仕掛け花火 著者名:江坂遊(著)
出版社:講談社
出版年:2007.11
ISBN :9784061825642
“ショートショートのあっけらかんと短いという制約が気に入っています。奇妙で愉快な話をあっけら缶にギュウギュウ詰め込みました。是非ともお求めいただきご開缶下さい。開けた途端に、仕掛けておいた花火が星まで届けと、実際まことに見事に打ち上がることになっています。”
(著者のことば)
その昔、ショートショート界の大巨人・星新一氏が選者を務めるショートショート・コンテスト(もしくはショートショート・コンクール)というものがあり、その優秀作をアンソロジーにした『ショートショートの広場』という本がシリーズで出てた。
“その昔”と書いたが、星氏の没後は阿刀田高氏が引き継いでおり、コンテストも『ショートショートの広場』の刊行も継続中である。
が、僕は星氏が選者の時代のモノしか読んでいない。
阿刀田氏選によるものはなんか違うな、と感じたのだ。もう昔のことで、何をどう感じたか思い出せないが。
星氏の著作は今も手元に十数冊あるが、ショートショートの新作って最近めっきり読んでなかった。だいたい星氏以降、ショートショート専業作家なんていないと思っていたし。
そしたら、最近ひょんなことから江坂遊氏の存在を知った。
初期のコンテストの入選者であり(だから多分僕も読んでいたハズ)、コンテスト出身者では唯一のショートショート専業作家、しかもこれまた唯一、星氏が自分の弟子であると公言していた人だそうだ。
星氏には長編もあるが、江坂氏はホントにショートショート・オンリーらしく、2007年正月現在でその作品数は745編。星氏の1,001編を抜くのはこの人しかいないかも(それとも他にもう抜いている人いる?)。しかし、ショートショート専業では食えないようで、別に仕事を持っておられるようだ。
知っている人は知っている通り、ショートショートはあんな短いのに、いやあんなに短いからこそ、書くのに時間がかかる。しかも、ボリュームがないから原稿料は安い。本にまとめるで時間がかかる。とにかく割に合わないのだ。
そして、星氏がいない今、完全にマイナー・ジャンルである。
この『仕掛け花火』も、1992年に講談社ノベルズから刊行されたモノを“綾辻・有栖川 復刊セレクション”として再刊したモノだし、そのほかの江坂作品は講談社文庫から『あやしい遊園地』『短い夜の出来事』の2冊があるだけ(Amazonでは中古品しかないから絶版だろう)。
民話風、時代物風、中国故事風、会話だけの掛け合い漫才風など、星氏とは微妙に異なる味わいだが(星新一風もあり)、久々にショートショートの妙味を味わえて楽しかった。
私のオツムでは理解できないオチの作品も若干あったけど(笑)。
巻末にはノベルズには珍しく解説付き(最初に刊行された際の星氏による解説と復刊に際しての最相葉月氏による解説)。
次は、『君を乗せる船 髪結い伊三次捕物余話』(宇江佐真理・著/文春文庫)。

