2008年07月30日

レイコちゃんと蒲鉾工場


レイコちゃんと蒲鉾工場
著者名:北野勇作(著)
出版社:光文社
出版年:2008.07
ISBN :9784334744472


 北野勇作氏、初読み。


・内容
蒲鉾工場に勤めるぼくが巻き込まれるのは奇っ怪な事件ばかり。怪物化した蒲鉾に社員が誘拐されたり、食べられちゃったり…。特殊事件調査検討解決係の一員として、係長に危険な任務を押しつけられる毎日だ。ちょっと生意気な小学生「レイコちゃん」との冒険が、ぼくをさらに不思議な世界へと運んで行く―。奇妙でどこか滑稽でなんだか怖く、なぜだか懐かしい、SF大賞作家が贈る大人のためのファンタジー。
(「BOOK」データベースより)


 独特の不条理世界とユーモアとノスタルジー、そしてその奥にある怖さというか不気味さが、良かった。

 蒲鉾と言ったって、日常的に我々が食するあの蒲鉾ではない。シリコン基板の上に、神経細胞や肉を盛り付けた“練り物”であり、自律自走するソフトウェアの下、知識や知能やら思考やら心(?)を持つに至った“兵器”である。ぼく=甘酢君はそのような蒲鉾を作る工場に勤めているのだが・・・。

 蒲鉾ときたら時に暴走して、人を誘拐したり、自分を作り変えて実在の人間と入れ替わったり・・・。

 しかし、読み進めるうちに、甘酢君、行きつけの珈琲店を営むアツコさんとその娘のレイコちゃん、工場の人達、彼らが生きているこの世界は、ほんとうに“世界”なのか?皆、蒲鉾に過ぎないのか?そもそも蒲鉾とは一体何なのか?誰が何のために作ったのか?・・・頭がクラクラしてくる。

 最後は、なかなかスッキリ説明されるが、酩酊感は依然残る。

 それにしても最後の件(くだり)は、反戦小説のようにも読める。自分の意識や意思を他人に預け(棚に上げ)、誰かの無茶なシナリオに乗り、闇雲に目標に邁進する/させられることの愚かさ・・・のような。


 次は『虚空の旅人』(上橋菜穂子・著/新潮文庫)。
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2008年07月26日

マイナス・ゼロ


マイナス・ゼロ 改訂新版
著者名:広瀬正(著)
出版社:集英社
出版年:2008.07
ISBN :9784087463248


 この作品は、日本のタイムトラベルSFの金字塔ということで、名前ぐらいは昔から知っていたのだが・・・。

 今年、本屋大賞5周年特別企画「この文庫を復刊せよ!」で第1位となり、再発。こうして手に取って読めるようになった。“広瀬正・小説全集”として、この後他の作品も順次復刊される。いい企画じゃないか、本屋大賞。5周年と言わず毎年やってほしい。


・内容
1945年の東京。空襲のさなか、浜田少年は息絶えようとする隣人の「先生」から奇妙な頼まれごとをする。18年後の今日、ここに来てほしい、というのだ。そして約束の日、約束の場所で彼が目にした不思議な機械 ― それは「先生」が密かに開発したタイムマシンだった。時を超え「昭和」の東京を旅する浜田が見たものは?
(文庫本裏表紙紹介文より)


 ちなみに解説は星新一氏。

 実に良く出来てる。そうか、Aさんは実はBさんで、Cさんは実はDさんで、コレはアレと繋がっていて・・・と物語全体のループが見えてくるところは快感(疑問の余地はなしとしないが、タイムトラベルものに疑問はつきもの)。

 あまりに良く考えられていて、情けないことに、こちらの脳ミソが付いていけないところも(笑)。全部の出来事と登場人物を年表や相関関係図にして整理しないと。

 いや、しないけど。

 残念なのは「先生」が序盤にしか登場しないこと。何万年もの未来から来た人ではないか、という推測が物語中で為されるが、その正体やなぜ物語内現在にやってきたのか、知りたかった。

 まあ、そんなところまで書いたら、長くなり過ぎるし、散漫になってしまうだろうけど。長生きして、スピンオフを書いてほしかったな。


 次は、『レイコちゃんと蒲鉾工場』(北野勇作・著/光文社文庫)。
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2008年07月21日

高城高全集2 凍った太陽


凍った太陽
著者名:高城高(著)
出版社:東京創元社
出版年:2008.06
ISBN :9784488474027



 高城高氏の復刊全集第2弾。

 で、巻頭は、日本ハードボイルドの原点といわれる作品『X橋付近』(昭和30年)。

 どうなる、どうなる、どうなる・・・と思いながら読んでたら、え!ここで終わり?

