2008年01月27日

瑠璃の契り 旗師・冬狐堂


瑠璃の契り
著者名:北森鴻(著)
出版社:文藝春秋
出版年:2008.01
ISBN :9784167717582


 店舗を持たず、競り市で仕入れた美術品を、他の骨董品業者や蒐集家に転売して利ざやを稼ぐ「旗師」として、生き馬の目を抜く世界で生きる宇佐見陶子。手元に持ち込まれるいわくつきの品々に秘められた謎や因縁を解き明かしていくミステリ。

 読んでいる途中で、裏表紙の説明を読んだら、「人気シリーズ第2弾」と書いてあった。
 
 え!?まだ2作目?

 もっと読んでる気がするけど・・・。

 と思って、思い出した。

 文春文庫からの連作短編シリーズは確かに2冊目だけど、講談社文庫から長編シリーズ(『狐罠』『狐闇』)が2冊出てて、そっちも読んでたのだ。

 だけじゃなく、冬狐堂シリーズにちょこちょこ登場する下北沢の骨董屋・雅蘭堂店主・越名が主人公の『孔雀狂想曲』も読んでいるし、『蓮杖那智』シリーズにも宇佐見陶子は登場する。

 なので、実際の作品数よりも沢山の冬狐堂シリーズを読んでいるような気がするんだな。

 ついでに触れておくと、『香菜里屋』シリーズのビア・バー<香菜里屋>&池尻大橋のバー<香月>も、実にさりげなく登場。で、僕がまだ読んでいない『親不孝通り』シリーズの登場人物も出てくる。

 こういったシリーズ作品同士のリンクが北森作品の楽しいところ。それでいて、他のシリーズを読んでいなくても、そのシリーズ単体でちゃんと読めるのもイイ。

 今回の収録作は・・・

素晴らしい出来にも関わらず、購入者の家族が怯えるためにいつも返品されてくる和人形の謎を解く「倣雛心中」。

20年前、陶子の美大時代、天才的な技量を持ちながら火災で命を落とした同級生・杉本深苗。その追悼画集の復刻版が陶子の元に送られてくる。有名な画家でもない杉本の画集を、誰が、何のために、今になって復刻させたのか?その答に迫る「苦い狐」。

北九州・小倉の立ち飲み屋で偶然見つけた美しい瑠璃ガラスの切り子椀。その椀を見た相棒のカメラマン・横尾硝子のただならぬ反応。切り子椀に隠された制作者の想いと硝子の想い出を追いかける「瑠璃の契り」。

陶子の美大時代の師にして、かつての夫・Dが巻き込まれた、黒髪の少女の生き人形に込められた怨念の物語。消えたDと人形に秘められた謎を追う「黒髪のクピド」。

・・・の4篇。

 こう紹介すると、ホラーチック(?)に思われるかも知れないが、そういう要素は一切なし。どれを取っても、地味(良い意味で)ながら、端正なミステリ。

 よくもまあ、こんな話を考え付くものだ。日頃は窺い知れない骨董業界の一端も覗けて、楽しい。

 また、長編もやってほしいな。


 次は『アラビアの夜の種族』(古川日出男・著/角川文庫)
posted by ふくちゃん at 22:37| Comment(0) | TrackBack(0) | ミステリ

2008年01月22日

イニシエーション・ラブ


イニシエーション・ラブ
著者名:乾くるみ(著)
出版社:文藝春秋
出版年:2007.04
ISBN :9784167732011


 風邪ひいた。

 春先に引くことが多いのだが、今年の冬は2回目。

 とにかくひき始めが肝心。薬飲んで、栄養取って。

 少し頭痛がするし、ふらつく感じ。

 初期症状としては、いつもより重い。

 今日は長文は書けないぞ。

 そんな日に(たまたま)ピッタリの本だ。


・内容
僕がマユに出会ったのは、代打で呼ばれた合コンの席。やがて僕らは恋に落ちて…。甘美で、ときにほろ苦い青春のひとときを瑞々しい筆致で描いた青春小説 ― と思いきや、最後から二行目(絶対に先に読まないで!)で、本書は全く違った物語に変貌する。「必ず二回読みたくなる」と絶賛された傑作ミステリー。
(「BOOK」データベースより)


