2007年08月29日

水滸伝・十一 天地の章


水滸伝 11
著者名:北方謙三(著)
出版社:集英社
出版年:2007.08
ISBN :9784087461978


 相変わらず続く宋と梁山泊の虚々実々の激しい争闘。

 これまでどちらかと言えば、梁山泊の勢いと戦略に翻弄され気味だった宋だが、裏を牛耳る青蓮寺だけでなく、その青蓮寺の努力によって、表の力=軍の梁山泊への対応も急速に変わりつつある。

 梁山泊軍も総勢2万数千人に膨らんだとはいえ、戦で一方的に勝ち切るということが難しくなってきた。腐ってはいても、まだまだ何十万という軍を抱える強大な宋という国の底力。

 そんな中、兵力3万を越えたら、一気呵成の全面攻勢で叛乱の火を全国に拡げるべきだと主張する晁蓋と兵力10万に達するまで慎重に事を進めるべきだと考える宋江の対立が深刻化していく。

 常に戦の最前線に立つ晁蓋と梁山泊中枢でどっしり構える宋江。タイプの異なる2人の指導者のバランスでここまで来た梁山泊に不協和音が生じてしまうのか。

 そんな心配をしつつも、「今回は久々に誰も死なん巻やなぁ」と思いながら読んでいたら、最後の最後で。

 ええええええええええ!

 てっきり、○○○は△△の器=人間的魅力の前に、仲間になるのでは・・・と思ってたのに。

 ええええええええええ!

 超弩級の衝撃・・・。

水滸伝・一 曙光の章
水滸伝・二 替天の章
水滸伝・三 輪舞の章
水滸伝・四 道蛇の章
水滸伝・五 玄武の章
水滸伝・六 風塵の章
水滸伝・七 烈火の章
水滸伝・八 青龍の章
水滸伝・九 嵐翠の章
水滸伝・十 濁流の章

 次は『NO.6 #3』(あさのあつこ・著/講談社文庫)。
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2007年08月28日

フィンガーボウルの話のつづき


フィンガーボウルの話のつづき
著者名:吉田篤弘(著)
出版社:新潮社
出版年:2007.07
ISBN :9784101324517


 僕の好きなクラフト・エヴィング商會の吉田篤弘氏の連作?短編集。

 例によって少し奇妙で、ほんわかで、お洒落。

 例によって作品同士が微妙にリンクしたり、入れ子構造になったり。


「世界の果てにある食堂」を舞台にした物語を書きあぐねる吉田君は、奇妙な連作小説を予告して消息不明となった謎の作家=ジュールズ・バーンを知る。「物語」の入り口を探し求める吉田君がいつしか迷い込んでいたのは、バーンが企んだ連作の世界なのか―。ビートルズの“ホワイト・アルバム”を軸にしてシンクロする過去と現在。16+1の短篇のリンクが「物語」の不思議を奏でる。
(「BOOK」データベースより)


 何の主張もない、押し付けがましいところもない。日向ぼっこしているような、ソファの上でまどろんでいるような、そんな心持ちになってくる。

 宝石箱のような本。

 ・・・ま、退屈する人もいるだろうけど。


 次は『水滸伝・十一 天地の章』(北方謙三・著/集英社文庫)。
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2007年08月26日

クレイジーカンガルーの夏


クレイジーカンガルーの夏
著者名:誼阿古(著)
出版社:ソフトバンククリエイティブ
出版年:2006.11
ISBN :9784797337839


 『DIVE!!』が映画化されることになったそうで(主役の1人は『バッテリー』の巧役の林遣都君)、楽しみだ。

 『クレイジーカンガルーの夏』は、僕が住んでいる街のBook1stで姉妹編の『クレイジーフラミンゴの秋』と共に平積みになっていた。著者もイラストレーション担当の方もこの街の出身&在住で、作品の舞台もこの街・・・ということが理由らしい。

 こういう出会いでもなければ、このソフトバンク系の出版社から出ているらしいGA文庫という(見たことも聞いたこともない)ものを手に取ることはなかったろう。

 なにせ『クレイジーカンガルーの夏』と『クレイジーフラミンゴの秋』以外のラインナップは、かなりオタッキーな薫り漂う少年少女向けのラノベのようであるから(悪口ぢゃないよ)。