 すっかり長編の感覚で読んでいたので、ビックリ。わずか40ページ。

 全集第1弾の『墓標なき墓場』は唯一の長編であって、この著者は短編の人。次の『火焔』(昭和31年)はさらに短く11ページ(!)。他の短編もほとんどが30〜40ページ、最も長い表題作でも約70ページ。

 皆まで書かず、語らず、徹底的に刈り込まれた、読者の想像力を刺激する物語。

 ハードボイルド=長編、ハードボイルド=血と暴力とエロス、という一時期の日本の現代ハードボイルドのイメージを鮮やかに裏切る端正で硬質な世界が、はるか昔に存在したことは驚きだ。

 昨今のライトなハードボイルド(ハードボイルド風というべきか)とも全く違う。

 独立した短編が7本。著者唯一のシリーズものが4本。エッセイが3本。

 いちばん興味深かったのは、由利シリーズ。最初の3本は昭和33、36、37年。最後の1本が著者復帰作となる平成19年。第1作に登場したときは、普通の女子大生だった彼女が、時と共に謎めいた悪女になっていく。恐らくその人格的変貌のきっかけは1作目での恋人の死だろうが、2〜3〜4作目における彼女の正体が全く説明されないところが面白い。1作目で消えた後、彼女はどんな人生を送ってきたのか?


 仕事が忙しく、ひたすらコマ切れ読書だったので、意外に読むのに時間がかかってしまった。次は、『マイナス・ゼロ』(広瀬正・著/集英社文庫)。
posted by ふくちゃん at 20:29| Comment(0) | TrackBack(0) | ハードボイルド

2008年07月13日

老ヴォールの惑星


老ヴォールの惑星
著者名:小川一水(著)
出版社:早川書房
出版年:2005.08
ISBN :9784150308094


 今日は遂にあの本棚がやって来た。


・内容
偵察機の墜落により、おれは惑星パラーザの海に着水した。だが、救援要請は徒労に終わる。陸地を持たず、夜が訪れない表面積8億平方キロの海原で、自らの位置を特定する術はなかったのだ―通信機の対話だけを頼りに、無人の海を生き抜いた男の生涯「漂った男」、ホット・ジュピターに暮らす特異な知性体の生態を描き、SFマガジン読者賞を受賞した表題作ほか、環境と主体の相克を描破した4篇を収録。著者初の作品集。
(「BOOK」データベースより)


 いやぁ、これはいい作品集だ。

「ギャルナフカの迷宮」
平穏な顔した圧制国家から、反社会的な政治犯の烙印を押された者に与えられる無期限の「投宮刑」。治安部門の高官ギャルナフカ博士が作り出した脱出不可能な広大な地下迷宮の牢獄に放り込まれ、与えられるのは自分専用の「餌場」と「水場」が載った簡単な地図だけ。「餌場」と「水場」は互いに遠く離れ、地図があっても探し出すのは容易ではなく、探し出しても安心できない。生き延びるためには自分の「餌場」と「水場」を守り、他の囚人の「餌場」と「水場」を奪わなければならないのだ。さらに、人間を食う人間=「生肉喰い」共がいる。絶望と疑心暗鬼に満ちた世界で、テーオは囚人全員が平和共存する道を模索し始める。

「老ヴォールの惑星」
特異な惑星に奇跡的に生まれ育った特異な知的生命体たち。この星に他の生命はあるゆる意味で存在せず、彼らは同じ大きさの個体群で過ごし、時に他の大きさの個体群を捕食し、また別の個体群に捕食される。一方で、激しい嵐の季節には、全ての個体群が飛ばされないように協力して陣形を組む。そして、光学的コミュニケーションや捕食により、互いの経験や知識を共有し、種全体としてはより賢くなっていくのだ。しかし、巨大な天体との衝突により、この星は壊滅することが判明。脱出したり、他の惑星で住むことができない彼らは、自分たちの高度な知識を譲り渡したいと、周囲の星々に光通信を送り、他の惑星の知的生命体を探し始める。