 説明のしようのない小説である。説明するその場からネタバレになってしまうのだ。

 物語の外観は冴えないハズの主人公が恋に落ちて、それがアレヨアレヨと上手くいく、甘酸っぱくも凡庸な恋愛小説。

 しかし、その実、物語全体が、読者を騙すためのたくらみに満ちているのだ。くれぐれも「つまらん恋愛モノ」と思って、投げ出さないように。

 ラスト2行のその手前から、あれ?あれ?と違和感に打たれ続けると、最後には「あぁ〜、そういうこと!」

 他にも物語の途中で違和感を感じるところはあったけど、これが答えかぁ。

 そして、巻末の解説「〜再読のお供に〜」を読む。

 まぁ、もう一度読み直したいとまでは思わなかったけど、前に戻って何箇所か確認。

 フムフム。なるほど。

 Side A、SIde Bと大きく2分割された構成には、『真夜中の5分前』(本多孝好)を連想したが、Side AとSide Bにはこういう関係性(ネタバレになるので説明せず)も確かにあるよな。

 物語が1980年代半ばになっていること(まあ、これは1990年代でも書きようがあるかも知れないが)、登場人物がやたらドラマ『男女7人〜』に言及することにも納得(でも、こういう道具に使えるドラマ、90年代にあったかな)。

 それにしても、このマユという女、怖い。


 次は、『瑠璃の契り 旗師・冬狐堂』(北森鴻・著/文春文庫)。
posted by ふくちゃん at 16:55| Comment(6) | TrackBack(2) | ミステリ

2008年01月18日

君を乗せる舟 髪結い伊三次捕物余話


君を乗せる舟
著者名:宇江佐真理(著)
出版社:文藝春秋
出版年:2008.01
ISBN :9784167640088


・内容
伊三次の上司である定廻り同心の不破友之進の嫡男、龍之介もついに元服の年となった。同心見習い・不破龍之進として出仕し、朋輩たちと「八丁堀純情派」を結成、世を騒がせる「本所無頼派」の一掃に乗り出した。その最中に訪れた龍之進の淡い初恋の顛末を描いた表題作他全六篇を収録したシリーズ第六弾。

・目次
妖刀
小春日和
八丁堀純情派
おんころころ…
その道行き止まり
君を乗せる舟
(「BOOK」データベースより)

 お文とは子供が生まれて夫婦生活も軌道に乗って、不破との関係も安定して、シリーズ初期のような伊三次とお文、伊三次と不破の切なくなるような関係性・・・という魅力はすっかり薄れてしまった。

 しかし、龍之進の成長過程や、彼と伊三次、その弟子・九兵衛(いずれ不破と伊三次のようになるだろう)との関係など、シリーズものならではの新たな愉しみもある。

 「八丁堀純情派」「その道行き止まり」「君を乗せる舟」では、龍之進の淡い初恋とほろ苦い顛末が描かれる。彼に注がれる伊三次の眼差しが優しい。

 それにしても「八丁堀純情派」って・・・。まあ、作中人物達も、特別気に入ってるわけでもないようで何よりだ(笑)。

 残りの2編。「妖刀」はちょっと怪奇風味の怖い話。「おんころころ…」は、不思議な出来事を通じて、幼い我が子を想う親(伊三次)の気持ちが手際よく描かれる。

 様々なテイストを味わえる作品集。

 地味だけど、きっとずっと読んでいくだろう。


 次は『イニシエーション・ラブ』(乾くるみ・著/文春文庫)。
posted by ふくちゃん at 00:17| Comment(2) | TrackBack(0) | 歴史・時代小説

2008年01月16日

仕掛け花火


仕掛け花火
著者名:江坂遊(著)
出版社:講談社
出版年:2007.11
ISBN :9784061825642


“ショートショートのあっけらかんと短いという制約が気に入っています。奇妙で愉快な話をあっけら缶にギュウギュウ詰め込みました。是非ともお求めいただきご開缶下さい。開けた途端に、仕掛けておいた花火が星まで届けと、実際まことに見事に打ち上がることになっています。”
(著者のことば)

 その昔、ショートショート界の大巨人・星新一氏が選者を務めるショートショート・コンテスト(もしくはショートショート・コンクール)というものがあり、その優秀作をアンソロジーにした『ショートショートの広場』という本がシリーズで出てた。