田んぼの上を通り過ぎるジャンボジェット。ラジカセから流れる「はっぴいえんど」の歌。中学1年の夏休み。須田広樹が待ちに待った夏休みは、仲の良い秀一や敬道、それに東京から転校してきた、ちょっとあか抜けた感じの従兄弟・冽史を交えてにぎやかに始まった。プールで遊んで、昨日のガンダムの話で盛り上がって、大人のリクツなんかには全然納得したくなくて…いつまでも続けばいいと思っていた。そんなある日、冽史の家の事情をきっかけに、4人はちょっとした冒険を試みることになるのだった。誰しも心のどこかに残している少年時代が色鮮やかに蘇る、ちょっとノスタルジックなストーリー。
(「BOOK」データベースより)


 で、この作品はそんなGA文庫の中にあっては恐らく異色(と推察する)の、幼馴染3人とその中の1人の従兄弟を主人公にしたごくフツーの青春小説。

 彼らの会話には『ガンダム』やら『ヤマト』やら『ザンボット3』やら『マジンガーZ』やら『ゲッターロボ』やら『アニメージュ』やらが頻出するが、なにせ1979年当時の中学1年(俺の1つ上だ)のことだから、ワリにフツーのことで特にオタッキーなわけではない。

 特に大きな事件や事故やドラマがあるわけでもなく、佐野元春の名曲『ガラスのジェネレーション』の歌詞から取った作品タイトルも、作品中でモチーフのように登場するはっぴいえんどの『夏なんです』『風をあつめて』も十分に活かされているとは言い難いけど、関西弁青春小説のそこそこの佳品。

 ところで、この本のあとがきに“この文庫の対象読者の方々のおとうさん、おかあさんの中学時代”を描いた作品と書いてあった。それを読んでいる俺ってなんなんだ・・・と、なんだか軽くショックだった(笑)。


 次は、『フィンガーボウルの話のつづき』(吉田篤弘・著/新潮文庫)。
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2007年08月21日

半島を出よ(上・下)


半島を出よ 上
著者名:村上龍(著)
出版社:幻冬舎
出版年:2007.08
ISBN :9784344410008


2011年春、9人の北朝鮮の武装コマンドが、開幕ゲーム中の福岡ドームを占拠した。さらに2時間後に、約500名の特殊部隊が来襲し、市中心部を制圧。彼らは北朝鮮の「反乱軍」を名乗った。慌てる日本政府を尻目に、福岡に潜伏する若者たちが動き出す。国際的孤立を深める日本に起こった奇蹟!話題をさらったベストセラー、ついに文庫化。
(「BOOK」データベースより)


半島を出よ 下
著者名:村上龍(著)
出版社:幻冬舎
出版年:2005.03
ISBN :9784344007604


さらなるテロの危険に日本政府は福岡を封鎖する。いまや九州は反乱軍の占領下となった。逮捕、拷問、粛清、裏切り、白昼の銃撃戦、被占領者の苦悩と危険な恋 ― 。絶望と希望が交錯する中、若者たちの決死の抵抗が始まる。現実を凌駕する想像力と、緻密な描写で迫る聖戦のすべて。各紙誌で絶賛を浴びた、野間文芸賞、毎日出版文化賞受賞作品。
(「BOOK」データベースより)


 村上龍氏は自分でも意外なことに初読みである。この本は単行本が出たときから、文庫化されたら読もうと決めていた。

 2011年を舞台にした近未来小説。

 経済的に没落してアメリカやアジア諸国から見放され、世界の孤児と成り果てた日本。街には失業者やホームレスが溢れ、政治的には軍備拡張主義が台頭している。

 そんな中、体制維持が困難となった北朝鮮の金正日は、韓国との統一を果たした祖国の英雄として中国で安泰に引退生活を送るために、特殊戦部隊員の精鋭を選抜して福岡市を占拠させる。

 たった9人で福岡ドーム占拠なんて・・・と思うかも知れないが、読んでいると優秀なプロの手にかかれば意外に簡単かもなぁと思えてくる。怖い。

 福岡ドームの観客を人質に捕られた政府が手も足も出せず右往左往している間に、500人の後続部隊が到着。他都市、とりわけ東京へのテロを恐れる政府は福岡市を封鎖し、自ら北朝鮮特殊戦部隊による福岡市占領を完成させることになる。

