2007年02月27日

黒猫/モルグ街の殺人


黒猫,モルグ街の殺人
著者名:ポー(著)
     小川高義(訳)
出版社:光文社
出版年:2006.10
ISBN :9784334751104


 世界最古の名探偵が登場する世界最古のミステリ。それがエドガー・アラン・ポー『モルグ街の殺人』である。

 初めて読んだ。

 世界最古(しつこい)の密室トリックである。

 う〜ん、こんな作品だったとは。まさか×ラ××ー×ンが犯人とは!

 意外すぎて笑える・・・。

 伏線の張り方、論理性には難があり過ぎると思うが、確かにここに密室ミステリの原型が示されている。

 女性の悲鳴と男性のなだめるような声、激しい物音。警察や近所の人々が鍵を壊して踏み込んでみると、女性の死体が2つ。隈なく探しても他には誰もいない。窓には内側から鍵がかかっている・・・。

 これが江戸時代の作品なんだから、驚くよなぁ。

 『モルグ街の殺人』のほかには、もうひとつの代表作『黒猫』を含めた短編小説が5つ、評論というかエッセイのような短編が1つ収録されている。『モルグ街〜』は約60ページ、他は20ページ以下。

 短編は、何かに取り憑かれたような語り手が、自己の成し遂げた完全犯罪(と本人は思っている)を密かに誇りながら、遂には自ら犯罪を露見させる道を選んでしまう・・・そんなテイストの話ばかりだが、いずれも読む側を不思議な感覚で包んでしまう。こんなに短いのに小説を読む楽しみはギッシリ。

 読んで良かった。

 今は『あなたに不利な証拠として』(ローリー・リン・ドラモンド著/ハヤカワポケットミステリ)を読んでる最中。
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2007年02月24日

スロウハイツの神様(上・下)


スロウハイツの神様 上
著者名:辻村深月(著)
出版社:講談社
出版年:2007.01
ISBN :9784061825062


 辻村深月さんのデビュー作にして第31回メフィスト賞受賞作(ちなみに第1回受賞作は森博嗣・著『すべてがFになる』)、『冷たい校舎の時は止まる』を買ったのは、装丁がとても良かったから(書店で上・中・下巻を並べてみよう!)。

 ミステリとしては反則ながら、ある意味斬新な真相。そして何よりも、仲良しの高校生の男女数名を主人公に据えたこの作品は、哀切極まりない、優れた青春小説だった。学園・青春ミステリは数多いが、悲痛度ではピカイチだろう。

 それ以降、『子どもたちは夜と遊ぶ』、『凍りのくじら』、『僕のメジャースプーン』と全て読んできたのだが、一作ごとに僕の評価は下降・・・。理由は、ミステリらしさが薄まる一方であること、頭の中でこねくり回して「作りました!」という強い作為を感じてしまうこと(凝った話にしようとしすぎてる気がする)。そうやって内容への評価が下がるにつれて、文章の欠点が反比例のように気になりだした。

 尤もブロガー諸氏の書評では、軒並み高評価のようである。涙した、という書評も拝見した。要は、僕自身がこれらの作品を必要とする状態に無かった、ということかも(読書って、出会いのタイミングで評価が変わることも多いハズ)。

 この作品も上巻を読んでいる間は、欠点に意識が行って仕方なかった。特に気になったのは、1人称と3人称の文章が入り乱れる点と間違った日本語表現(例えば「ばかのはさみは使いよう」)。

 こういうのを直すのが、編集者の仕事だと思うのだが、どうだろう?それともこれも個性と認めているのかな?

 しかし、下巻に入ると、これがもうグイグイ読ませる。欠点もさして気にならなくなる(我ながら適当だ)。伏線の張り方と回収の仕方には、無理があるよなぁ・・・というモノと、上手く考えたなぁ・・・というモノがあるが、総合するとよく考えられたお話であり、爽やかな読後感が残る。出来過ぎ・・・という感も多少あるが。

 というわけで、褒めてないようにも思われるかも知れないけど、結構面白かった。僕の中では、辻村作品の1位が『冷たい校舎の〜』で、2位が『子どもたちは〜』とコレかな。

 あと、講談社ノベルズはミステリ・レーベルだし、この作品もミステリ的手法で書かれているのだが、ほとんどミステリという感じはしない。なので、カテゴリとしては「青春小説」としてみた。ま、カテゴリなんて便宜的なもんで、そんなもの超越・越境した作品も多いんだけど。

 あ、そうそう。この作品、『凍りのくじら』の芦沢光が脇役で登場。こういうの、ちょっと嬉しいね。


 んで、今は『黒猫/モルグ街の殺人』(ポー・著/光文社古典新訳文庫)。
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2007年02月20日

