2007年10月30日

最後の願い


最後の願い
著者名:光原百合(著)
出版社:光文社
出版年:2007.10
ISBN :9784334743208


 役者&演出&脚本を手がける青年が自らの劇団を立ち上げるために優秀な人材をスカウトしつつ、彼らが巻き込まれた謎や事件を解き明かしていく連作ミステリ。

 一話ごと、事件を解決するごとに、原作担当、男優(もうひとりの探偵役)に制作事務担当、舞台美術担当、女優、稽古場となる洋館の提供者、女優にスポンサーと仲間が増えていく趣向はなかなか面白い。

 役者は赤の他人になりきるために、その役の人物そのものをトレースしていく(全ての役者がそういう方法を取るわけじゃないとしても)。その能力が探偵役に活かされるという着想も面白い。

 だが、いろんな顔を見せる主役の青年のアクの強さにもうひとつ馴染めない。人間の心の裏側、屈折した心理を暴くような作風も読後感はそんなに良くない。

 ついつい、光原氏には爽やか路線を期待してしまうのだった・・・。

 ネタバレになるので書けないが、劇団メンバーが揃って、いよいよ旗揚げ公演という最終章で○○が出てくるってのもなぁ・・・。


 次は『生首に聞いてみろ』(法月綸太郎・著/角川文庫)
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2007年10月23日

水滸伝・十三 白虎の章


水滸伝 13
著者名:北方謙三(著)
出版社:集英社
出版年:2007.10
ISBN :9784087462203


 林冲、秦明、花栄、呼延灼、関勝などなど、多くの優秀な武将が梁山泊に流れ込んだが、宋でも若い優秀な将軍が台頭し始める。

 梁山泊が宋の首都・開封府の喉元に築き上げた流花寨には、禁軍(中央軍=宋の最精鋭軍)元帥の秘蔵っ子・趙安の率いる3万が、北京大名府軍2万と共に押し寄せ、呼延灼、関勝、穆弘と対峙する。

 梁山泊の軍師・呉用は流花寨の防衛に執心するが、宋の真の狙いは梁山泊の北の要地・双頭山の殲滅にあった。聞煥章が抜擢した北京大名府の新将軍・董万の指揮下にある2万が、南部の陽動に3万もの軍を使って梁山泊の目を逸らせつつ、密やかかつ一気に双頭山に迫り、壊滅的な打撃を与える。

 この激戦の中、雄々しく命を散らす者が・・・。

 この巻では、水軍同志の戦いも始まり、彼我の物量差を埋めるため、孔明と童猛は宋の造船所に決死の襲撃を敢行。ここでも、また壮絶な死が。。。

 そして、致死軍は青蓮寺の中心人物の暗殺の可能性を探る。

 頭脳戦、野戦、水上戦、暗殺。あらゆる形の闘い、まさに総力戦の様相を呈しつつある宋と梁山泊。目が離せないぞぉ〜!!

水滸伝・一 曙光の章
水滸伝・二 替天の章
水滸伝・三 輪舞の章
水滸伝・四 道蛇の章
水滸伝・五 玄武の章
水滸伝・六 風塵の章
水滸伝・七 烈火の章
水滸伝・八 青龍の章
水滸伝・九 嵐翠の章
水滸伝・十 濁流の章
水滸伝・十一 天地の章
水滸伝・十二 炳乎の章


 次は、『最後の願い』(光原百合・著/光文社文庫)。
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2007年10月21日

やさしい男 慶次郎縁側日記


やさしい男
著者名:北原亞以子(著)
出版社:新潮社
出版年:2007.09
ISBN :9784101414218


 連作短篇時代小説『慶次郎縁側日記』シリーズの第7弾。

 主人公は、かつては「仏の慶次郎」と謳われた血も涙もある腕利き同心、今は家督を義理の息子・晃之助に譲った気楽な隠居で商家の寮番、森口慶次郎。

 とはいえ、慶次郎メインの話ばかりではなく、彼は背景に退いて周囲の人物がメインの話もあるし、どころか直接的には登場しないのに、慶次郎の存在感を感じさせる話もある。

 上手いなぁ・・・。

 事件や捕物よりも「人」の哀しさや優しさを描き、明確な起承転結よりも日常の流れを切り取ったかのようにすぅっと話が始まり、ストーリーや心情や結末を言葉で説明し尽くしてしまうような野暮はせずに終わる。それでいて、書かれなかったところに何があるのか確かに伝わるし、「はい、オシマイ」という閉じた終わり方ではなく、その後の展開に自然と思いを馳せてしまう開かれた終わり方に、何とも言えぬ余韻がある。・・・心楽しい結末ばかりではないけれど。

