぬ人間のために、サービスに励む者もいる(例えば恋人になるとか)。だが、千葉は人間そのものには全く興味がなく、至ってクール。ハードボイルドな趣きさえある。それでいて妙なオカシミもある。それは彼ら死神が人間の姿・形をして、人間の言葉を話してはいても、人間ではないゆえに生ずる、対象者との会話のギャップのためである。
仕事をするときはなぜかいつも雨に降られる千葉が、接触・調査する6人の老若男女の人生。
冒頭の表題作を除き、千葉は対象者全てに関して「可」と報告する。表題作はもちろん、決して幸福なストーリーではない他の5篇も、なぜか爽やかな読後感だ。
意外な着地点に辿り着く『死神の精度』。閉ざされた雪の山荘での連続殺人ミステリ・・・風の『吹雪に死神』。『死神の精度』、『恋愛で死神』と鮮やかに繋がる最終篇『死神対老女』が特にお気に入り。
金城武主演の映画(3/22公開)も楽しみだ。
次は、『かたみ歌』(朱川湊人・著/新潮文庫)。

