雪沼とその周辺 著者名:堀江敏幸(著)
出版社:新潮社
出版年:2007.07
ISBN :9784101294728
堀江敏幸氏は、初めて読んだ『熊の敷石』が良くて、その次に読んだ『いつか王子駅へ』は僕には退屈で、これが3冊目。
小さなレコード店や製函工場で、時代の波に取り残されてなお、使い慣れた旧式の道具たちと血を通わすようにして生きる雪沼の人々。廃業の日、無人のボウリング場にひょっこり現れたカップルに、最後のゲームをプレゼントしようと思い立つ店主を描く佳品「スタンス・ドット」をはじめ、山あいの寂びた町の日々の移ろいのなかに、それぞれの人生の甘苦を映しだす川端賞・谷崎賞受賞の傑作連作小説。
(「BOOK」データベースより)
雪沼という架空の街とその周辺で暮らす、普通の人々の日常を切り取った、微かに重なり合う7つの短編。起承転結が有るような無いような・・・無い。だから、どの作品も、え?ここで終わり!?みたいな終り方。でも、実際の人生にも、絵に描いたように分かりやすい起承転結や序破急なんて存在しないものだ。
それに「普通の人々の日常」なんて安易にまとめてしまったけど、誰にでもあてはまる「普通の日常」なんてものも、やっぱり無いのだ。人それぞれに生きていて、見ようによっては、みんな普通じゃないし、他人には窺い知れない部分もあるし、ドラマもあるし、それが普通なのだ。
「普通」なんて無いのが「普通」なのだ。自分の、誰かの、その人生がちっぽけな普通の人生に見えても、本当はその人だけの特別な世界なのだな。
次は『半島を出よ』(村上龍・著/幻冬舎文庫)。

