黄昏の百合の骨 著者名:恩田陸(著)
出版社:講談社
出版年:2007.04
ISBN :9784062756945
『麦の海に沈む果実』という作品がある。全寮制の学校を舞台にした幻想的で緊張感のあるミステリだ。
恩田陸ファンなら先刻ご承知だが、『麦の海に沈む果実』は『三月は深き紅の淵を』、『黒と茶の幻想』と微妙にリンクしている。どれも独立した話ではあるが『三月』→『麦の海』→『黒と茶』と刊行順に読むのが良いだろう。3つとも好きな作品だ。
そして『黄昏の百合の骨』である。
これだけは先行3作品と異なり、完全に『麦の海』の続編。あの学校を出た後の水野理瀬の物語である。当然、期待に胸を膨らませて読んだ。ちなみに巻末の篠田真由美氏の解説通り、独立した作品として読めなくもないが、やはり『麦の海』を先に読んでおくべき。
強烈な百合の匂いに包まれた洋館で祖母が転落死した。奇妙な遺言に導かれてやってきた高校生の理瀬を迎えたのは、優雅に暮らす美貌の叔母二人。因縁に満ちた屋敷で何があったのか。「魔女の家」と呼ばれる由来を探るうち、周囲で毒殺や失踪など不吉な事件が起こる。将来への焦りを感じながら理瀬は―。
(「BOOK」データベースより)
全編に流れる張り詰めた不穏な空気は、これこそまさに恩田陸氏の真骨頂。1章から4章までお見事。ところが、最終5章の取ってつけたようなエンディングには拍子抜け。
続編がありそうな終り方だな。
この後、さらに恩田陸文庫本最近刊・最新刊読破シリーズとして『禁じられた楽園』(徳間文庫)、『まひるの月を追いかけて』(文春文庫)と買い進めるつもりだったが、2作続けて裏切られたので休憩。『葉桜の季節に君を想うということ』(歌野晶午・著/文春文庫)を読む。