のだめカンタービレ#17


のだめカンタービレ #17
著者名:二ノ宮知子(著)
出版社:講談社
出版年:2007.02
ISBN :9784063406320


 マルレ・オケの定期公演はなんとか成功裏に終了。ホッとするのもつかの間、すぐ間近に次の公演が迫る。

 千秋は、のだめや友人達と一緒に住むアパルトマンを一時的に飛び出し、別の場所で準備に励むが、その様子は少し入れ込み過ぎ、まるで生き急ぎのようでもある。

 一方、のだめもマルレ・オケの演奏と千秋に刺激を受け、ピアノのレッスンに打ち込んでいく。

 それぞれ自分の道を究めるためとはいえ、なんだか2人はちょっとすれ違い気味。

 連載では今どうなってるか知らんけど、この先哀しい展開はゴメンやで。

 でも、千秋とコンマス、そして楽団員とは信頼関係が出来てきたようで、これからのマルレ・オケは楽しみ。

 それともかく、今回は千秋のピアノによる「弾き振り」がある。「弾き振り」って楽器を弾きながら、その演奏でもって指揮することを言うみたい。知らんかった(見たことない)。

 あと今後は、かつて幼かりし息子・千秋(真一)と母を捨てた、ピアニストのパパ・千秋(雅之)との関係も色々ありそう。


 今は『スロウハイツの神様(上・下)』(辻村深月・著/講談社ノベルズ)を読破中。
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2007年02月19日

GO-ONE


GO−ONE
著者名:松樹剛史(著)
出版社:集英社
出版年:2007.01
ISBN :9784087461237


 主人公は、地方競馬のジョッキー(騎手)、日下部一輝。馬の能力も脚質もレース展開も馬場のコンディションもお構いなし。馬に勝たせてもらうのではなく、自分の力で馬を勝たせる、そして全部のレースで勝ちに行くことにこだわり、文字通り鍛え上げた豪腕で馬を強引に走らせる。しかも、自信過剰、傲慢、直情径行。実際に身近にいたら、扱い難いことこの上ないし、「ロスさせることなく、気持ちよく走らせて、馬の能力を最大限に引き出す」ことが絶対視される現実の競馬界には絶対にいない破天荒なジョッキーであるが、そこが最大の魅力。

 ただ、彼がそんなふうになったのには理由があって、かつての一輝は品行方正とまではいかなくても、性格も騎乗の仕方も至ってまとも。その変化の理由は物語の後半で一応明らかになるのだが、もうひとつ説得力が弱い。書き切れていない感じが残った。

 また、第1章は妹であり、厩務員でもある日下部一那、第2章は中央競馬の女性騎手・一之瀬早紀、第3章は一之瀬と同期の中央競馬の騎手・田京康友、そして第4章は一輝本人の視点から物語が紡がれ、一輝の人となりも見えてくるのだが、この手法に関しても十分に効果を上げているとは思われない。

 一那、早紀、田京の3人もそれぞれ魅力あるキャラクターであるが、そこも十分には掘り下げられていないと感じた。

 約240ページの作品で、あっという間に読めるのだが、もっとページを割いて書き込めば、さらに読み応えのある小説になったのではないだろうか?

 現状のままでも面白くないということはないが、いささか軽いというか、ちょっともったいない気がした。


 で、次はもう読み終わった『のだめカンタービレ#17』(二ノ宮和子・著/講談社)。
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2007年02月17日

ほたる館物語2


ほたる館物語 2
著者名:あさのあつこ(著)
出版社:ジャイブ
出版年:2007.01
ISBN :9784861763717


 あさのあつこさんのデビュー作、シリーズ第2弾。

 第1弾の感想では、「一子の真っ直ぐさが眩しい」と褒めたのだが。

 今回は「一子の真っ直ぐさがうっとおしい」と思ってしまった(苦笑)。

 真っ直ぐというより、単なる依怙地のようで。


おばあちゃんが急に「ほたる館を継げ」と言い始め、自分で将来を決めたい一子は反発する。でも、悲しそうなおばあちゃんの顔を見るのはつらい―。はっきりとした性格の一子の心にも、素直に気持ちを伝えられないもどかしさが募っていく。どうすることもできない葛藤の中で、大切なものを見つけ出そうとする少年少女を描いた大好評シリーズ、待望の第二弾。
(「BOOK」データベースより)


 まあ、小学校5年生で将来を決められちゃあ、腹も立つよな。だから一子の気持ちも分かるんだけど。でも、周囲のいろんな人達への接し方全般、もうひとつスッキリしないというか。子供なんだから、あんまり大人びた配慮もどうかとは思うが(笑)。

