風の歌、星の口笛 著者名:村崎友(著)
出版社:角川書店
出版年:2007.10
ISBN :9784043864010
SF3連発の最後は『風の歌、星の口笛』。“タイトル買い”である。
ミステリにカテゴライズしたのは、この作品が2004年の横溝正史ミステリ大賞受賞作だから。
とあるミステリ・ファン・サイトではミステリとしてもSFとしても、ぼろくその評価。確かに突き詰めていくと、どちらのジャンル作品としも粗いところはある。SFやミステリとしての論理性・整合性に厳密な人にとっては腹の立つ作品なのかも。
けど、僕は嫌いじゃないなぁ・・・。
物語は、次の3つのパートが交互に進んでいく。
1)暇で金のない私立探偵トッド・マルーンに久々の依頼が来た。同じマンションに住む少女ビビが飼っている、死なないはずのロボット・ペット=ロペットが動かないというのだ。この世界では、「神」とも同等の存在であるコンピュータ“マム”によって、全てが完全・安全・快適に保たれている。そのマムが創り給うたロペットが動かないなんてことがあるわけがない。だが、同様のロペットが続出、街には停電区域が広がり、かつてない異常気象が続く。いったい、何が起っているのか?
2)宇宙暦700年、地質学者のジョーと植物学者のクレインは25光年の距離と250年の時間をコールドスリープで超えて、かつて地球人が建造した人工惑星プシュケに到着する。繁栄しているはずのプシュケを、滅亡に向かう地球を救う参考にするために。ところが、辿り着いたプシュケは生命反応のない砂漠の星と化していた。そして、出入り口が存在しない建物の“天井”にはミイラと化した死体が張り付いていた。いったい、この星に何が起こったのか?
3)西暦2000年代の近未来、交通事故で入院していた僕・センマは、退院してすぐ恋人のスウに会いに行く。しかし、彼女の一家は不在で、転居先に住んでいたのはスウという名の赤ちゃんとその母親だった。母親は僕のことなんか知らないという。自宅に戻ってみると、スウとの思い出の痕跡は全て消去され、両親と妹からは、僕の恋人はベスという高校時代の同級生だと聞かされる。スウはどこへ消えたのか?僕の記憶がおかしいのか?
1)と2)については、1)が滅亡する前のプシュケの話であることはすぐに分かる。しかし、ここに3)がどのように絡んでくるのか、というのが読みどころだ。
これら3つの物語のリンクの全貌が明らかになり、センマとスウの数奇な運命が明らかになったときの、切なさはなかなかに良い。
ただ、2)の密室トリック(?)は壮大といえば壮大、SF設定じゃなきゃできないが、この部分が無くても物語全体は成立するよなぁ・・・。同じようなトリックの先例があるのは、まあ良いとしても。あと、日本語は正しく使ってほしいと(自分を棚に上げつつ)思う箇所もあったな。
次は、『のだめカンタービレ#19』(二ノ宮知子・著/講談社)。

