2007年07月21日

卵のふわふわ 八丁堀喰い物草紙・江戸前でもなし


卵のふわふわ
著者名:宇江佐真理(著)
出版社:講談社
出版年:2007.07
ISBN :9784062757799


 「秘伝 黄身返し卵」、「美艶 淡雪豆腐」、「酔余 水雑炊」、「涼味 心太(ところてん)」、「安堵 卵のふわふわ」、「珍味 ちょろぎ」とちょっと珍しい料理・食べ物をタイトルにした連作時代小説。

 「のぶちゃん、どこだい?わし、腹が減ったよう。お雑煮を作っておくれ」 ― 北町奉行所・臨時廻り同心・椙田忠右衛門の最初のセリフがこれである。いきなりこんなセリフで登場する同心がかつていただろうか(笑)。もう引退してもよいぐらいの年齢なのにぬーぼーとして、どこか子どものようで、食い意地が張っていて、嫁ののぶをとても可愛がっている・・・という忠右衛門のキャラが一発で伝わってくる。

 この忠右衛門と歯に衣着せぬ物言いの妻ふで、椙田家の地所に住む幇間(ほうかん)の桜川今助の遣り取りが面白い。電車の中で噴き出しそうになって困った。

 忠右衛門夫婦がのぶに寄せる愛情は微笑ましい。だが、2人の息子であり、のぶの夫である隠密廻り同心・正一郎ののぶへの態度は居丈高で冷たい。それでも忠右衛門とふでに対する想いから、夫とのすれ違いに耐えるのぶなのだが・・・。

 不器用な正一郎の態度にはそれなりに理由があって、こじれていく2人の仲が最終的にどうなるのか?あまり仲の良い夫婦には見えない忠右衛門とふでの過去には何があったのか?というのが読みどころ。

 正一郎とのぶがハッピーエンドになることは最初から予想できるし、忠右衛門とふでの結び付きの確かさも描かれるのだが、ラストの忠右衛門の○○は意外だった。

 同心一家が主人公とは言っても捕物ではなく、江戸の食べ物を彩りに夫婦・家族を描いた暖かい作品。ぜひ、続きを書いてほしいな。


 次は『水滸伝・十 濁流の章』(北方謙三・著/集英社文庫)。
posted by ふくちゃん at 22:00| Comment(6) | TrackBack(3) | 歴史・時代小説
この記事へのコメント
こんばんわ☆

面白そうな本ですね。
ふくちゃんさんが吹き出しそうになって困った本…ぜひとも読んでみたいです。
今度本を買うときに、探してみますね♪

水滸伝…9巻を読む前に10巻が出てしまいました…。
Posted by マメリ at 2007年07月23日 00:26
>マメリさん。
時代小説って、取っ付きにくいと思う人もいるんでしょうけど、一種のファンタジーだと考えると、なかなか楽しいジャンルですよ。
「水滸伝」10巻も面白いです!
今回もあっという間に読み終わりそう。
Posted by ふくちゃん at 2007年07月23日 22:02
初めまして
時代物は大好きでよくよみますが、この方のは4〜5冊しかよんだことがありませんでした。いまのところ、そのなかでも「卵のふわふわ」が一番すきかなと思います。
意外性はない終わり方・・・でも読後はなんかこころが震えて爽やかで心地よい
不思議な作家さんだとおもいます
Posted by むぎこ at 2007年07月25日 07:02
>むぎこさん。
伊三次シリーズをぜひ読んでみて下さい。
あと、オススメの時代小説があれば教えて下さいね。
Posted by ふくちゃん at 2007年07月25日 23:52
こんばんは!
のぶと正一郎のすれ違い、やきもきしながら夢中になって読みました。
とっても良かったです。
最後は私も意外でしたが、続きを読みたいですね〜。
なにはともあれ、おススメいただいた伊三次シリーズ読んでみます♪
Posted by エビノート at 2007年08月21日 22:42
>エビノートさん。
ぜひ、伊三次シリーズを読んでみて下さい。
僕は特に伊三次が芸者のお文が結婚する以前のシリーズが好きです。
Posted by ふくちゃん at 2007年08月22日 23:55
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