 同じ著者の代表作『バッテリー』の原田巧に通ずる、媚びない真っ直ぐなキャラクターなんだけど、巧のような魅力は今回僕には感じられなかった。

 あと、巻末の解説では、あさのあつこさんのデビューに至るお話が綴られていて、これはなかなか興味深かった。やっぱ、世に出る人は違う。

 にしても、このシリーズ、やっぱりすぐに1冊読み終わるなぁ。時間単価高い・・・。


 次は、これまたあっという間に読み終わった『GO‐ONE』(松樹剛史・著/集英社文庫)。
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2007年02月15日

ラギッド・ガール


ラギッド・ガール
著者名:飛浩隆(著)
出版社:早川書房
出版年:2006.10
ISBN :9784152087676


  『グラン・ヴァカンス』に続く『廃園の天使』シリーズ第2弾。

 『グラン〜』を文庫本で読んで、あまりに面白かったので、今回は文庫化を待ちきれずに、単行本を即購入(ついでに『グラン〜』も単行本で買い直し!)。で、自宅でちびりちびり、もったいつけて読んでいたのだが。

 いやあ、面白かったぁぁ!堪能した♪

 前作は長編。今作は短編集。

 画期的な仮想リゾート<数値海岸(コスタ・デル・ヌメロ)>の開発過程が明らかにされる表題作『ラギッド・ガール』、その続編と言ってもよいであろう『クローゼット』。いずれも仮想リゾート内ではなく、現実世界(物理世界)が主要舞台となる作品だが、仮想と現実の境界の危うさに目眩に襲われそう・・・。冗談抜きにクラクラするような、得難い読書体験。快感だった!

 そして、<ゲスト>である人間が一切<数値海岸>を訪れなくなる<大途絶(グランド・ダウン)>が、なぜ、どのようにして起こったのかを現実の側と仮想の側から交互に描く『魔術師』。これもまた、不思議な感覚に囚われる作品である。

 映画の『マトリックス』シリーズの1作目を思い起こすな。話は全然違うけど。

 それから、<大途絶>後、間もない時期の<夏の区界>を描く前作の前日譚『夏の硝視体(グラス・アイ)』、<夏の区界>を滅亡に追い込んだ強大なAI(人工知能体)<ランゴーニ>の誕生を描く『蜘蛛(ちちゅう)の王』。この2作は仮想世界内のお話。

 前作で提示された謎の多くは今作で解明されたが、肝心の謎は残った。

 なぜ、前作において、<ランゴーニ>は<夏の区界>を破壊せねばならなかったのか?やはり前作で、ランゴーニをその目的をより強大な敵<天使>との戦いのためだと語ったが、<天使>とはそもそもどんな存在なのか?それは、今作で登場した謎の存在<非の鳥>(“火”ではない)とどう関係するのか?

 その全貌は、シリーズ最終作となる『空の園丁(仮)』で明らかにされるだろう。

 めくるめく飛浩隆氏の創造力。今から楽しみだ。首を長くして待っているぞ!なるべく早い出版を宜しく頼みたい!


 で、次の記事こそ『ほたる館物語2』ということで。
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2007年02月10日

世界でいちばん幸せな屋上 Bolero ミルリトン探偵局シリーズ2


世界でいちばん幸せな屋上
著者名:吉田音(著)
出版社:筑摩書房
出版年:2006.12
ISBN :9784480422941


 早く増刷してくれぇ〜!!という叫びが通じたか、ぶらっと寄ったジュンク堂書店で平積み発見、即買い。でも奥付見たら「第1刷」で、単に品切れだったわけだね。

 今作も装丁・お話共に凝ったつくり。

 “Side A”として、著者の吉田音さんと円田さんによるミルリトン探偵局篇、『シナモンと黒猫』、『鏡の国の入口』、『屋上の楽園』、『雨の日の小さなカフェ』、『チョコレエトをかじりながら書いたあとがき』。今回は黒猫シンクの「おみやげ」に対する推理よりも、小説執筆に艱難辛苦する円田さんが、そこから構想を広げていく様がメイン。見た目シンメトリー(左右対称)の言葉(例えばTAXI、1001、吉田音、非常口、非日常などなど)へのこだわり、言葉遊び(「神戸」=「神様のドア」とか)が楽しい。

 “Side A”に挟まれる“Side B”には、『バディ・ホリー商會』、『世界でいちばん幸せな屋上』、『奏者2‐予期せぬ出来事』、『ボレロ』の4篇。この4篇が互いに、またSideAともリンクする様が巧み、そして不思議。文章の手触りは全然違うけど、村上春樹氏を連想させる。

