女剣士・一子相伝の影 著者名:多田容子(著)
出版社:講談社
出版年:2006.12
ISBN :4062755920
著者の多田容子氏に興味があって、一度はこの人の作品を読んでみようと思っていた。
というのは、時代小説の中でもいわゆる剣豪もの・剣法ものを書く作家は多数いる(と思う)のだが、多田氏は居合道・三段、また10年間「柳生新陰流」を学び「小転中伝(こまろばしちゅうでん)」の腕前(ってどの程度なのか分からんけど)だとか。
つまり、武芸(古武術)に通じている、というか実際に武芸者なので、剣術の描写に独自のリアリズムがある・・・といった主旨の評論をかなり以前に読んだことがあったのだ。
で、今回初めて読んでみた。
感想としては、確かに剣の「術理」に関する描写は興味深い。しかし、読み手のこちらは武術の素人ゆえ、どうも理解が追いつかない。だから、残念ながら感心も興奮もできないのだ。実際に武道・武術を嗜む人が読むと、また違った感想になるのだろうが。
そして、ストーリーテリングという点からは、エンターテインメントとしての面白さに欠ける。いろいろエピソードはあるのだが、山場もなく終ってしまった感じ。また、登場人物も皆、陰影に欠け、魅力に乏しい。いわゆる「人物が描けていない」小説であった。
現状では多くの読者は掴むのは難しいだろうな。今後に期待。
この作品と並行して、『のだめカンタービレ』を4巻から9巻まで、それから年末からチョコチョコ読んでいた『このミステリーがすごい!2007年版』を読了した。これについては、また近日中に。
あと、今は『シンセミアT』(阿部和重・著/朝日文庫)を読んでいるが、これは全4巻あるので、全部読んでから感想を書こうと思う。