「幸せになる箱庭」
ある日、人類を遥かに凌駕する高度な文明に裏打ちされた自動機械による木星大気の大規模収集が発覚する。300年以上前から続けられていたらしいその行為の問題点は、大気を超光速で運ぶための発射台が自動機械たちにより次々と建造され、そのために木星の質量が削り取られていることであった。このままでは、木星の軌道が変化し、他の惑星にも影響を及ぼす。320年後には地球も、可住日照帯を逸脱してしまうのだ。地球人類は、この自動機械を作った異星の生命体と直接コンタクトを取ることを決め、交渉団を送り出す。そこで遭遇したものは・・・。

「漂った男」
上の「・内容」を参照ということで(手抜き)。

 SFは難解とか暗いとか怖いとかいまだに思い込んでいる人たちのイメージを裏切る、明るく楽しい前向きな作品群。まぁ、「幸せになる箱庭」は現実と全く区別の付かない高度なヴァーチャル・リアリティを扱っていて、小難しく言えば“人間の実存”とか“生命の意味”とか、重たくなるテーマを孕んでいるが・・・。でも面白い。

 ファンタジーや寓話、星新一が好きな人なら、きっと楽しめると思う。


 次は・・・これから近所の書店で見繕ってくる。

 それはそうと、本棚に棚を入れて、本を入れないと!
posted by ふくちゃん at 16:49| Comment(3) | TrackBack(1) | SF

2008年07月12日

対話篇


対話篇
著者名:金城一紀(著)
出版社:新潮社
出版年:2008.06
ISBN :9784101351513


 良かった!


・内容
本当に愛する人ができたら、絶対にその人の手を離してはいけない。なぜなら、離したとたんに誰よりも遠くへと行ってしまうから―。最初で最後の運命の恋、片思いの残酷な結末、薄れてゆく愛しい人の記憶。愛する者を失い、孤独に沈む者たちが語る切なくも希望に満ちたストーリーたち。真摯な対話を通して見出されてゆく真実の言葉の数々を描いた傑作中編集。
(「BOOK」データベースより)


「恋愛小説」
大学3年のとき、僕はふとしたことで、それほど親しくもなかった、いや誰とも親しくなく、影の薄い同級生の家に招かれ、彼の思いもよらぬ告白を聴くことになる。彼は幼い頃から、親しくなった相手が必ず死ぬという体験を繰り返し、周囲から「死神」と呼ばれるようになり、その運命から逃れるために他人と距離を取ってひっそり生きてきたのだ。ところが、前年、そんな彼の過去を全て受け入れ、彼の運命を恐れもしない素晴らしい女性が現われる。2人は結ばれ、この上もなく幸せで充実した時間を過ごし、彼は初めて生きる喜び、愛する喜び、他人と心を交わす喜び知る。だがやがて、お決まりの運命が彼女の頭上にも・・・。

「永遠の円環」
尊敬する美しく聡明な先輩。僕はプラトニックな思いを抱いていたが、彼女は大学の教授と不倫の挙句に自殺。自殺の前日、彼女から不倫のことで相談を受けていた僕も、直後にガンで入院。死を待つベッドの上で、教授への恨みを果たしたいと願い続けていた。そんなある日、実は「殺し屋」だという大学の同級生Kが見舞いに現われて・・・。

「花」
脳腫瘍がもとで会社を辞めた僕にアルバイトが舞い込んだ。冤罪事件の被告のために25年間闘い続けついに勝利した老弁護士に雇われ、東京から鹿児島までドライブするのだ。25年前に別れた彼の妻が2人の思い出の地・鹿児島のホスピスで亡くなり、遺品を受け取りに行くという。新婚当時の2人がそうしたように、1号線〜2号線〜3号線と下っていく。「絶対に手を離さない」という約束を守れずに別れてしまった妻、「絶対に忘れない」と誓いながら今や顔さえも朧げな妻の元へ。かつてと同じ道を往きながら、大切な記憶を取り戻すために。


