幻夜 著者名:東野圭吾(著)
出版社:集英社
出版年:2004.01
ISBN :9784087746686
続いて『幻夜』。
「ストレートな続編を書いてもしゃーない」みたいなことを東野氏が言ってたような、言ってなかったような。
確かに『白夜行』を読んでいなくても楽しめる作品になっている。だが、『白夜行』を読んでおく方がより楽しめる。
どこにも明確に書かれていないが、ここに登場する新海美冬という女性は、明らかに『白夜行』の雪穂である(と思うことにする)。
最初は亮司を失った雪穂=美冬が新たなパートナー水原雅也と組んだだけで、『白夜行』と同じ話やなぁと思いながら読んでいた。
だが、『白夜行』では彼女よりも亮司の方が直接的に犯罪に手を染めるシーンが多く、雪穂=美冬はその向こうに隠れているようであったのに対して、『幻夜』では美冬=雪穂が完全に主導権を握って、周りの人間を踏み台にしながらのし上がっていく。その彼女の美しい顔に隠された「より完璧な人生」を生きようとする執念、常軌を逸した凄まじいまでの「渇き」に圧倒される。
その凄みは、我々読者が『白夜行』において彼女の幼少期から大人になるまでを見てきたことによって倍加されるのだ。そして、不思議なことに、これほどの悪女に対して恐怖すると同時に哀感も禁じえないのである。
世評では『幻夜』よりも『白夜行』の方が上みたいだけど、僕は『幻夜』の方が好きだ。でもそれも『白夜行』があったればこそなので、2つで1つの作品というべきか。
さらに続編が書かれるという噂もあるようだが、美冬=雪穂がどこまで行き着くのか読んでみたい気がする。また、雪穂が亮司を失い、美冬となるまでの物語も読んでみたいものだ。