 本当に上手い・・・。時代小説が好きなら、外せない人だと思う。


 次は、『水滸伝・十三 白虎の章』(北方謙三・著/集英社文庫)。
posted by ふくちゃん at 18:02| Comment(4) | TrackBack(1) | 歴史・時代小説

2007年10月19日

太陽の塔


太陽の塔
著者名:森見登美彦(著)
出版社:新潮社
出版年:2006.05
ISBN :9784101290515


 長く読書をしていると、好きなシリーズ物が増えて、その新刊をフォローすることに忙しくなり、未知の作家に出会う時間が減る。さりとてシリーズ物ならではの魅力も捨てがたし・・・。ジレンマだ。

 でもないか。

 森見氏は初読み。日本ファンタジーノベル大賞受賞作ということで、一応「ファンタジー」にカテゴライズしてみたが・・・これがファンタジーなら、なんと華のないファンタシジーであることか(笑)。

 でもいいね、こういうファンタジーがあっても。


・内容
私の大学生活には華がない。特に女性とは絶望的に縁がない。三回生の時、水尾さんという恋人ができた。毎日が愉快だった。しかし水尾さんはあろうことか、この私を振ったのであった!クリスマスの嵐が吹き荒れる京の都、巨大な妄想力の他に何も持たぬ男が無闇に疾走する。失恋を経験したすべての男たちとこれから失恋する予定の人に捧ぐ、日本ファンタジーノベル大賞受賞作。
(「BOOK」データベースより)


 もっと破天荒で、ヌメヌメ、ジメジメ、男汁(森見氏の造語だろうか?)プンプンの、匂いそうな作品かと期待していたが、意外に大人しいというか、上品な作品だった。そこが少々物足りないといえば、物足りない。

 だが、「ゴキブリキューブ」は想像するだに恐ろしい(笑)。こんな目にだけは遭いたくないなぁ・・・。

 モテない男の手記に溢れる過剰な自意識、過剰な自信、その裏に押し込めようとしても滲み出る不安や寂しさや自己防衛意識が無闇におかしい。男なんて煎じ詰めればこんなものかもねぇ・・・。この人の作品、また読もう。


 次は、愛読シリーズの新刊で、『やさしい男 慶次郎縁側日記』(北原亞以子・著/新潮文庫)
posted by ふくちゃん at 22:35| Comment(0) | TrackBack(1) | ファンタジー・幻想文学

2007年10月18日

走ることについて語るときに僕の語ること


走ることについて語るときに僕の語ること
著者名:村上春樹(著)
出版社:文藝春秋
出版年:2007.10
ISBN :9784163695808


 今日、書店で村上春樹氏に関する、最近出版された評論本を立ち読みした。現存する日本の作家で、これほど次々と評論本が出る人も珍しい。しかし、昔一度だけ真剣に評論本というか分析本を読んでみたことがあるのだが、「こんなもん読んでもしょーがねーな」というのが率直な感想である。以来、小説家やその作品に関する評論は立ち読みの拾い読み以外では読まないことにしてる。

 そんなヒマがあったら、その小説家の作品を読んだ方が話が早いし、礼賛であれ批判であれ、一般の方のブログなどの方がよっぽど参考になって楽しい。

 今回の評論本も、拾い読みの斜め読みではあるが、その感想は「わかってねーな」である。小説を分析的に読んでも仕方がない。面白いか、面白くないかが全てなのだ。


1982年秋、専業作家としての生活を開始したとき、彼は心を決めて路上を走り始めた。それ以来25年にわたって世界各地で、フル・マラソンや、100キロ・マラソンや、トライアスロン・レースを休むことなく走り続けてきた。旅行バッグの中にはいつもランニング・シューズがあった。走ることは彼自身の生き方をどのように変え、彼の書く小説をどのように変えてきたのだろう?日々路上に流された汗は、何をもたらしてくれたのか?村上春樹が書き下ろす、走る小説家としての、そして小説を書くランナーとしての、必読のメモワール。
(「BOOK」データベースより)


 村上氏の小説もエッセイも全く読まない人の村上像ってどんなもんだろう?