 “その昔”と書いたが、星氏の没後は阿刀田高氏が引き継いでおり、コンテストも『ショートショートの広場』の刊行も継続中である。

 が、僕は星氏が選者の時代のモノしか読んでいない。

 阿刀田氏選によるものはなんか違うな、と感じたのだ。もう昔のことで、何をどう感じたか思い出せないが。

 星氏の著作は今も手元に十数冊あるが、ショートショートの新作って最近めっきり読んでなかった。だいたい星氏以降、ショートショート専業作家なんていないと思っていたし。

 そしたら、最近ひょんなことから江坂遊氏の存在を知った。

 初期のコンテストの入選者であり(だから多分僕も読んでいたハズ)、コンテスト出身者では唯一のショートショート専業作家、しかもこれまた唯一、星氏が自分の弟子であると公言していた人だそうだ。

 星氏には長編もあるが、江坂氏はホントにショートショート・オンリーらしく、2007年正月現在でその作品数は745編。星氏の1,001編を抜くのはこの人しかいないかも(それとも他にもう抜いている人いる?)。しかし、ショートショート専業では食えないようで、別に仕事を持っておられるようだ。

 知っている人は知っている通り、ショートショートはあんな短いのに、いやあんなに短いからこそ、書くのに時間がかかる。しかも、ボリュームがないから原稿料は安い。本にまとめるで時間がかかる。とにかく割に合わないのだ。

 そして、星氏がいない今、完全にマイナー・ジャンルである。

 この『仕掛け花火』も、1992年に講談社ノベルズから刊行されたモノを“綾辻・有栖川 復刊セレクション”として再刊したモノだし、そのほかの江坂作品は講談社文庫から『あやしい遊園地』『短い夜の出来事』の2冊があるだけ(Amazonでは中古品しかないから絶版だろう)。

 民話風、時代物風、中国故事風、会話だけの掛け合い漫才風など、星氏とは微妙に異なる味わいだが(星新一風もあり)、久々にショートショートの妙味を味わえて楽しかった。

 私のオツムでは理解できないオチの作品も若干あったけど(笑)。

 巻末にはノベルズには珍しく解説付き(最初に刊行された際の星氏による解説と復刊に際しての最相葉月氏による解説)。


 次は、『君を乗せる船 髪結い伊三次捕物余話』(宇江佐真理・著/文春文庫)。
posted by ふくちゃん at 00:27| Comment(0) | TrackBack(0) | その他

2008年01月14日

自己紹介バトン

 このブログでは、読んだ本の紹介以外の投稿は一切しないと決めていたのだが、『お菓子を片手に、日向で読書♪』のマメリさんから、バトンが回ってきた。

 スルーも愛想なしなので、バトンはいただき。ルールは・・・

1:バトンを回す大好きな5人の方々のブログのタイトルを書いて驚かせましょう。
回してみたい方はいるけど、一応アンカーになっておくことにする。
拾いたい方はご自由にどうぞ!

2:回ってきた質問には素直に等身大の自分で答えましょう。
はい。

3:このルールは必ず掲載して下さい。

 じゃあ、始め!

★お名前は?
ふくちゃん。
いい年こいて、もう少し考えるべきだったか(苦笑)。

★おいくつ?
1967年生まれの40歳。
年を重ねてだいぶ丸くなったような。

★ご職業は?
会社員。
まさかこんなに長くサラリーマンやるとは・・・自分が一番驚いている。

★資格持ってる?
そろばん7級(小学生)、英検3級(中2)。
失笑モノだが、必要なこと以外、わざわざ勉強するの、嫌い。
趣味や仕事に関して調べものしたり、勉強するのは苦にならないけど。

★今悩みありますか?
仕事・会社のこと。

★あなたの性格を一言で言うと?
穏やか。
誰であれ、どんな立場・関係であれ、相手に対して偉ぶらない。

★誰かに似てるって言われたことある?
香港人全般。

★社交的?人見知り?
人見知り。
仕事上ではそれ用のペルソナ被るからそうでもないけど。

★ギャンブルは好き?
基本的にやらない。
でも、マジにやったらハマって金をすりそう。
だからこそやらない。

★これの為なら一食抜けるゴハン
食べることより大事なことなんて、この世にはほとんどない。

★好きな食べ物・飲み物、嫌いな食べ物・飲み物は?
<好きな食べ物・飲み物>
和食、中華、イタリアン全般。高級であればなお良し(笑)。
インデアン・カレー。
スイーツ(量は食べられない)。
日本酒、焼酎。
完全無添加食品(でも本当はジャンクフードも大好き)
<嫌いな食べ物・飲み物>
嫌いなものは少ない方。
ゲテモノ以外は大丈夫だと思うが、白子、蟹みそは苦手。

★恋人はいる?
いない。

★彼氏、彼女にするならどんな人が理想?
理想は特にないが、一緒に穏やかに過ごせる人。
昔は引っ張りまわしてくれる元気な人が良かったが、年とったか。

★彼氏、彼女とケンカした時に自分から謝れますか?
自分に非があれば、自分から謝る。
50:50でもとりあえず謝る。
意地の張り合いに意味なし。

★バトンを回してきたあの人は○○である
読書好きで、お菓子を作る人に悪い人はいない!