 ああ、全く魅力が伝わらないド下手な要約。

セカチューなぞ吹っ飛ぶ、切なさと美しさの「恋愛小説」。ちょっと不思議な手触りの「永遠の円環」。心温まる「花」。

 どの作品にも人を愛することの喜びや哀しみが溢れている。各70ページほどの作品だが、小説を読んだなぁ・・・という満足感があった。

 “大切な事柄はひどく脆い氷の像のようなもので、言葉はノミみたいなものだ。よく見せようとノミを打っているうちに、氷の像は段々と痩せ細り、いつの間にか砕けてしまう。(「恋愛小説」)”


 次は『老ヴォールの惑星』(小川一水・著/ハヤカワ文庫)。
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2008年07月09日

心霊探偵八雲2 魂をつなぐもの


心霊探偵八雲 2
著者名:神永学(著)
出版社:角川書店
出版年:2008.06
ISBN :9784043887026


 う〜ん。


・内容
恐ろしい幽霊体験をしたという友達から、相談を受けた晴香は、死者の魂を見ることができる八雲のもとを再び訪れる。しかし、八雲は相変わらずのつれない態度。そんなとき、世間では不可解な連続少女誘拐殺人事件が発生。晴香も巻き込まれ、絶対絶命の危機に!?幽霊騒動と誘拐事件―複雑に絡み合う謎を、八雲は解きほぐすことができるのか、そして晴香の運命は!?驚異のハイスピード・スピリチュアル・ミステリー第2弾。
(「BOOK」データベースより)


 人称の問題はちゃんとしてもらいたい。 小説作法の基礎だろう。

 「石田は〜」「石田が〜」と3人称(神の視点)で書かれた地の文の中に、突然「私は〜」と1人称の地の文が混入してくる。しかも、頻繁に。

 文庫化にあたってせっかく加筆・修正しているんだから、作者はもちろん編集者・校閲者は気をつけないと。

 あと、31ページに「上流から流されてきたらしく、彼女の身体には、細かい傷が無数にあった。」ということを事実として地の文に書いてあるのに、332ページでは「もし、上流から流されてきたのであれば、亜矢香ちゃんの遺体には無数の傷がついていたはずです。しかし、それは無かった。」と八雲に語らせている(実際には確かに上流から流されてきていない)のは、矛盾だと思うが。こちらの読み取り方がおかしいのか?

 で、ヒロイン小沢晴香が単独行動で危機一髪!のところへ、八雲が駆けつける・・・というクライマックスは2作目にして早くもワンパターン!?

 と、散々文句を言いつつ。

 次の巻(「闇の先にある光」9/25刊)も読む予定。

 嫌いじゃないんだな(笑)。


 次は、『対話篇』(金城一紀・著/新潮文庫)。
posted by ふくちゃん at 21:49| Comment(4) | TrackBack(0) | 恋愛小説

2008年07月07日

銀河英雄伝説9回天篇


銀河英雄伝説 9 回天篇
著者名:田中芳樹(著)
出版社:東京創元社
出版年:2008.06
ISBN :9784488725099


 ここまで来ると、ネタバレなし紹介するの難しいなぁ。


・内容
前指導者の遺志を継ぎ、共和政府を樹立した不正規隊の面々。司令官職を引き受けたユリアンは、周囲の助力を得て、責任を全うすべく奔走する。帝国では皇帝暗殺未遂事件が発生、暗殺者の正体を知ったラインハルトは過去に犯した罪業に直面し、苦悩する。そして新領土総督ロイエンタール謀叛の噂が流れるなか、敢えて彼の地に向かうラインハルトを、次なる衝撃が待ち受けていた。
(「BOOK」データベースより)


