NO.6 #1 著者名:あさのあつこ(著)
出版社:講談社
出版年:2006.10
ISBN :4062755238
『バッテリー』シリーズで人気のあさのあつこ氏によるSFタッチの「近未来サバイバル小説」。
2013年の日本のどこか。快適で、清潔で、安全で、「管理」の行き届いた未来都市《NO.6》。その高級住宅街《クロノス》に住めるのは、選ばれたエリートとその家族だけ。
2歳児検診で知能「最高ランク」と判定された紫苑(しおん)もまた、母親と共にクロノスに住み、将来を約束された身であった。
この整いすぎた理想都市に満足できないでいる紫苑は、12歳の誕生日にやってきた台風の荒々しさに魅了され、窓を開けて、反対側の壁にある環境管理スイッチを切る。
振り返ると、そこに1人の少年がいた。
彼は犯罪者であり、矯正施設からの逃亡者だった。本来なら市当局へ通報するのが市民の義務。それでなくとも、環境管理スイッチをONにすれば、「異物探索システム」にひっかかり、自動的に通報される。
しかし、紫苑は「ネズミ」と名乗るその少年の、追い詰められ傷ついた弱々しい姿に、彼を匿うことを決意する。
・・・2017年。16歳の紫苑は、エリートのための「特別コース」に進学できず、労働者のための技術コースに通いながら、公園で働いていた。あのとき匿った少年は翌朝に姿を消したが、紫苑は犯罪者を隠匿したことにより、母親ともどもクロノスを追われ、特別待遇も全て剥奪されたのだった。
ある日、公園で1人の男が急死した。31歳だったはずのその男は、急速に老化して死亡し、死後硬直もその緩解も通常の何倍もの速さという異常な死であった。
そして、日を置かずして、先輩職員が目の前で全く同じ死に方をし、紫苑はその死体を食い破って逃げ出す蜂のようなものを目撃する。
ところが、駆けつけた市の治安局は、なぜかこの2件の死亡事件の容疑者として、紫苑を拘束。矯正施設へ連行しようとする。実は、紫苑はあの日以来、市の統制に従わない危険人物としてマークされていたのである。
間一髪、現われたネズミによって助けられ、《西ブロック》に逃げ延びた紫苑。そこは見捨てられた人々の住む見捨てられた場所、NO.6のためのゴミ捨て場だった。
あの2人の死亡の原因は?
なぜ、ネズミはNO.6を壊滅させようとするのか?
「(NO.6は)宿主にとりつき、栄養分を吸い上げ、やがてすべてを食い尽くす。そういう街なんだ。パラサイトシティ、寄生都市さ・・・」というネズミの言葉の意味は?
そして、犯罪者として追われることになった紫苑の運命は?
一見、完全無欠に見える社会が、一皮向けば残酷な素顔を持っている・・・という設定自体はSFでは珍しくないだろう。
というわけで、本格的なSFファンから見れば物足りないかも知れないが、僕は別に本格的なSFファンではないので、十分楽しめた。早く続きが読みたい。単行本は#5まで出ているが、文庫本の#2発刊は来年2月。インターバルが長すぎる〜!
次は、『切り裂きジャック・百年の孤独』(島田荘司・著/文春文庫)。