 彼ら特殊戦部隊は、自分達は母国・北朝鮮の腐敗を糺すために立ち上がった「反乱軍」であり、その拠点として福岡市民と共存して新しい国を打ち立てると宣言。軍の規律を守りつつ、ソフトな政策を用い、脱法行為で儲ける悪徳経営者・政治家や暴力団を逮捕して資産を接収し、市の運営費に当てるなど、一見平和裏に統治を進めて行く。

 そして、さらに12万人の北朝鮮軍が福岡市を目指して海を渡りつつあるのだ。

 実はこの12万人は韓国との統一やアメリカとの融和協調路線に反対し、金正日へのクーデターの噂も絶えない、対外最強硬派の幹部達が率いる軍であり、南北統一のために彼ら12万人を北朝鮮から追い出すことがこの福岡制圧作戦の真の意図なのである。

 政府は北朝鮮に抗議し、アメリカなどに応援を求める。

 だが、北朝鮮は、彼らが「反乱軍」であることを対外的に認め、日本からの要請があれば、自らの手で処分しても良いという(だが、その場合、戦場になるのは福岡で、到底そのような要請はできない)。また、今回の件は「反乱軍」が勝手にしでかしたことであるから、非は認めない。

 アメリカも表向きはともかく、本音は日本よりも南北朝鮮の統一と中国との協調の方が戦略的に重要なのだ。それどころか、福岡を拠点とする物流が止まっていることの損害の大きいので、福岡の占領統治を容認して物流を再開させる空気さえある。政府の対応のまずさもあり、アメリカも中国も日本に協力しない。

 後続の500人や12万人は知らないが、9人の先遣隊コマンドは占領軍司令部として、これら全てが作戦名「半島を出よ」のシナリオ通りであることを理解した上で行動しているのだ。


 設定された日本の状態や、占領軍に対抗する少年達の集団 ― しかも普通の(とあえて言っておこう)少年達ではなく、過去に人殺しなどの罪を犯したり、変わった嗜好や特定の分野で突出した技能を持っていたりする、特殊な(とあえて言っておこう)少年達 ― が、リアルに感じられなかった。また、背景が細かく書き込まれているわりには、少年達や北朝鮮の先遣隊コマンド達やその他の登場人物のキャラが立っていない気がして、最初はなかなか入り込めなかった。

 中途半端に投げ出されたキャラやエピソードも多いし。プロローグに登場するだけのノブエ(♂)という特異なキャラや、美貌のチョ・スリョン中尉とNHK福岡のアナウンサーの「危険な恋」のエピソードとか。

 だが、十分な取材に基づいた先遣コマンド達の心中の変化や葛藤の描写は興味深く、少年達の占領軍を一網打尽にする作戦や、占領軍が異変に気付いて対応し始めてから作戦遂行までの時間との闘いはスリリングで、徐々に引き込まれていった。

 これ実写映画化したら、結構面白いエンターテインメント作品になるんじゃないかなぁ。

 ・・・ていう感想に落ち着くところが、平和ボケの証か・・・。実際、この作品に登場するほとんどの日本人が愚かだが、こういう事態で自分が絶対そうならないという自信はないな。


 次は『クレイジーカンガルーの夏』(誼阿古・著/GA文庫)。
posted by ふくちゃん at 16:43| Comment(0) | TrackBack(0) | その他

2007年08月17日

カシオペアの丘で(上・下)


カシオペアの丘で 上
著者名:重松清(著)
出版社:講談社
出版年:2007.06
ISBN :9784062140027


 お盆休みに実家に帰ったら置いてあったので、『半島を出よ』を上巻でストップして、こちらを先に読了。

 重松清氏は上手い作家だと思う。

 だが、この作品に関しては、上手いけど深みがない。良い話だけど、全ての登場人物が良い人過ぎて、リアルじゃない。子供を含めて、物分りが良すぎる。美しい物語だが、漂白されて、味気のない美しさだ。

 しかも、主人公は40歳にして、末期ガンで死ぬ。かつての親友や恋人に、憎み続けた祖父に、残される妻と息子に何を残してやれるのか・・・というテーマには普遍性はあると思うが・・・。如何せん、主人公が不治の病で命を落とす作品が多すぎる、小説も、ドラマや映画も。

