レイコちゃんと蒲鉾工場 著者名:北野勇作(著)
出版社:光文社
出版年:2008.07
ISBN :9784334744472
北野勇作氏、初読み。
・内容
蒲鉾工場に勤めるぼくが巻き込まれるのは奇っ怪な事件ばかり。怪物化した蒲鉾に社員が誘拐されたり、食べられちゃったり…。特殊事件調査検討解決係の一員として、係長に危険な任務を押しつけられる毎日だ。ちょっと生意気な小学生「レイコちゃん」との冒険が、ぼくをさらに不思議な世界へと運んで行く―。奇妙でどこか滑稽でなんだか怖く、なぜだか懐かしい、SF大賞作家が贈る大人のためのファンタジー。
(「BOOK」データベースより)
独特の不条理世界とユーモアとノスタルジー、そしてその奥にある怖さというか不気味さが、良かった。
蒲鉾と言ったって、日常的に我々が食するあの蒲鉾ではない。シリコン基板の上に、神経細胞や肉を盛り付けた“練り物”であり、自律自走するソフトウェアの下、知識や知能やら思考やら心(?)を持つに至った“兵器”である。ぼく=甘酢君はそのような蒲鉾を作る工場に勤めているのだが・・・。
蒲鉾ときたら時に暴走して、人を誘拐したり、自分を作り変えて実在の人間と入れ替わったり・・・。
しかし、読み進めるうちに、甘酢君、行きつけの珈琲店を営むアツコさんとその娘のレイコちゃん、工場の人達、彼らが生きているこの世界は、ほんとうに“世界”なのか?皆、蒲鉾に過ぎないのか?そもそも蒲鉾とは一体何なのか?誰が何のために作ったのか?・・・頭がクラクラしてくる。
最後は、なかなかスッキリ説明されるが、酩酊感は依然残る。
それにしても最後の件(くだり)は、反戦小説のようにも読める。自分の意識や意思を他人に預け(棚に上げ)、誰かの無茶なシナリオに乗り、闇雲に目標に邁進する/させられることの愚かさ・・・のような。
次は『虚空の旅人』(上橋菜穂子・著/新潮文庫)。

