2007年06月07日

夢館


夢館
著者名:佐々木丸美(著)
出版社:東京創元社
出版年:2007.04
ISBN :9784488467036


 『崖の館』『水に描かれた館』に続く<館>3部作の完結編。

 前作2作の印象が“ビミョー”だっため購入を迷ったが、乗りかかった船で最後まで読むことにする。

 『水に描かれた館』の記事では、コメント欄に「完結編の『夢館』はこれら2作の前日譚のようですよ」と書いた。なぜなら、本作のヒロイン・千波は、過去2作において既に死んだ人として描かれていたからだ。

 しかし、本作の紹介文を読んで仰天。なんと前日譚ではなく続編ではないか。しかも、読んでみると『水に描かれた館』から結構時間が経っているらしい。これはどういうことなのか・・・?


崖に聳えるガラスの館。かつてそこで命を落とした少女、千波は再びの生を得て、青年学者の吹原と出会う。しかし二人の前世からの縁(えにし)と、吹原の一族に潜む愛憎がもたらす過去の悲劇が、千波に新たな試練を課した。前世の思い出を映す未来に導かれるように、千波は崖の館をめざし、歩きはじめる。少女と館を巡る三つの物語、完結。単行本未収録作品「肖像」を併録する。
(「BOOK」データベースより)


 『崖の館』は幻想的な色合いながら、まだ推理小説のテイストが強く漂っていた。『水に描かれた館』では推理小説の要素は大きく後退し、『夢館』は完全に幻想小説だ。創元推理文庫だから「ミステリ」にカテゴライズしたものの、推理小説ではない。

 千波の苦難にイライラしながら読んだ。これは悪口ではなく、それだけ入り込んで読めたということである。そう、3部作の中ではいちばん面白かった。もっとも前2作があるゆえの面白さなので、これから読む方には最初から読むことをお勧めする。

 少女趣味と紙一重で赤面しそうなフレーズも多々あるが、ロマンチックかつ不思議で美しい佳作。昼メロドラマ(観たことないけど)が好きな人に受けたりして。


 次は珍しく単行本、話題の(?)コラボ小説集『小説 こちら亀有区葛飾公園前派出所』を。
posted by ふくちゃん at 22:24| Comment(0) | TrackBack(0) | ミステリ
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