 もう食傷気味である。

 そこそこ感動させるなら、こんな楽な手法はないと思うが、それならノンフィクションの方がはるかに強いだろう。小説でそれと同等、あるいはそれ以上のものを書くのは簡単なことじゃない。


 ただいまは『半島を出よ』の下巻を読破中。
posted by ふくちゃん at 00:04| Comment(0) | TrackBack(1) | その他

2007年08月09日

雪沼とその周辺


雪沼とその周辺
著者名:堀江敏幸(著)
出版社:新潮社
出版年:2007.07
ISBN :9784101294728


 堀江敏幸氏は、初めて読んだ『熊の敷石』が良くて、その次に読んだ『いつか王子駅へ』は僕には退屈で、これが3冊目。


小さなレコード店や製函工場で、時代の波に取り残されてなお、使い慣れた旧式の道具たちと血を通わすようにして生きる雪沼の人々。廃業の日、無人のボウリング場にひょっこり現れたカップルに、最後のゲームをプレゼントしようと思い立つ店主を描く佳品「スタンス・ドット」をはじめ、山あいの寂びた町の日々の移ろいのなかに、それぞれの人生の甘苦を映しだす川端賞・谷崎賞受賞の傑作連作小説。
(「BOOK」データベースより)


 雪沼という架空の街とその周辺で暮らす、普通の人々の日常を切り取った、微かに重なり合う7つの短編。起承転結が有るような無いような・・・無い。だから、どの作品も、え?ここで終わり!?みたいな終り方。でも、実際の人生にも、絵に描いたように分かりやすい起承転結や序破急なんて存在しないものだ。

 それに「普通の人々の日常」なんて安易にまとめてしまったけど、誰にでもあてはまる「普通の日常」なんてものも、やっぱり無いのだ。人それぞれに生きていて、見ようによっては、みんな普通じゃないし、他人には窺い知れない部分もあるし、ドラマもあるし、それが普通なのだ。

 「普通」なんて無いのが「普通」なのだ。自分の、誰かの、その人生がちっぽけな普通の人生に見えても、本当はその人だけの特別な世界なのだな。


 次は『半島を出よ』(村上龍・著/幻冬舎文庫)。
posted by ふくちゃん at 22:50| Comment(0) | TrackBack(1) | 純文学

2007年08月07日

居眠り磐音 江戸双紙 陽炎ノ辻/寒雷ノ坂


陽炎ノ辻
著者名:佐伯泰英(著)
出版社:双葉社
出版年:2002.04
ISBN :9784575661262


 佐伯泰英氏は今最も売れている時代小説作家。といっても時代小説を書き始めたのは99年からで、それ以降“8年半で10シリーズ100冊、合計1500万部間近!”(『佐伯泰英!』〔宝島社〕)、しかもどのシリーズもまだ完結しておらず、並行して執筆しているというから恐れ入る。

 中でもこの『居眠り磐音 江戸双紙』シリーズは一番人気らしく、現在22巻で累計470万部。第1巻の『陽炎ノ辻』はNHKでドラマ化されて、現在放映中である(ドラマでは『陽炎の辻』)。

 しかし、あまりに著作が多い。

 粗製乱造じゃないの?

 どれどれ、どの程度の作品か読んでやろう・・・などとちょっと意地悪な思いを抱えつつ、第1巻を読み始めた。

 字がデカイぞ、双葉文庫。創元推理文庫の1.5倍はあるな。

 サクサク読める。

 第1巻読了後、我慢できず第2巻『寒雷ノ坂』を購入。これまたあっという間に読み終わった。

 ・・・オモロイがな。


 坂崎磐音は江戸藩邸での3年勤務を終えて、幼馴染の小林琴平、河出慎之輔と3人で豊後関前藩に帰着する。磐音は藩の中老の嫡男であり、琴平・慎之輔らと共に若い力で藩政改革に取り組もうと意欲に燃えていた。

 ところが、妻・舞(琴平の妹)に不義の疑いがあるとの流言に惑わされた慎之輔が舞を手打ちに。それに怒った琴平が慎之輔や流言を撒き散らしたその叔父らを斬殺。藩は琴平の上意討ちを決定、磐音が琴平を斬る羽目に。

