2006年11月25日

水滸伝・二 替天の章


水滸伝 2
著者名:北方謙三(著)
出版社:集英社
出版年:2006.11
ISBN :4087460940


 北方水滸伝の第2弾。

 水滸伝とは、北宋の徽宗(きそう)皇帝時代、腐敗した朝廷を倒し、新たな国を打ちたてようと梁山泊を根拠地に闘う108人の英雄好漢たちの物語。

 とは言っても、宋江(そうこう)を首領とする「36人」が梁山湖の近辺で反乱を起こしたという史実を基に、創作された物語だそう(Wikipediaより)。

 ふ〜ん。


 天然の要害である梁山湖の山寨(さんさい)には、王倫を首領として時の朝廷への反乱を志向する3000人が集まっている。

 しかし、強大な朝廷を前に、王倫は当初の志を忘れ、「今は力を蓄える時期」と言を弄して幹部や兵の不満を抑えながら、実質的には民間人を襲う盗賊と成り果てている。

 もはや、山寨における自分の地位を守ることだけに汲々とする「お山の大将」状態。

 この第2巻では、朝廷に気付かれぬよう、着々と準備を整えてきた宋江と晁蓋(ちょうがい)達が、知略を尽くして王倫を追い落とし(「志」を捨てていなければ、彼も仲間になれたのだが・・・)、山寨と3000の兵を手に入れ、山寨を「梁山泊」と命名、堂々と「替天行道」=「天に替わって道を行う」=「世直し」の旗を掲げるまでが描かれる。

 なかなか面白かった。

 敵となる「朝廷」というか「官軍」にも、「青蓮寺(せいれんじ)」という優秀な人材で構成される強力な組織があり、知謀を尽くした闘いがこれから展開されていきそうである。

 わくわくしてきた。

 一点だけ不満を挙げるなら、108人のひとり武松(ぶしょう)と、その兄と結婚した愛する幼馴染の女性との交情を描く冒頭の章はいらんかな。

↓『水滸伝』に関する他の記事はこちら。
水滸伝・一 曙光の章

 次の読書は、『グレート・ギャツビー』(スコット・フィッツジェラルド・著/村上春樹・訳/中央公論新社)。
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2006年11月20日

ほたる館物語1


ほたる館物語 1
著者名:あさのあつこ(著)
出版社:ジャイブ
出版年:2006.11
ISBN :4861763576


もう読んじゃった。

だって、あとがき入れて156ページしかないんだもんなぁ。

行間も空いてるし。

これで500円(税別)は高いと思う。

3部作で、1月に第2巻が出るようだけど、3部で1冊にしてもらいたかった。

関西は湯里温泉郷(架空の地だと思う)の老舗旅館「ほたる館」の女将の孫娘=若女将の娘・一子(いちこ/小学校5年生)を主人公とした作品だが、物語自体は清々しい感じでなかなか良い。

あさのあつこ氏のデビュー作(親本は15年前の出版)で、いわゆる児童文学である。

しかし、僕がわざわざ言い立てるまでもなく、良い児童文学は大人の鑑賞にも堪えるのだ。

一子の真っ直ぐさが眩しい。

次は『水滸伝・二 替天の章』(北方謙三・著/集英社文庫)。
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カラマーゾフの兄弟1


カラマーゾフの兄弟 1
著者名:ドストエフスキー(著)
     亀山郁夫(訳)
出版社:光文社
出版年:2006.09
ISBN :4334751067


 読書好きというわりには、学校の教科書以外では、古典的名作と呼ばれている作品を意外に読んでいない。

 それでは真の読書狂とは言えんのじゃないか・・・と思う今日この頃。

 そこで、ロシアが生んだ巨匠ドストエフスキーの『カラ兄』である。

 ドストエフスキーについては、若い頃『罪と罰』にチャレンジして即挫折したという過去がある。

 しかし、『カラ兄』は、敬愛する村上春樹氏も大推薦する作品。

 いつかは絶対読もうと思っていた。

 そんなところへ創刊されたのが、「いま、息をしている言葉で。」というキャッチの光文社古典新訳文庫。

 装丁が良い。

 これにしよう。ジャケ買いである。

 そんなわけで、まず4部作の第1巻を読んでみた。

 ・・・う〜ん。

 まだ、導入部なので何とも言えないが、この作品が書かれたときのロシアの時代・文化・宗教的背景やキリスト教に対する知識がないと、なかなか難しいのかな、という感じだ。

 だが、どんな作品も途中で投げ出さないのが、今のモットー。

 それに村上春樹氏も「たしかにこの小説の中の宗教関係の部分は、一般読者にはいささか読みにくい」が、「そのうちにだんだん『なるほど、そういうことなのか』」ということになると言っておられる(『ひとつ、村上さんでやってみるか』より。現在、これも並行して読破中)。

 全4巻必ず読むぞ。

 それはさておき、この古典新訳文庫では、『リア王』、『初恋』、『ちいさな王子』(星の王子様)、『飛ぶ教室』、『黒猫/モルグ街の殺人』、『クリスマス・キャロル』、『グレート・ギャッツビー』などが刊行される。

 意欲的な試みであると評価したい。

 僕に評価されても、仕方がないか。

 『星の王子様』は、定番の翻訳は昔に読んだし、新訳も倉橋由美子版を読んだので、もういいや。『グレート・ギャッツビー』も定番は昔読んだし、先日出版された村上春樹版を読むつもり。

 でも、その他は、読んでみたい。今後のラインナップも楽しみだ。装丁も良いし(これ重要)。 

 とりあえず、『カラ兄』は一呼吸置いて、次は『ほたる館物語1』(あさのあつこ・著/ピュアフル文庫)。 
posted by ふくちゃん at 00:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 古典的名作

2006年11月13日

ZOKU


ZOKU
著者名:森博嗣(著)
出版社:光文社
出版年:2006.10
ISBN :4334741371


 犯罪未満の、しかし大規模で迷惑な悪戯を世間に仕掛ける「悪」の組織<ZOKU>=Zionist Organization of Karuma Undergroundと、それを阻止しようとする「正義」の組織<TAI>=Technological Abstinence Instituteの戦い?を描く物語。

 なんだこの小説?

