家守綺譚 著者名:梨木香歩(著)
出版社:新潮社
出版年:2006.09
ISBN :4101253374
梨木香歩氏の著作は読んだのは『西の魔女が死んだ』が初めてで、その次が『裏庭』。少女の祖母との交流と成長を描いた前者、やはり少女を主人公にファンタジー色の強い後者、どちらもとても良かった。
で、3冊目が、この文庫最新刊の『家守綺譚』。前に読んだ2作とは全く違う作風だったので(心が「しん・・・」とするような静謐さを感じさせるという共通点はあるけど)、「こんな作品も書けるんだぁ」と感心。
舞台は100年前の滋賀県のどこか。しがないモノ書きである主人公・綿貫征四郎は、学生時代に亡くなった親友・高堂の実家に、「家守」として住むことになる。年老いた高堂の両親は、嫁いだ娘の家で厄介になることにしたのである。「家守」だから、少ないながら月々のお金も頂戴できる。
意に染まぬ英会話学校の講師など辞めて、文筆業に精を出せるとばかりに、征四郎は早速この話に飛びついた。
ある日、床の間の掛け軸の中から、死んだはずの高堂がボートに乗ってやってきた・・・。
登場するのは征四郎と高堂のほかに、怪しげな長虫屋、近所のお寺の和尚、隣の家のかみさん、妙に人間味のある犬・ゴロー、そして征四郎に「懸想している」サルスベリ、河童、小鬼、人魚、人を化かす狸などなど。
不可思議で幻想的な出来事が次々と起こるが、筋立てらしい筋立てはない。なぜ、そんなことが起こるのか、登場人物たちも大して気にしないし、作者も説明しない。ストーリーはどこにも行かないし、教訓もメッセージもない。誤解を恐れずにいえば“感動”もない。
それでいて、モノ静かで、のびやかで、なんとなく心楽しい物語である。
ちなみに、この作品は征四郎が書いた文章という体裁を取っている。もちろん、実際の作者は梨木香歩氏だが、読んでいるうちに何だかそのことを忘れてしまい、本当に征四郎の文章を読んでいるような気持ちになってくる。
各章のタイトルには「白木蓮」「都わすれ」「南蛮ギセル」「葛」「南天」「サザンカ」など植物の名前が使われ、その章の中でその植物が印象的に描写されているのも良い。
梨木氏は、イマジネーション豊かな作家である。残りの作品も全部読んでいこう。
お次は『手紙』(東野圭吾・著/文春文庫)だ。


梨木さんの本をまともに読んだのはこの本が2冊目です。
「マジョモリ」がもう一つの本。
「りかさん」と「からくりからくさ」は挫折して、
読み途中の「裏庭」はそのまま積読されてるし……。
「家守〜」を読んで梨木さんの良さがわかったので(ホント良かった)、近いうちに「裏庭」を読みきろうと思ってます。
コメントありがとうございます。
「裏庭」もなかなか良いですよ。
ぜひ、読了して下さい。
ご丁寧にご訪問ありがとうございます。
>それでいて、モノ静かで、のびやかで、なんとなく心楽しい物語である。
まさしくふくちゃんさんのおっしゃるとおりの本だと思います(^_^)
またお邪魔いたしま〜す♪
コメントありがとうございます。
ぜひ、またお越し下さい。
僕も遊びに行かせて頂きます。
『からくりからくさ』は、各場面はとても良いのだけれど、ちょっと冗長な感じでした。
もう少しいろいろと読んでみようと思っています。
『西の魔女〜』も、とっても良いですよね。
『からくりからくさ』未読ですが、必ず読むつもりです。