グラン・ヴァカンス 著者名:飛浩隆(著)
出版社:早川書房
出版年:2006.09
ISBN :4150308616
会員制のヴァーチャル・リゾート「数値海岸(コスタ・デル・ヌメロ)」。
そこには様々なAI(人工知能)が生活する「区界」が存在し、現実世界に生きる人間達は「ゲスト」として様々なロール(AIの夫・妻・息子・娘・友人etc)を纏ってログインし、リゾートを楽しむのだ。
南欧の田舎町を模した「夏の区界」では、理由不明のままゲストの訪問が完全に途絶えて既に1000年。AI達は永遠の夏の町で、人間を歓待する役目を果たさぬまま、平穏な毎日を過ごしていた。
しかし、ある日ランゴーニという強大なAIが「蜘蛛」というプログラムを率いて襲いかかり、「夏の区界」の町を、そこで暮らす人々(AI)を崩壊させ始めた。
わずかに生き残ったAI達は、チェスの天才少年ジュール、ジュールが思いを寄せる少女ジュリー、逞しい女漁師アンヌ、アンヌの右腕でありジュリーの想い人ジョゼ、盲目のレース編みイヴ、三つ子の姉妹アナ、ドナ、ルナ、防衛戦の砦として選んだ「鉱泉ホテル」の支配人ドニなどを中心に、絶望に満ちた戦いを挑む・・・。
「数値海岸」や「夏の区界」を作ったのは誰か?突如としてゲストが訪れなくなる「大途絶(グランド・ダウン)」はなぜ起こったのか?「ランゴーニ」とは何者で、なぜ「夏の区界」を破壊にやって来たのか?ランゴーニでさえも恐れる存在「天使」とは何なのか?
多くの謎を孕みつつストーリーが展開していく「廃園の天使」シリーズの第1弾。
著者の飛浩隆氏が巻末に記した「ノート」にはこう書かれている。
『ここにあるのはもしかしたら古いSFである。ただ、清新であること、残酷であること、美しくあることだけは心がけたつもりだ。』
まさに、この言葉の通りの小説。
面白い。
登場人物は「人物」ではなく、「AI」つまりプログラムに過ぎないが、つい感情移入してしまう。まあ、小説とはそもそもヴァーチャル世界であるわけだが・・・。
オススメ。
10月下旬には第2弾『ラギッド・ガール』が発売される。「数値海岸」成立の背景、ランゴーニの誕生などが語られる中短篇集だそうである。さらに、第3弾として「昭和50年代の日本の地方都市」を模した区界を舞台にした学園モノ(!)、『空の園丁(仮題)』も準備されているとか。
楽しみ!
どちらも文庫化を待てずに買ってしまいそうだ。
ちなみに、同じ著者による豊穣なSF中短篇集『象られた力』(ハヤカワ文庫)も非常に良い。
話が逸れるが、過去に読んだ最近のSF作品では、菅浩江氏の『博物館惑星 永遠の森』(ハヤカワ文庫)が超オススメ!あまりSFを読まなかった僕のSF観を変えた叙情的で美しい物語。
さあ、次は『猟犬探偵』(稲見一良・著/光文社文庫)を読むぞ!


大崎作品の順位ですが私も同感です!
SF作品はあまり読まないのですが紹介されている本が面白そうなので、読んでみたいとおもいます。
これからもよろしくおねがいします。
雨燕さんのブログを拝見して「趣味が近い」と感じました。
こちらこそ宜しくお願いします。
コメントいただき、ありがとうございました。
面白さで久々に一気読みしてしまいました。
ランゴーニたちが何処から来たのか、天使達が誰なのか気になることばかりで、続き物ですが先が楽しみです。
第2弾の『ラギッドガール』では相当程度、謎が明らかになるみたいですよ。
もうすぐamazonから届くので、楽しみです。
グラン・ヴァカンス読み終わりました!
分厚かったので2日くらいかかるかなぁって思ったんですけど、最後まで一気に読んでしまいました…。
『ラギッドガール』はまだ発売されて間もないし…文庫化するのは当分先ですよね(>_<)
私も文庫化を待たずに買ってしまいそうです…。
『博物館惑星』、私も大好きです!
おなじ菅浩江さんの『五人姉妹』という作品はもう読まれました?『グラン・ヴァカンス』を買ったとき、偶然見つけたんですけど、短編集なんですけど、どうやら博物館惑星の後日譚も含まれているらしいですよ(*^_^*)
そうか、『博物館惑星』もう読まれてたんですね。失礼しました(笑)。
もちろん『五人姉妹』も読みましたよ♪
裏表紙には後日譚と書いてありましたが、スピンオフ的な作品だったように記憶してます(^^)。