GO−ONE 著者名:松樹剛史(著)
出版社:集英社
出版年:2007.01
ISBN :9784087461237
主人公は、地方競馬のジョッキー(騎手)、日下部一輝。馬の能力も脚質もレース展開も馬場のコンディションもお構いなし。馬に勝たせてもらうのではなく、自分の力で馬を勝たせる、そして全部のレースで勝ちに行くことにこだわり、文字通り鍛え上げた豪腕で馬を強引に走らせる。しかも、自信過剰、傲慢、直情径行。実際に身近にいたら、扱い難いことこの上ないし、「ロスさせることなく、気持ちよく走らせて、馬の能力を最大限に引き出す」ことが絶対視される現実の競馬界には絶対にいない破天荒なジョッキーであるが、そこが最大の魅力。
ただ、彼がそんなふうになったのには理由があって、かつての一輝は品行方正とまではいかなくても、性格も騎乗の仕方も至ってまとも。その変化の理由は物語の後半で一応明らかになるのだが、もうひとつ説得力が弱い。書き切れていない感じが残った。
また、第1章は妹であり、厩務員でもある日下部一那、第2章は中央競馬の女性騎手・一之瀬早紀、第3章は一之瀬と同期の中央競馬の騎手・田京康友、そして第4章は一輝本人の視点から物語が紡がれ、一輝の人となりも見えてくるのだが、この手法に関しても十分に効果を上げているとは思われない。
一那、早紀、田京の3人もそれぞれ魅力あるキャラクターであるが、そこも十分には掘り下げられていないと感じた。
約240ページの作品で、あっという間に読めるのだが、もっとページを割いて書き込めば、さらに読み応えのある小説になったのではないだろうか?
現状のままでも面白くないということはないが、いささか軽いというか、ちょっともったいない気がした。
で、次はもう読み終わった『のだめカンタービレ#17』(二ノ宮和子・著/講談社)。

