やさしい男 著者名:北原亞以子(著)
出版社:新潮社
出版年:2007.09
ISBN :9784101414218
連作短篇時代小説『慶次郎縁側日記』シリーズの第7弾。
主人公は、かつては「仏の慶次郎」と謳われた血も涙もある腕利き同心、今は家督を義理の息子・晃之助に譲った気楽な隠居で商家の寮番、森口慶次郎。
とはいえ、慶次郎メインの話ばかりではなく、彼は背景に退いて周囲の人物がメインの話もあるし、どころか直接的には登場しないのに、慶次郎の存在感を感じさせる話もある。
上手いなぁ・・・。
事件や捕物よりも「人」の哀しさや優しさを描き、明確な起承転結よりも日常の流れを切り取ったかのようにすぅっと話が始まり、ストーリーや心情や結末を言葉で説明し尽くしてしまうような野暮はせずに終わる。それでいて、書かれなかったところに何があるのか確かに伝わるし、「はい、オシマイ」という閉じた終わり方ではなく、その後の展開に自然と思いを馳せてしまう開かれた終わり方に、何とも言えぬ余韻がある。・・・心楽しい結末ばかりではないけれど。
本当に上手い・・・。時代小説が好きなら、外せない人だと思う。
次は、『水滸伝・十三 白虎の章』(北方謙三・著/集英社文庫)。


タイミングが悪いのか、本屋でも図書館でも
1作目から揃っているのに出会ったことがありません。
でもふくちゃんさんのコメント読んで
かなりそそられました。
本腰入れて探してみようかしら。
前日譚が収められた短篇集「その夜の雪」も併せてどうぞ。ちょっと重い話ですが、「慶次郎縁側日記」がより好きになると思います。
単行本を揃えて読んでます。
北原氏の作品は確かにその終わり方が独特で
結末を書かずに、こちらの想像の膨らみを
持たせたラストがとても好きです。
先日、たまたま『傷』と『再会』を再読してた
ところなのです。
蝮の吉次が憎めなくて好きです。
蝮の吉次は最初はただ単に嫌な奴で、でもシリーズが進むにつれて、だんだん憎めなくなってきて、根は悪くないのに素直になれねぇ奴だなぁ・・・と思う今日この頃です。