 こうして兄弟以上の仲だった親友であり、藩政改革を志す同志であった2人を一度に失った磐音。しかも、琴平は許婚・奈緒の兄である。磐音は藩政改革も奈緒も諦めて脱藩する。

 浪人となり、江戸に舞い戻った磐音は貧乏長屋で食うや食わずの極貧生活、人足仕事などで糊口を凌ぐ。剣の腕前は一流、ふとした縁で両替商・今津屋の用心棒を引き受けるが、幕府の屋台骨を揺るがす陰謀に巻き込まれ・・・。

 で、その陰謀を暴き、解決する磐音の活躍を描くのが『陽炎ノ辻』。


 心に傷を抱えつつも、のほほんと穏やかに、庶民の中で飾り気なく生きる(なにせ普段の仕事は「鰻割き」)磐音のキャラが良い。「居眠り」の異名は、日頃の春風駘蕩ぶりだけでなく、春の陽だまりで居眠りする猫のようにつかみどころがなく、相手のどんな豪剣も真綿でくるむように受け流す彼独特の剣技に由来するもの。

 第2巻でも磐音は様々な人間に雇われ(ヤクザ同士の争いでその片方の用心棒になってしまったり)活躍するわけで、しばらくはこのまま延々とそういう話が続くのかな・・・と思っていたら、琴平・慎之輔・磐音の斬り合いは偶発ではなく、藩政改革に抵抗する守旧派勢力の陰謀らしいことが判明。磐音と関前藩守旧派の闘いも始まるようである。

 人物も剣技も優れた主人公が藩の揉め事で脱藩→江戸で用心棒をしながら貧乏暮らし→藩の陰謀との闘い・・・というパターンは藤沢周平氏の『用心棒日月抄』シリーズと同じ。

 ま、藤沢氏や池波正太郎氏よりも優れているとは思えないが、十二分に楽しめる。

 今津屋の奥女中で長屋の大家の娘・おこんと、奈緒、磐音はこの先三角関係になるのではないかな。そこも気になる(笑)。


 3巻も読みたいが、そのままズルズル22巻まで行ってしまいそうなので、いったん置いて『雪沼とその周辺』(堀江敏幸・著/新潮文庫)を読む。
posted by ふくちゃん at 01:29| Comment(0) | TrackBack(0) | 歴史・時代小説

2007年08月05日

三人目の幽霊


三人目の幽霊
著者名:大倉崇裕(著)
出版社:東京創元社
出版年:2007.06
ISBN :9784488470012


 念願かなって大手出版社に就職したものの、『季刊落語』なるマイナー雑誌に配属された新米編集者と、同じ部署のたった1人の先輩であり上司であるベテラン編集長を主人公にした連作短編ミステリ。


衝撃の辞令を受けて泣く泣く「季刊落語」編集部の一員となった間宮緑は、牧編集長の洞察力に感嘆しきり。風采は上がらず食べ物に執着しない牧だが、長年の経験で培った観察眼に物を言わせ、しばしば名探偵の横顔を見せるのだ。寄席の騒動や緑の友人が発したSOS、山荘の奇天烈も劇的な幕切れはご覧の通り。意表を衝く展開を経て鮮やかに収斂する、妙趣あふれるデビュー連作集。
(「BOOK」データベースより)


 落語を題材にした「日常の謎」系ミステリといえば、北村薫氏の「円紫師匠と私」シリーズが思い浮かぶが、本作には殺人もある。

 あと、意外に読後感が良くない(解説者は表題作を後味が良いと書いているが、そんなふうには思えなかった)。人間の業を見るような気がする。「日常の謎」系ミステリにはそういうものは求めていないのだ。

 真相に辿り着く過程も真相も、切れ味はイマイチかな。

 でも、落語の勉強になって、そこは楽しい。

 多分、続編の『七度狐』(こちらは日常の謎ではないよう)、『やさしい死神』も文庫になったら読むと思う。


 次は、遂に読んでみた“平成の大ベストセラー”佐伯泰英の『居眠り磐音 江戸双紙 陽炎の辻』(双葉文庫)。
posted by ふくちゃん at 22:55| Comment(0) | TrackBack(0) | ミステリ