空を見上げる古い歌を口ずさむ 著者名:小路幸也(著)
出版社:講談社
出版年:2007.05
ISBN :9784062757362
最近話題の小路幸也氏のデビュー作。初読みだ。タイトルが良い。
・・・まあ、さすがはメフィスト賞受賞作というべきか、奇妙奇天烈なミステリである。
というか、厳密な意味でのミステリではない。本来の意味での殺人もトリックもないのだから。人は結構死ぬし、謎はあるが。
みんなの顔が“のっぺらぼう”に見える―。息子がそう言ったとき、僕は20年前に姿を消した兄に連絡を取った。家族みんなで暮らした懐かしいパルプ町。桜咲く“サクラバ”や六角交番、タンカス山など、あの町で起こった不思議な事件の真相を兄が語り始める。懐かしさがこみ上げるメフィスト賞受賞作。
(「BOOK」データベースより)
プロローグとなる最初の章の語り手は、自分の息子が「みんなの顔が“のっぺらぼう”に見える」ハメに陥ってしまった凌一。「〜だったんだ」を多用する語り(文体)がどうも気になった。
その後は凌一の前に20年ぶりに姿を現した兄・恭一が、自らの少年時代を回想して語っていく。実は恭一も小学校5年以来、まわりの人間の顔が“のっぺらぼう”に見えるようになってしまい、それが家族と離れる原因にもなったのだ。
興味を削ぐので詳しく説明できないが、ファンタジックなホラーというかスリラー(というほど怖くはないが)の趣きもあるし、昭和を生きる少年少女の世界 ― 秘密基地、怪談話、クワガタ、ポン菓子 ― を描いたノスタルジックな物語でもある。
・・・面白くないことはないが、スッキリしないものは残る。独りよがり一歩手前の作品という気もしないでもない。でも、クドイようだが、面白くないことはないのである。
ちなみにパルプ町は北海道旭川市に実在する町名で、グーグル・マップでもちゃんと表示される。絶対に架空の町名だと思っていたから(住民の方、すいません)、なんか不思議。
次は、『夢館』(佐々木丸美・著/創元推理文庫)。

