ロング・グッドバイ 著者名:レイモンド・チャンドラー(著)
村上春樹(訳)
出版社:早川書房
出版年:2007.03
ISBN :9784152088000
やっと読み終えた。とにかく分厚い単行本。5cmはある。
ハードボイルド読みではなくとも、読書好き、特にミステリ好きなら、私立探偵フィリップ・マーロウとその創造主レイモンド・チャンドラーの名前を知らない人はいないだろう。
・・・とエラそうに言ってみたものの、僕も読んだのは初めて。
なんせ、我がベスト・フェイバリットの村上春樹氏が世に問う、フィリップ・マーロウものの代表作『長いお別れ』の新訳。しかも、春樹氏本人が非常に影響を受けたという作家と作品である。
読まないわけにはいかない。
ひょっとしたら、「村上春樹」と「ハードボイルド」が結びつかないという方もいるかもしれない。しかし、ファンなら先刻ご承知の通り、春樹氏には『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』という作品(大好きだ!!)があり、ハードボイルド・タッチの語りが楽しめる。
だが、今回『ロング・グッドバイ』を読んでみて、この作品がそんな表層的なレベルにとどまらない影響を春樹氏とその作品に与えていることを得心した。
そして、春樹氏が本書の長い訳者あとがきで述べておられるように、フィッツジェラルドの『グレート・ギャッツビー』との相似性も確かに強く感じたし、『ロング・グッドバイ』がその後の純文学に大きな影響を与えたという考察にも納得である。
一般的にイメージするところの(陳腐な意味合いでの)ハードボイルドとは全く違う。春樹氏がこの作品を一切「ハードボイルド」とは呼ばないのも頷ける。
僕も今までいくつかのハードボイルドを読んできたし、好きな作品もあるけど、そのいずれともテイストが違う。
純文学がハードボイルド・ミステリより上位の文学などと言うつもりは毛頭ないが、純文学のような味わいの小説である。
それもくだらない純文学ではなく、優れた純文学の。
で、次もミステリ。『水に描かれた館』(佐々木丸美・著/創元推理文庫)を読み始めたところ。


春樹さんはどう訳してるんですか?
「タフでなければ・・・」は『プレイバック』という作品におけるマーロウのセリフだそうです。
『ロング・グッドバイ』における有名なセリフは、「さよならをいうのはわずかのあいだ死ぬことだ」と「ギムレットには早すぎる」みたいです。
春樹氏は「さよならを言うのは、少しだけ死ぬことだ」、「ギムレットを飲むには少し早すぎるね」と訳してます。