 そういう方には意外かも知れないが、ハルキストなら先刻ご承知の通り、実はかなりの「肉体派」(・・・っていう呼称はご本人に苦笑されそう・・・^^;)なのである。昔の紀行系エッセイなんかを読んでも、かなりワイルド?な行動派だ。

 この人の作品にはダークな色合いも強いが、その世界が健康な肉体と健康的な生活に支えられたものであることが、本書を読むと改めてよく分かるし、(うまく説明はできないが)なぜ海外でも広く受け入れられるのか、時に評論家に酷評されながらも、一過性の流行文学ではなく、長い間売れ続けるのか分かる気がする。

 結局、その辺の作家や評論家とは創作との関わり方に違いがあるのだ。

 早く次の小説を読みたい。


 で、次は『太陽の塔』(森見登美彦・著/新潮文庫)。
posted by ふくちゃん at 20:29| Comment(0) | TrackBack(0) | エッセイ

2007年10月16日

M8


M8
著者名:高嶋哲夫(著)
出版社:集英社
出版年:2007.08
ISBN :9784087462005


 月9の『ガリレオ』の1回目を観た。イマイチだった。やっぱ原作の方が良い。

 さて、『M8』。

 こちらはかなり面白かったぁ〜。約550ページと結構長いが、一気読みである。


 瀬戸口誠治。28歳。東都大学理学部地球物理学科大学院博士課程を修了したポストドクター(博士研究員)。高校時代に阪神・淡路大震災で親兄弟を亡くした震災孤児で、現在は地震予知を専門とする。

 彼のコンピュータ・シミュレーションは、1ヵ月以内に東京直下でマグニチュード8クラスの巨大地震が起こることを示していた。この危機を何とかしたいと思う瀬戸口だが、同僚の研究者もボスである教授(地震学の重鎮)も、同じく親兄弟を亡くした高校時代の同級生 ― 防災に熱心な議員の秘書を務める亜紀子、災害救助にあたる自衛隊施設大隊の尉官・松浦 ― も本気では取り合わない。

 ある日、瀬戸口は1人の男と偶然出会う。それは、瀬戸口のシミュレーションの基となる理論と公式を構築したかつての地震学の世界的権威でありながら、阪神・淡路大震災を予知することができず、震災後袋叩きに合い、神戸大学教授の地位を追われ、失踪していた遠山であった。

 遠山の協力・指導の下、さらに精密なシミュレーションを続ける瀬戸口だが、その精度が上がる度にXデイは現在時点に近付き、あと3日以内にほぼ100%の確率で東京直下型大地震の発生することが判明する。

 あらゆるルートを使って、この「事実」を政府や東京都に伝えようとする瀬戸口と遠山。遂には東京都知事が動く。しかし、もはや「その時」は目前に迫っていた・・・。


 「いつか来るとは思っていたが、今日来るとは知らなかった」というコピーの映画が昔あった(1980年『地震列島』)。現実に、東京直下型、東海、東南海、南海地震はいつかは必ず起こると言われている。

 だが、阪神・淡路大震災から時は流れ、酷い被害を直接受けなかった僕らの危機感は早くも風化しつつある。それに、小説内の表現を借りるなら、仮に東海地震の「警戒宣言」が発令された場合、あらゆる経済活動はストップし、それだけで実際に地震が来なくても、1日に3450億円の経済損失が生まれるという。実際に大地震が来た場合の損失はそれどころではないはずだが、もし来なかった場合のことを考えると、容易に「警戒宣言」は出せない・・・。でも、やっぱり地震が来たら・・・。このジレンマは悩ましい。

 だから、政治家も科学者も、小説内のほとんどの人物が ― 地震の恐ろしさを身に沁みて理解し、防災や被災者救済のために働きたいと考えている亜紀子や松浦でさえ ― 地震が本当に来る可能性から目を逸らそうとする気持ちは分かる(一方で、もどかしさが募り、先が気になって、ドンドン読んじゃう)。かつての遠山もまた、己の名誉も含めて、予知が外れた場合のリスクに囚われ、阪神・淡路大震災の発生を十分に察知しながら、そのことを断言することが出来なかった(そのために震災で妻と子と数人の教え子を喪い、今も深い後悔に苛まれると同時に、同じ過ちは繰り返さないという強い気持ちを抱えている)。

