夕凪の街桜の国 著者名:こうの史代(著)
出版社:双葉社
出版年:2004.10
ISBN :9784575297447
ずっと気になっていた漫画。映画を観たついでにようやく購入した。
映画は2時間弱。こちらはわずか100ページで、すぐ読了。細かい設定の違いはあっても、映画はこの原作にかなり忠実に作られているんだな、セリフなんかも。
原爆投下直前・直後の話ではなく、10年後の昭和30年を舞台にした『夕凪の街』とほぼ60年後の平成16年を舞台にした『桜の国』、時間を隔てた2つの物語。
1つの家族の歴史として描かれることで、原爆がもたらしたもの、そしてそれはまだ終っていないことが確かに伝わってくる。
画風は可愛らしく、筆致はあくまで淡々。時にユーモラスに(『桜の国』は結構笑える)、それぞれの時代の普通の人の日常を描く。
一見、明確な主張はない(ように見える)。だが、原爆投下が引き起こしたことを垣間見せる、ちょっとした描写が胸に沁みてくる。
特に『夕凪の街』のラスト3ページは、漫画であることを放棄したような手法でありながら、漫画でしか為しえない ― 小説や映画では不可能な ― 描写であり、その凄さは特筆モノ。なんともいえない読後感が残る。
映画『夕凪の街 桜の国』レビュー
次は、そろそろミステリ欠乏症なので、『三人目の幽霊』(大倉崇裕・著/創元推理文庫)。

