崖の館 著者名:佐々木丸美(著)
出版社:東京創元社
出版年:2006.12
ISBN :9784488467012
財産家のおばが住まう崖の館を訪れた高校生の涼子といとこたち。ここで二年前、おばの愛娘・千波は命を落とした。着いた当日から、絵の消失、密室間の人間移動など、館では奇怪な事件が続発する。家族同然の人たちの中に犯人が?千波の死も同じ人間がもたらしたのか?雪に閉ざされた館で各々推理をめぐらせるが、ついに悪意の手は新たな犠牲者に伸びる。
(「BOOK」データベースより)
佐々木丸美さんという著者の存在は知らなかった。1975年〜1984年の9年間に17作品を発表後、沈黙のまま、2005年に逝去。生前は自身の全作品の重版・復刊を拒んでおられたそうだ。復刊が可能になったのは、ご遺族の許可によるものらしい。
ちなみに、この作品のもともとの親本は、講談社から単行本が1977年(僕10歳)、文庫本は1988年(僕21歳)。
創元推理文庫は、こうやってちょこちょこ他社の過去の良品・佳品を復刊してくれるので好きだ。それに、「日常の謎」をジャンルとして成立させた功績もあるしね。北村薫氏、加納朋子氏、光原百合氏、坂木司氏との出会いもこの文庫だし。創元推理文庫はミステリ界の良心だ(笑)。
で、この作品は「館」モノ&「密室」モノである。僕は「館」フリークではないが、「密室」は結構好きだ。
しかも、ジャンルに関係なく、高校生が主人公の小説が好きだから、これを買わない手はない。
期待して読んだが、読後感は微妙・・・。
密室トリックは正直「なぁんだ」である。上手いんだけど驚きというか、やられた!という感じがない。
数人を除いてペダンチックで理屈っぽい登場人物たち。これがもひとつ好きになれなかった(そういう登場人物を好きになれる場合も多々あるのにな)。ま、嫌いでもないけど。
本書の解説で、若竹七海氏が「佐々木丸美は語るのが難しい作家なのである。彼女の作品が嫌いなのではない。妙に惹きつけられる。とても気になる。だから読んでしまう。でも大好きとまでは言い切れない。どう評価していいのかわからない」と書いておられる(解説全体の主旨は好意的)が、言いえて妙。
この「館」シリーズは3部作で、第2弾は2月刊行予定だそう。多分買っちゃうだろう。そう、なぜか気になる。著者の長い沈黙と重版・復刊拒否も含めて。
じゃ、次回はもう読み終わった『天使が開けた密室』(谷原秋桜子・著/創元推理文庫)を。