 著者の吉田音さんは、前回も書いた通り、クラフト・エヴィング商會の吉田篤弘・浩美夫妻の娘さんで、1986年生まれ・・・やっぱり架空の存在みたい。

 まあ、いいや。ぜひ、続編を書いて欲しい。

 夜に猫が身をひそめるところ Think ミルリトン探偵局シリーズ1


 次は、『ほたる館物語2』(あさのあつこ・著/ピュアフル文庫)。あと、『ラギッド・ガール』を連休中に完読予定。
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2007年02月08日

龍の館の秘密


龍の館の秘密
著者名:谷原秋桜子(著)
出版社:東京創元社
出版年:2006.12
ISBN :9784488466022


行方不明の父親を捜すため、倉西美波はアルバイトに励んでいる。今回は、「立っているだけで一日二万円」の仕事。でもバイト先での宴会の末、たどり着いた「龍の館」で、またもや殺人事件が勃発!被害者はなぜ溺死する寸前になるまで助けを求めなかったのか?『天使が開けた密室』で注目を浴びた著者が放つ、清新な本格ミステリ第二弾。未発表短編「善人だらけの街」を併録。
(「BOOK」データベースより)


 これは良かった。

 まず、プロローグの前に「※後半部分に重要な図版が挿入されています。最初にごらんにならないようご注意ください」とあるのが、ミステリ好きの心を躍らせるではないか。

 肝心のストーリーも、様々にちりばめられた伏線が鮮やかに回収されていく様は気分爽快。たったひとつ、この伏線は無理があるな・・・と思った箇所もあるにはあるが・・・。それを説明すると、そのままネタバレになるので、ここで説明できないのがモドカシイ(笑)。

 ま、最後のどんでん返しも効いているし、しっかり楽しめるミステリ。

 しかし、軽いタッチで書かれているので、つい見過ごしてしまいそうだが、被害者が美波とかのこの目の前で死ぬシーンはよくよく考えると(よくよく考えなくても)壮絶である。実際に、こんなことが目前で起こったら、トラウマになりかねん・・・。

 シリーズ前作の『天使が開けた密室』も重たいテーマを含んでるし(これもネタバレになるので説明できまへん)、なかなか油断のならない作家だな、うん。


 んで、次は、『世界でいちばん幸せな屋上 Bolero ミルリトン探偵局シリーズ2』(吉田音・著/ちくま文庫)。
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2007年02月05日

天使が開けた密室


天使が開けた密室
著者名:谷原秋桜子(著)
出版社:東京創元社
出版年:2006.12
ISBN :9784488466015


行方不明の父親を捜すため、倉西美波はアルバイトに励んでいる。そのバイト先で高額の借金を負うハメになり困惑していたところ、「寝ているだけで一晩五千円」というバイトが舞い込んだ。喜び勇んで引き受けたら殺人事件に巻き込まれて…。怖がりだけど、一途で健気な美波が奮闘する、ライトな本格ミステリ。期待のシリーズ第一弾!短編「たった、二十九分の誘拐」も収録。
(「BOOK」データベースより)


 これも復刊モノ。

 親本は富士見ミステリー文庫から2001年に刊行された『激アルバイター・美波の事件簿 天使が開けた密室』。

 富士見ミステリー文庫。

 ・・・読んだこと無い。ラノベ系のようだが。

 「激アルバイター」というネーミングをカットしたのは、さすが創元推理文庫。自らのイメージに合わないということか。ならば賢明な判断。元のタイトルのままだったら、少なくとも僕は絶対手に取らなかっただろう。

 しかし、それにしても表紙が少女趣味過ぎるなぁ。最近こういうカワイイ表紙の本が増えたきたが、ええ年こいたオッサンがレジに持っていくには少々気恥ずかしいのだった。

 内容は、女子高に通う気弱でちょっとドジな美波を主人公に、さすがラノベ系というべきかキャラの立った同級生2人(おっとり浮世離れの超お嬢様とチャキチャキの江戸弁でボーイッシュな美形)を賑やかし(?)に、憎たらしいけど心惹かれるお隣の大学生を名探偵に配したライトミステリ。

 犯人はわりと簡単に想像ついちゃう。

 著者の谷原秋桜子さんは、同じく2001年に続編を出した後、活動休止状態だったよう。目下、その続編たる『龍の館の秘密』(創元推理文庫)を読破中。今年は第3弾として『砂の城の殺人』が刊行されるそうな。