★今までの自分の経歴で面白い事や自慢できる事は?
楽しいことは沢山あったが、面白いことは・・・。
さもツマラナイ人生を送っていると思われそうでイヤだが(笑)。
自慢(?)は高卒後、浪人(予備校)、大学(私大)と、経済的にほぼ誰にも(親にも)頼らずに(頼れずに)生きてきたこと。
自分で進んでではなく、やむなくだが、わりにしぶとい雑草野郎。

以上!
posted by ふくちゃん at 17:28| Comment(2) | TrackBack(0) | その他

2008年01月13日

チーム・バチスタの栄光(上・下)


チーム・バチスタの栄光 上
著者名:海堂尊(著)
出版社:宝島社
出版年:2007.11
ISBN :9784796661614


 第4回「このミス」大賞受賞作。この厚さで上・下巻はないんじゃないの?と思いつつ、購入。

 最初の2ページの情景描写の退屈さに、いきなり後悔。

・上巻内容
東城大学医学部付属病院の“チーム・バチスタ”は心臓移植の代替手術であるバチスタ手術専門の天才外科チーム。ところが原因不明の連続術中死が発生。高階病院長は万年講師で不定愁訴外来の田口医師に内部調査を依頼する。医療過誤死か殺人か。田口の聞き取り調査が始まった。第4回『このミス』大賞受賞、一気にベストセラー入りした話題のメディカル・エンターテインメントが待望の文庫化。
(「BOOK」データベースより)

・下巻内容
東城大学医学部付属病院で発生した連続術中死の原因を探るため、スタッフに聞き取り調査を行なっていた万年講師の田口。行き詰まりかけた調査は、高階病院長の差配でやってきた厚生労働省の変人役人・白鳥により、思わぬ展開をみせる。とんでもない行動で現場をかき回す白鳥だったが、人々の見えなかった一面が次第に明らかになり始め…。医療小説の新たな可能性を切り拓いた傑作。
(「BOOK」データベースより)

 謎を解くカギが読者に完全開示されているわけでもないし、アクロバティックな論理展開で真相と犯人に辿り着くわけでもないし、探偵役の白鳥の推理(というか調査)手法は意外に地味である。

 彼の異名がロジカル・モンスターだということは読む前から知っていたし、もちろん作中でも本人の登場と同時に語られるのだが、てっきり常人には及びもつかないような(それこそモンスター級の)切れ味鋭いロジカル・シンキングを見せ付けてくれるのかと思い込んでいた。

 論理的であることは確かだが、モンスターは“変人”というニュアンスだったんだな。

 で、最初の2ページを我慢して通り過ぎたら、高階院長が田口公平に内部調査を依頼する導入部(ミステリとしての謎の提示)から、すぐに引き込まれて最後まで一気に読んだ。

 大学病院という門外漢には全く分からない世界を垣間見ることができるのも興味深いし(どこまでがリアルかは判断しようがないが、現役医師の執筆作品ということが真実味を増幅させる)、キャラクタ造型も良い。

 これまたミステリというよりも、サスペンスだな。というか上の紹介文通り“メディカル・エンタテインメント”と呼ぶのがいちばんピッタリ来るか。

 ご存知の通り映画化されるが、不満が2つ。

 まず田口を女性に置き換えたこと(竹内結子氏)、そして白鳥が男前過ぎること(阿部寛氏)。俳優2人に恨みはないが、原作の世界観ぶち壊しやん!


