誰か 著者名:宮部みゆき(著)
出版社:文藝春秋
出版年:2007.12
ISBN :9784167549060
久し振りの宮部みゆき本。
僕は世評高い『理由』も『模倣犯』も、もうひとつ楽しめなかった。登場人物のディテールを徹底的に書き込む手法が好きになれなかった。詳細を書くこと=リアリティを究めるではないと思う。饒舌な作品も決して嫌いじゃないが、あの2作品は書き過ぎの感があった。
そういう意味で、今作は納得。本筋に直接関係のない登場人物の過去の人生の詳細とか、無駄な(と僕には思える)書き込みが無くても、ちゃんとキャラは立っていて、その表情や佇まい、どんな風に生きてきたかが見える気がするから。
・内容
今多コンツェルン広報室の杉村三郎は、事故死した同社の運転手・梶田信夫の娘たちの相談を受ける。亡き父について本を書きたいという彼女らの思いにほだされ、一見普通な梶田の人生をたどり始めた三郎の前に、意外な情景が広がり始める―。稀代のストーリーテラーが丁寧に紡ぎだした、心揺るがすミステリー。
(「BOOK」データベースより)
ミステリと書いてあるから、ミステリにカテゴライズしたものの、ミステリを読んだ感じはしない。人は死ぬけど、トリックも動機も名推理もない。『このミス2008』の書評子の座談会で、今の日本でリアリティのあるハードボイルドを書こうと思えばこういう作品になると評していたが、まさにそんな感じ。
典型的なハードボイルドの感触は、会話にも文体に皆無。暴力も血の匂いもない。組織と一匹狼の戦いもない。いかにもクールでタフ・・・というわけでもない主人公は、ごく普通のサラリーマン。だが、他人の人生と関わる際の真摯で出しゃばり過ぎない姿勢、他人から不躾に浴びせられる言葉や思いへの受容態度は、確かにハードボイルドのそれである。
人間の浅はかさ、卑しさ、不可解さを見せ付けられるような苦い味の残る話ではあるが、それでも主人公とその妻の誠実さや優しさが温かさを感じさせてくれる、そんなちょっといい話でもある。
というわけで、久々に好きな宮部作品となった。同じ主人公の『名もなき毒』の文庫化が楽しみだ。
で、次は典型的というか正統派というか、ハードボイルドで『愚か者死すべし』(原寮・著/ハヤカワ文庫)。
※「寮」は正しくはウかんむり無し。


ミステリーっぽく無かったですね。
『愚か者死すべし』は、スリル・サスペンス・バイオレンスの塊ですね。
映画にしたらR指定になっちゃいますね。
『愚か者死すべし』まだ途中なんですけど(遅い・・・)、バイオレンスなんですか?R指定ですか?今のところまだその気配は・・・^^;。ラストの方で、激しくなるのか?
とにかく、続きを読みます!