 肩の凝らないミステリを読みたいときには、ピッタリかな。
posted by ふくちゃん at 23:57| Comment(0) | TrackBack(0) | ミステリ

2007年02月03日

崖の館


崖の館
著者名:佐々木丸美(著)
出版社:東京創元社
出版年:2006.12
ISBN :9784488467012


財産家のおばが住まう崖の館を訪れた高校生の涼子といとこたち。ここで二年前、おばの愛娘・千波は命を落とした。着いた当日から、絵の消失、密室間の人間移動など、館では奇怪な事件が続発する。家族同然の人たちの中に犯人が?千波の死も同じ人間がもたらしたのか?雪に閉ざされた館で各々推理をめぐらせるが、ついに悪意の手は新たな犠牲者に伸びる。
(「BOOK」データベースより)


 佐々木丸美さんという著者の存在は知らなかった。1975年〜1984年の9年間に17作品を発表後、沈黙のまま、2005年に逝去。生前は自身の全作品の重版・復刊を拒んでおられたそうだ。復刊が可能になったのは、ご遺族の許可によるものらしい。

 ちなみに、この作品のもともとの親本は、講談社から単行本が1977年(僕10歳)、文庫本は1988年(僕21歳)。

 創元推理文庫は、こうやってちょこちょこ他社の過去の良品・佳品を復刊してくれるので好きだ。それに、「日常の謎」をジャンルとして成立させた功績もあるしね。北村薫氏、加納朋子氏、光原百合氏、坂木司氏との出会いもこの文庫だし。創元推理文庫はミステリ界の良心だ(笑)。

 で、この作品は「館」モノ&「密室」モノである。僕は「館」フリークではないが、「密室」は結構好きだ。

 しかも、ジャンルに関係なく、高校生が主人公の小説が好きだから、これを買わない手はない。

 期待して読んだが、読後感は微妙・・・。

 密室トリックは正直「なぁんだ」である。上手いんだけど驚きというか、やられた!という感じがない。

 数人を除いてペダンチックで理屈っぽい登場人物たち。これがもひとつ好きになれなかった(そういう登場人物を好きになれる場合も多々あるのにな)。ま、嫌いでもないけど。

 本書の解説で、若竹七海氏が「佐々木丸美は語るのが難しい作家なのである。彼女の作品が嫌いなのではない。妙に惹きつけられる。とても気になる。だから読んでしまう。でも大好きとまでは言い切れない。どう評価していいのかわからない」と書いておられる(解説全体の主旨は好意的)が、言いえて妙。

 この「館」シリーズは3部作で、第2弾は2月刊行予定だそう。多分買っちゃうだろう。そう、なぜか気になる。著者の長い沈黙と重版・復刊拒否も含めて。


 じゃ、次回はもう読み終わった『天使が開けた密室』(谷原秋桜子・著/創元推理文庫)を。
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2007年02月01日

ηなのに夢のよう


ηなのに夢のよう
著者名:森博嗣(著)
出版社:講談社
出版年:2007.01
ISBN :9784061825147


地上12メートルの松の枝に首吊り死体が!遺されていたのは「η(イータ)なのに夢のよう」と書かれたメッセージ。不可思議な場所での「η」の首吊り自殺が相次ぐなか、西之園萌絵は、両親を失った10年まえの飛行機事故の原因を知らされる。「φ」「θ」「τ」「ε」「λ」と続いてきた一連の事件と天才・真賀田四季との関連は証明されるのか?Gシリーズの転換点、森ミステリィ最高潮。
(「BOOK」データベースより)

・・・ということなんだが、これ単体ではもはやミステリではない。
だって、5人の自殺者は自殺のまま、終るんだもんな。

 明らかに不可能状況での死。互いに無関係な5人なのに、現場には「ηなのに夢のよう」という共通のメッセージが。

 むむむ。

 真相はこの後の巻で・・・?

 S&Mシリーズ→Vシリーズ→四季シリーズと来て、このGシリーズ(何で「G」なのか?誰かアホな僕にご教授を・・・)。

 「S&M」と「V」は、それぞれシリーズ単独で楽しめるけど「四季」と「G」は初期の2シリーズを読んでいないと、ワケが分からん。

 しかし、僕の場合、最初からずっと読んでいても、「四季」や「G」の中に込められているであろう「仕掛け」を、半分も理解できていないと思われる。どなたか解説本を書いてくれぇ・・・。

 Gシリーズは一体どこに着地するのだろう・・・?


 現在は『崖の館』(佐々木丸美・著/創元推理文庫)を読んでるところ。
posted by ふくちゃん at 00:02| Comment(0) | TrackBack(0) | ミステリ