 地震が起こった後の、自衛隊や消防の必死の闘いには、思わず目頭が熱くなったりした。ただ、主要人物がほとんど死なないのは、出来すぎかも(笑)。

 それにしても、エンタメとして十分面白く(現実化はしてほしくないが・・・いや、その考えこそ現実逃避か)、しかも考えさせられる本。地震予知は難しいらしいけど、諦めずにもっとお金をかけて研究すべきじゃないだろうか。そして、地震予知が外れても喜びこそすれ、嘘つきやがって!なんて怒っちゃいけないな。

 根底に著者の熱い気持ちを感じる一冊。


 次は、もちろん『走ることについて語るときに僕の語ること』(村上春樹・著/文藝春秋)。
posted by ふくちゃん at 00:22| Comment(0) | TrackBack(0) | その他

2007年10月14日

生物と無生物のあいだ


生物と無生物のあいだ
著者名:福岡伸一(著)
出版社:講談社
出版年:2007.05
ISBN :9784061498914


 今、話題のベストセラー。著者の福岡伸一氏は時の人となり、先日NHKの「爆笑問題のニッポンの教養」にも出演。内容はもちろん本書に関連することであった。いや、観てないけど。

 本書は、遺伝子の本体「DNA」発見までの過程に始まって、DNAによる自己複製能が生命の本質であること、しかも全てのDNAは原子レベル・分子レベルにおいて常に高速で入れ替わっており、生物とは「動的平衡を維持するもの」であるということを、僕のようなド文系アタマの人間にも分かるように(分かった気になるように?)、実に平易に解き明かしてくれる。

 例えば、我々人間の場合、半年も経てば原子・分子レベルでは完全に生まれ変わった別人なのである。不思議。

 しかし、そういった生物学の最先端の知見以上に興味深かったのは、科学者たちが織りなす人間ドラマである。「人間ドラマ」とは言っても、そこにあるのは高尚さではなく、人間臭さというか、愚かさというか、セコさというか・・・他人の実験データを盗み見たり・・・科学者も人の子、虚栄心だってあるということだ。

 それに、日本ではお札の肖像画にまでなっている野口英世が、現在のアメリカでは全く評価されていないことも印象に残った。彼は、梅毒やポリオなどの感染症の病原体を発見したとされているが、今日ではそれが間違いであったことが証明されているそうだ。

 知らぬは日本人ばかりなりか。。。

 それにしても、ますます研究が進展して、人間を含む全生命の営みの仕組みが完全に解明されたとしても、なぜそんなうまい具合に命がデザインされ、プログラムされたのかという神秘そのものは残るような気がする。だから、宗教も無くならないだろうな(僕は無宗教派だが)なんてことを考えながら、読み終えた。

 たまにはこんな読書も良いものだ。


 次は、もう読み終わった『M8』(高嶋哲夫・著/集英社文庫)。


【16:40追記】
 さきほど、夕飯の買い物のついでに、近所の書店に寄ったら、村上春樹氏の新刊が!小説ではなくてエッセイで『走ることについて語るときに僕の語ること』(文藝春秋)。新聞広告より先に発見できるなんて、嬉しいサプライズ。まさに『小確幸』だ!今日から読むぞぉ。
posted by ふくちゃん at 14:12| Comment(0) | TrackBack(2) | ノンフィクション

2007年10月08日

反自殺クラブ 池袋ウエストゲートパークX


反自殺クラブ
著者名:石田衣良(著)
出版社:文藝春秋
出版年:2007.09
ISBN :9784167174125


 石田衣良氏は、このシリーズの第1作でオール讀物推理小説新人賞を受賞してデビュー。確かにシリーズ初期にはミステリ的要素がないわけでもないけど、今となってはなんだか不思議な感じだなぁ。

 今作も、池袋西口公園近くの実家果物屋の店番であり、コラムニストであり、池袋のトラブルシューターでもあるマコトが、ストリートギャングのGボーイズの王様タカシ(高校時代の同級生)や、羽沢組系氷高組本部長代行のサル(中学時代の同級生)、凄腕のハッカー・ゼロワンなど、お馴染みのメンバーの力を借りつつ、いろんな事件に関わり合い、あれよあれよと(短編だもんな)解決していく。