 “前指導者の遺志”・・・そう、不敗の魔術師ことヤン・ウェンリーは前巻にて死んだのだ。戦争においては不敗のまま、地球教の魔手により・・・。

 これ、最初にアニメ・シリーズで観たときは驚いたものだ。対立する陣営の一方の中心人物が途中で消えるのだから。

 地球教の目的は、この銀河世界における地球の復権。

 次のターゲットは、ラインハルトより新領土(旧同盟領)を託されたロイエンタール。彼を巧妙に叛乱せざる得ない状況に追い込む。

 叛乱の事実も嫌疑もないのに許しを乞うことなどしたくない。その相手が尊崇するラインハルトならともかく、軍務尚書オーベルシュタインになど。その矜持と偉大な相手と戦ってみたいという武人としての欲求から、銀河帝国に挑むロイエンタール。

 ライハンルトからロイエンタール討伐を命じられたのは、銀河帝国宇宙艦隊司令長官ミッターマイヤー。

 かくして互いを自身より高く評価しあう親友であり、“帝国軍の双璧”と謳われた用兵の天才と天才が激突する・・・。

 新指導者ユリアン・ミンツ率いるイゼルローン共和政府と銀河帝国に、地球教やかつてのフェザーン自治領の領主・黒狐のルビンスキーの深慮遠謀が絡む、その行き先は?

 次巻で完結。

銀河英雄伝説1黎明篇
銀河英雄伝説2野望篇
銀河英雄伝説3雌伏篇
銀河英雄伝説4策謀篇
銀河英雄伝説5風雲篇
銀河英雄伝説6飛翔篇
銀河英雄伝説7怒涛篇
銀河英雄伝説8乱離篇

 次は、『心霊探偵八雲2 魂をつなぐもの』(神永学・著/角川文庫)。
posted by ふくちゃん at 00:11| Comment(0) | TrackBack(0) | SF

2008年07月04日

散歩もの


散歩もの
著者名:久住昌之(著)
     谷口ジロー(画)
出版社:フリースタイル
出版年:2006.03
ISBN :9784939138270


 僕も購読しているカタログハウスの『通販生活』に連載されていた漫画。著者は『孤独のグルメ』と同じコンビ。やはり1話8ページの短さ。

 連載当時はちゃんと読んでなかった(笑)。

 タイトルどおり、ただ主人公がいろんな場所をいろんな経緯で歩き、そこにいる人と言葉を交わし、街の表情を見たり、物思いに耽ったり。

 この何気なさ。

 8ページ×8話だから、厚みを持たせるための詳細な書き込み、あるいは余計なことは一切書けない。

 しかし、ちゃんと物語や登場人物が立ち上がってくる。

 大人にしか分からん漫画やろなぁ。


 次は、『銀河英雄伝説9回天篇』(田中芳樹・著/創元SF文庫)。
posted by ふくちゃん at 23:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 漫画

2008年07月02日

空の中


空の中
著者名:有川浩(著)
出版社:角川書店
出版年:2008.06
ISBN :9784043898015


 単行本の新聞広告を見たときからずっと気になってたんだよね、コレ。

 今ではすっかり有名作家の有川浩氏だが、初読みである。


・内容
200X年、謎の航空機事故が相次ぎ、メーカーの担当者と生き残った自衛隊パイロットは調査のために高空へ飛んだ。高度2万、事故に共通するその空域で彼らが見つけた秘密とは?一方地上では、子供たちが海辺で不思議な生物を拾う。大人と子供が見つけた2つの秘密が出会うとき、日本に、人類に降りかかる前代未聞の奇妙な危機とは ― すべての本読みが胸躍らせる、未曾有のスペクタクルエンタテインメント。
(「BOOK」データベースより)


 上の「内容」もそうだが、当時の広告でもすっかりハードSFだと思っていた。実際読んでみるとファンタジーに近い。いや、著者ご本人が言う通り、「大人ライトノベル」と呼ぶのがいちばん相応しいのかも。

 異種生命体遭遇譚。

 かなり面白かった。いささか深みには欠けるし、読んで学ぶことも無いが(悪口・批判に非ず)。

 でもいいじゃないか、面白けりゃ。とにかく導入部は非常に魅力的。最高のプロローグ。あとの展開も悪くない。

 ただ、多くのブログから察するに、この人の作品の魅力のひとつは主要キャラの恋愛模様にあるようだが、春名高巳(♂メーカーの担当者)と武田光稀(♀生き残った自衛隊パイロット)の不器用なソレには別に萌えんかった。このあたり、高校生か大学生の頃に読んでたらねぇ〜。でも、どこかで既に見たようなキャラと関係性なんだよな。まぁ、40過ぎても、こういうの好きな人は好きなんだろうけど(決して馬鹿にしてない)。それにしても、光稀の性別を途中まで隠しておくのって、意味がないと思うけどな。