 次は、『仕掛け花火』(江坂遊・著/講談社ノベルズ)。
posted by ふくちゃん at 23:44| Comment(0) | TrackBack(1) | ミステリ

2008年01月08日

夢の守り人


夢の守り人
著者名:上橋菜穂子(著)
出版社:新潮社
出版年:2007.12
ISBN :9784101302744


 「守り人」シリーズ第3弾。

 今回もなかなか面白かった。上質なエンタメ系(でもないか)ファンタジー。ハリ○タ(はるか昔に3巻目で離脱)より、よっぽどイイと思うが。。。


・内容
人の夢を糧とする異界の“花”に囚われ、人鬼と化したタンダ。女用心棒バルサは幼な馴染を救うため、命を賭ける。心の絆は“花”の魔力に打ち克てるのか?開花の時を迎えた“花”は、その力を増していく。不可思議な歌で人の心をとろけさせる放浪の歌い手ユグノの正体は?そして、今明かされる大呪術師トロガイの秘められた過去とは?いよいよ緊迫度を増すシリーズ第3弾。
(「BOOK」データベースより)


 “いよいよ緊迫度を増すシリーズ第3弾”と書かれているけど、物語そのものはほぼ完全に独立したモノ。もちろん、主人公のバルサを始め、レギュラーのタンダやトロガイ、第1弾に登場したチャグム、シュガ、ジンなども再び登場するので、シリーズの頭から読む方が良いが。

 夢(“将来の希望”じゃなくて睡眠中に見るヤツ)=ファンタジーと現実の関係 ― 現実にはファンタジーが、ファンタジーには現実が絶対に必要であること ― を、ファンタジーに仮託して描いている(ように思える)。

 そして、選んだ人生(望んだモノであれ望まぬモノであれ)と選ばれなかった人生。分岐点に戻ってやり直すことはできないし、そのチャンスがあってもその場ではまた同じ選択をするだろう。あったかも知れない別の人生に思いを馳せて嘆いても仕方がない。

 しかし、僕の読書はシリーズものが多いな・・・。楽しいけど、新しい作家、新しい作品に出会う機会を削っているような気もして、痛し痒しなんである。

精霊の守り人
闇の守り人


 次は『チーム・バチスタの栄光(上・下)』(海堂尊・著/宝島社文庫)。
posted by ふくちゃん at 00:10| Comment(2) | TrackBack(0) | 児童文学

2008年01月06日

少女には向かない職業


少女には向かない職業
著者名:桜庭一樹(著)
出版社:東京創元社
出版年:2007.12
ISBN :9784488472016


 謹賀新年!

 文庫読みの宿命というか何というか、どうしても読書界最先端のトレンドには遅れがちである。

 そんなわけで、ようやく初読みの桜庭一樹氏。

 ミステリor推理というより、サスペンス。面白かった。


・内容
あたし、大西葵13歳は、人をふたり殺した…あたしはもうだめ。ぜんぜんだめ。少女の魂は殺人に向かない。誰か最初にそう教えてくれたらよかったのに。だけどあの夏はたまたま、あたしの近くにいたのは、あいつだけだったから―。これは、ふたりの少女の凄絶な“闘い”の記録。『赤朽葉家の伝説』の俊英が、過酷な運命に翻弄される少女の姿を鮮烈に描いて話題を呼んだ傑作。
(「BOOK」データベースより)


 血の繋がった父は既になく、「自分の人生はこんなハズじゃなかった」という想いに取り付かれた母の愛情は薄い。そして、漁師として働けなくなってからは酒に溺れ、暴力を振るう“怪物”と化した義父。

 そんな窮屈な家庭を忌避しつつ、道化を演じ、空気を読み、争いを避けることで、学校での居場所をかろうじて保っている・・・。それが、先生からも同級生からも人気のひょうきんなお調子者・葵の本当の姿。

 学校では全く目立たない黒髪・眼鏡の図書委員。町一番の金持ちの孫娘。プライベートではゴスロリ・ファッションで異様かつクールな妖気を漂わせる“あいつ”宮乃下静香。

 葵はひょんなことから、その黒髪が本当は茶色の髪を染めていること(天然茶髪は校則上OKなのに)、眼鏡がダテであることに気付く。その意味は・・・。そして、彼女の口から語られる、彼女自身に関する驚くべき秘密、恐るべき計画。

 離島、田舎、学校、家庭。狭い世界に閉じ込められた少女達の生きるための戦い。

 この作品には、息苦しくも眩しい、思春期という時間の輝き(それが刹那の幻想でも)が確かに息づいている。

 ・・・こういうのに弱いのだ。

 葵と静香の2人には、この先どんな人生が待っているのだろう。苛酷な時間のその先に救いがあることを祈る。


 次は、『夢の守り人』(上橋菜穂子・著/新潮文庫)。
posted by ふくちゃん at 23:28| Comment(4) | TrackBack(3) | ミステリ