 まあ、ご都合主義的というか、結局いつもうまく行き過ぎるというキライもあるにはあるけど、新しい社会風俗や現代社会の歪みを巧みに織り込んだストーリー、レギュラーだけでなくその回にしか登場しない主役級ゲスト(=トラブルをマコトに持ち込む連中)など、登場人物の魅力で、軽快に読ませる。

 集団自殺とか、日本企業による中国労働者への搾取とか、同じ題材や設定で大沢在昌氏あたりが書いたら、きっともっとヘヴィな作風になるだろうな(笑)。それも読んでみたい気がするけど。


 次は、久し振りに小説を離れて、『生物と無生物のあいだ』(福岡伸一・著/講談社現代新書)。
posted by ふくちゃん at 14:30| Comment(0) | TrackBack(1) | その他

2007年10月06日

螢坂


螢坂
著者名:北森鴻(著)
出版社:講談社
出版年:2007.09
ISBN :9784062758314


 『花の下にて春死なむ』『桜宵』に続く、ビアバー香菜里屋(かなりや)シリーズの第3弾。

 このシリーズには、僕が好きな小説の要素が2つある。

 まずは安楽椅子探偵モノであるということ。

 探偵役のマスター・工藤が登場するのは、ほぼ香菜里屋のカウンター内に限定される。そこを訪れた客の言葉から、客の頭を悩ませる謎を解き明かし、抱える悩み・不安・迷いをさらりと取り除く。人の心を開かせずにはいられない穏やかで温かな容貌や物腰、舌を蕩けさせる旨い料理の向こうには、真相を見抜く明敏な洞察力が息づいているのだ。

 第2に料理の描写が簡潔にして冴え渡っていること。

 詳細なレシピの記述こそないものの、特に今作では過去2作に比べて、「自分でも作れるかも・・・」と思えるメニューが多かった。実際、近々やってみるつもりだ。どんなメニューが登場したか、ここでぜひ紹介したいところだが、この作品をこれから読む方の楽しみを半減させることになるので、涙を飲んで(?)自粛する。

 ちなみに、旨そうな料理という点では、同じ著者の『メインディッシュ』というミステリもオススメ。

 ああ、しかし、どこかにこんな隠れ家的な、決まったメニューだけでなく、その時々のオススメ料理を自在に供してくれる良いお店がないかなぁ・・・。こんな店なら、そりゃ、すぐに常連になってしまう。度数の異なる4つのビール、特にロックスタイルで飲む12度のビールとやらを飲んでみたい。


 次は、『反自殺クラブ 池袋ウエストゲートパークX』(石田衣良・著/文春文庫)。
posted by ふくちゃん at 20:53| Comment(2) | TrackBack(1) | ミステリ

2007年10月02日

臨場


臨場
著者名:横山秀夫(著)
出版社:光文社
出版年:2007.09
ISBN :9784334743031


 倉石義男。52歳。独身。槍のように細い体。オールバックのヘアスタイルに、ヤクザな物腰。

 百戦錬磨の刑事たちが自殺や病死と信じる死体を他殺と見破り、どう見ても殺人としか思えない案件を自殺と見抜く・・・L県警歴代.1の凄腕検視官。

 相手が誰であろうと一切媚びない、組織の問題児だが、その貢献度の高さと余人を以って替えがたい能力ゆえに長年異動することなく、『終身検視官』の異名を取る。疎んじる上司も多いが、慕う部下もまた数多い。

 横山氏には珍しくアウトロータイプの人間を主人公に据えた連作短編集。あまりの彼の眼力に、鼻白む向きもあるかも知れないが、ぶっきらぼうな中にも部下や犯罪者に対する深い洞察や愛情を感じさせるところや、彼を取り巻く人間関係・人生模様の描写は相変わらずの練達ぶりで、安心して読めまんなぁ。


 次は、お気に入りの「ビアバー香菜里屋シリーズ」の第3弾、『蛍坂』(北森鴻・著/講談社文庫)。
posted by ふくちゃん at 23:59| Comment(2) | TrackBack(1) | 警察小説