 で、登場キャラの中では、宮じいがいちばん好きだ。村上春樹氏の『海辺のカフカ』のナカタさんを連想した(ナカタさんはある意味もっと壊れてるけど)。相手が子供であっても見下さずに対等に接する。少年少女を静かに暖かく見守り、自らの人生体験に裏打ちされた説得力のある(でも説教臭くない)言葉で語る。こういう大人、というか爺になりたい。

 当文庫には、特別書き下ろしとして『仁淀の神様』を収録。短編だが、瞬と佳江、宮じいのその後が長いスパンで描かれており、淡い余韻を残す。そうか、宮じいにはモデルがいるんだね。


 次は『散歩もの』。
posted by ふくちゃん at 23:52| Comment(0) | TrackBack(0) | SF

2008年07月01日

孤独のグルメ


孤独のグルメ 新装版
著者名:久住昌之(原著)
     谷口ジロー(画)
出版社:扶桑社
出版年:2008.04
ISBN :9784594056445


 久々に画像がないぞ。
 
 『空の中』はまだ読み終わっていないが、先にこちら。

 新聞か何かで見て、興味があって、本屋でちょっと立ち読みして。買おうかなぁ・・・と思っていたら、ある人が貸してくれた。直ぐに読み終わった。

 原作者の久住昌幸も、作画の谷口ジローも何となく昔から(多分高校生頃から)知っていたが、ちゃんとまとまった形で読むのは初めて。

 まず、収録された作品の全タイトルを見てもらいたい。

第1話 東京都台東区山谷のぶた肉いためライス
第2話 東京都武蔵野市吉祥寺の廻転寿司
第3話 東京都台東区浅草の豆かん
第4話 東京都北区赤羽の鰻丼
第5話 群馬県高崎市の焼きまんじゅう
第6話 東京発新幹線ひかり55号のシュウマイ
第7話 大阪府大阪市北区中津のたこ焼き
第8話 京浜工業地帯を経て川崎セメント通りの焼き肉
第9話 神奈川県藤沢市江ノ島の江ノ島丼
第10話 東京都杉並区西荻窪のおまかせ定食
第11話 東京都練馬区石神井公園のカレー丼とおでん
第12話 東京都板橋区大山町のハンバーグ・ランチ
第13話 東京都新宿区神宮球場のウィンナー・カレー
第14話 東京都中央区銀座のハヤシライス(の消滅)とビーフステーキ
第15話 東京都内某所の深夜のコンビニ・フーズ
第16話 東京都豊島区池袋のデパート屋上のさぬきうどん
第17話 東京都千代田区秋葉原のカツサンド
第18話 東京都渋谷区渋谷百軒店の大盛り焼きそばと餃子
特別編 東京都内某病院のカレイの煮付け

 第1話〜第18話は1997年に扶桑社から刊行(2000年に扶桑社文庫)、特別編は今回の新装版発売に伴う書き下ろしであるが、いずれも有名店でもなければ、高級料理でもない、庶民的なラインナップ(“豆かん”は知らん)。

 ウンチクなし。腹を空かせた輸入雑貨個人貿易商の独身中年・井之頭五郎が、通りすがり(だけじゃないが)のお店、お洒落でもなんでもないフツーのお店に入ってただメシを食うだけの1話8ページの物語。

 この何気なさがとても良い。

 行列に並ぶのが嫌い(僕とおんなじ)。売り切れだったり品切れだったり季節限定だったりで、なぜかいちばん食べたいメニューにありつけないことが多い。ついつい頼みすぎる。旨そうにガツガツ食べる。

 そんな井之頭五郎の何気ない食事風景がとても幸せに思えるのだった。

 巻末に、原作者・作画者と作品のファンという作家の川上弘美の対談あり。


 次は『空の中』か、『散歩もの』(久住昌之・原作/谷口ジロー・作画/フリースタイル)。
posted by ふくちゃん at 23:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 漫画