犯人に告ぐ 上 著者名:雫井脩介(著)
出版社:双葉社
出版年:2007.09
ISBN :9784575511550
下巻の途中までは「面白い!映画も絶対観るぞぉ〜!!」と、ページを繰るのもモドカシイほどの勢いで読んだ。
闇に身を潜め続ける犯人。川崎市で起きた連続児童殺害事件の捜査は行き詰まりを見せ、ついに神奈川県警は現役捜査官をテレビニュースに出演させるという荒技に踏み切る。白羽の矢が立ったのは、6年前に誘拐事件の捜査に失敗、記者会見でも大失態を演じた巻島史彦警視だった ― 史上初の劇場型捜査が幕を開ける。第7回大藪春彦賞を受賞し、「週刊文春ミステリーベストテン」第1位に輝くなど、2004年のミステリーシーンを席巻した警察小説の傑作。
(上巻/「BOOK」データベースより)
犯人=“バッドマン”を名乗る手紙が、捜査本部に届き始めた。巻島史彦は捜査責任者としてニュース番組に定期的に出演し、犯人に「もっと話を聞かせて欲しい」と呼びかけ続ける。その殺人犯寄りの姿勢に、世間および警察内部からも非難の声が上がり、いつしか巻島は孤独な戦いを強いられていた―。犯人に“勝利宣言”するクライマックスは圧巻。「普段ミステリーや警察小説を読まない人をも虜にする」と絶賛された、世紀の快作。
(下巻/「BOOK」データベースより)
まず、上巻の第1章では、6年前の誘拐事件の顛末が語られるのだが、捜査失敗の責任は決して巻島一人に帰せられるものではないし、彼の抱える家族の問題、正義面したマスコミによる糾弾などと相まって、胸が苦しくなるような、腹の煮え立つような気持ちに・・・読み応えあり。
組織って、生け贄を必要とするもの。マスコミも、分かりやすい構図を求めるもの。
・・・などと思いながら。
だが、連続児童殺害事件の捜査の停滞を受け、左遷された田舎の署で実績を挙げ続けてきた巻島が呼び戻される。無論、そこには上層部の温情などなく、捜査成功の目算もないが、(表面的には心の傷を隠し)より不敵さを増した巻島は、それを承知で新たな捜査責任者を引き受ける。
ここで、6年前の巻島の苦渋を知っている読者としては、彼に肩入れしたくなるわけ。
で、捜査責任者がTVで呼びかけるという異例の捜査方法で、どう真犯人に辿りつくのか・・・俗物年下上司の邪魔だてにイライラ、「巻島がんばれ」とドキドキしながら、先を読んでいく・・・。
しかし、ある偶然に始まって、地道な方法(ケレン味もあるけどさ)で犯人逮捕へ・・・という結末は、地味過ぎるなぁ。これが最初から(良い意味で)地味な警察小説ならともかく、大きく広げた風呂敷の畳み方としては、やや肩透かし。
ま、現実にもこういう偶然は起こり得ると思うし、捜査なんて実際地味なもんだろうし、じゃあ他にどんな解決方法があるんや?と言われると困るし、文句言う筋合いもないのだろうが、ちょっとラストの展開は物足りなんなぁ。
次は、地味な警察小説の第一人者による『臨場』(横山秀夫・著/光文社文庫)。

