2007年02月24日

スロウハイツの神様(上・下)


スロウハイツの神様 上
著者名:辻村深月(著)
出版社:講談社
出版年:2007.01
ISBN :9784061825062


 辻村深月さんのデビュー作にして第31回メフィスト賞受賞作(ちなみに第1回受賞作は森博嗣・著『すべてがFになる』)、『冷たい校舎の時は止まる』を買ったのは、装丁がとても良かったから(書店で上・中・下巻を並べてみよう!)。

 ミステリとしては反則ながら、ある意味斬新な真相。そして何よりも、仲良しの高校生の男女数名を主人公に据えたこの作品は、哀切極まりない、優れた青春小説だった。学園・青春ミステリは数多いが、悲痛度ではピカイチだろう。

 それ以降、『子どもたちは夜と遊ぶ』、『凍りのくじら』、『僕のメジャースプーン』と全て読んできたのだが、一作ごとに僕の評価は下降・・・。理由は、ミステリらしさが薄まる一方であること、頭の中でこねくり回して「作りました!」という強い作為を感じてしまうこと(凝った話にしようとしすぎてる気がする)。そうやって内容への評価が下がるにつれて、文章の欠点が反比例のように気になりだした。

 尤もブロガー諸氏の書評では、軒並み高評価のようである。涙した、という書評も拝見した。要は、僕自身がこれらの作品を必要とする状態に無かった、ということかも(読書って、出会いのタイミングで評価が変わることも多いハズ)。

 この作品も上巻を読んでいる間は、欠点に意識が行って仕方なかった。特に気になったのは、1人称と3人称の文章が入り乱れる点と間違った日本語表現(例えば「ばかのはさみは使いよう」)。

 こういうのを直すのが、編集者の仕事だと思うのだが、どうだろう?それともこれも個性と認めているのかな?

 しかし、下巻に入ると、これがもうグイグイ読ませる。欠点もさして気にならなくなる(我ながら適当だ)。伏線の張り方と回収の仕方には、無理があるよなぁ・・・というモノと、上手く考えたなぁ・・・というモノがあるが、総合するとよく考えられたお話であり、爽やかな読後感が残る。出来過ぎ・・・という感も多少あるが。

 というわけで、褒めてないようにも思われるかも知れないけど、結構面白かった。僕の中では、辻村作品の1位が『冷たい校舎の〜』で、2位が『子どもたちは〜』とコレかな。

 あと、講談社ノベルズはミステリ・レーベルだし、この作品もミステリ的手法で書かれているのだが、ほとんどミステリという感じはしない。なので、カテゴリとしては「青春小説」としてみた。ま、カテゴリなんて便宜的なもんで、そんなもの超越・越境した作品も多いんだけど。

 あ、そうそう。この作品、『凍りのくじら』の芦沢光が脇役で登場。こういうの、ちょっと嬉しいね。


 んで、今は『黒猫/モルグ街の殺人』(ポー・著/光文社古典新訳文庫)。
posted by ふくちゃん at 00:16| Comment(0) | TrackBack(1) | 青春小説
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辻村深月「スロウハイツの神様 上」
Excerpt: 本日ご紹介するミステリーは、辻村深月さんの「スロウハイツの神様(上)」です。●あらすじ脚本家、小説家、編集者、画家の卵、漫画家の卵、映画監督の卵たちが住む「スロウハイツ」。家主である脚本家の赤羽環を中
Weblog: フォーチュンな日々(仮)
Tracked: 2007-04-03 21:30