 いったい何を目的に書かれたのだ?

 森博嗣氏は、一体何を考えているのか?

 読書に「感動」を求める人。

 読書に「教訓」を求める人。

 読書に「有意義な時間」を求める人。

 とにかく、読書に「何がしかの意味」を求める人。

 そういった方には、まったく読む価値のない小説。

 読むだけ時間の無駄。

 ・・・こんなことを書くと、まるでこの作品を嫌っているように聴こえると思うが、さにあらず。

 なんせ、僕は森氏の作品が好きなんである。

 彼のキャラクタ造形、文章・文体は個性的でキュートである。

 時に登場人物のセリフや地の文章にハッとさせられたり、新鮮な視点を提供されたりするところも刺激的である。

 でも、これは何を置いてもよまなきゃダメ!という作品ではないな。

 何か軽いもの、肩の凝らないものを読みたいときにどうぞ。

 次は、『カラマーゾフの兄弟1』(ドストエフスキー・著/光文社古典新訳文庫)。
posted by ふくちゃん at 00:10| Comment(0) | TrackBack(0) | その他

2006年11月09日

プラネタリウムのふたご


プラネタリウムのふたご
著者名:いしいしんじ(著)
出版社:講談社
出版年:2006.10
ISBN :4062755254


 これ最高。とっても×10、素敵な物語。

 主な登場人物は、

●テンペルとタットル
赤ん坊の時、村のプラネタリウムの座席下に捨てられていた双子。名前はテンペルタットル彗星にちなんで。毎日プラネタリウムの中で星を見ながら成長した、ちょっと風変わりな2人だが、テンペルは郵便配達夫から世界トップ級の手品師に、タットルは郵便配達夫兼プラネタリウムの優秀な投影技師+解説員になる。

●泣き男
プラネタリウムの投影技師+解説員。タットルが共に働くまでは、プラネタリウムのただ1人の職員。赤ん坊の双子を引き取り、名付けて育てた「父」。卓越した星の語り部。

●目の見えない老女
山の真っ暗な熊の精と呪文で通じ合う魔女(?)。星占いに通じており、予言も行う。取っ付きにくい人柄だが、やがて様々な意味でタットルを救うことになる。

●テオ
世界を旅する手品師の一座の座長。腕は超一流。率いるメンバーは、下半身のない「うみがめ氏」、手品師として能力がありながらピエロに徹する「兄」、一座のスケジュール管理も担当する「妹」、近視の老馬「プランクトン」、ウイスキー呑みの熊「パイプ」。ひょんなことからテンペルもメンバーとなる。ちなみに「兄」と「妹」の血は繋がっていない。

●栓抜き
美しく整った顔と爽やかな笑顔の奥に荒んだ心を持つ、キャバレーの給仕の少年(12〜13歳)でスリも働く。だが、心の奥底に純粋で傷つきやすい魂が震えている。テオの跡を継いで座長となったテンペルの手品に触れることで変わっていくが、テンペルの人生に重大な影響を及ぼす。

など。

 ストーリーを説明しても、何が面白いのかは全く伝わらないと思うので、割愛。

 結末は少し物悲しいけれど、楽しく、微笑ましく、感動的な実に心温まる珠玉の作品。

“『いいかい、あんたにはここで、あたしの手伝いなんざできっこない。かえって迷惑なくらいさ。ただ、この部屋の外じゃ、あんたにしかできないってことも、ほんの少しくらいならある。いまはまだ、わかんないだろうがね。あんたじゃなきゃ務まらない、って役柄が、この世にはちゃあんと用意されてる。星の動きでね、ぜんぶそうきまっているんだよ。あたしだってね、あんたと同じように、結局、自分にできることしかできやしない。ただ大事なのは、その仕事だけは、ぜったいに手をぬかずやりとおすことだよ。』”

“空のかなたでゆっくりとおおきく、姿かたちをかえていく星々たちにくらべ、けしつぶほどの時間しか与えられていないことを、ぼくはいま、こころから幸運におもっています。「永遠」を信じられるから。たとえそれが見せかけの永遠だとしても、ぼくのなつかしいうちは、「永遠に」かたちをかえない星々のもと、いまもそこにある、と、そんなふうにおもえるからです。”

 超オススメ。

 んでもって、お次は『ZOKU』(森博嗣・著/光文社文庫)を読む。
posted by ふくちゃん at 00:52| Comment(0) | TrackBack(1) | ファンタジー・幻想文学

2006年11月03日

水滸伝・一 曙光の章


水滸伝 1
著者名:北方謙三(著)
出版社:集英社
出版年:2006.10
ISBN :408746086X


 いわゆるハードボイルド作家としての北方謙三氏の作品には全く興味がなかった。これからも多分読まない。

 しかし、北方『三国志』には嵌った。吉川英治、柴田錬三郎、陳舜臣といった有名作家によるものが先行作品として存在していたわけだが、いずれも読んでいない。

 それなのに、なぜ北方氏の作品を読もうと思ったのか、今となっては思い出せないが、蜀の劉備玄徳・諸葛亮孔明・関羽・張飛、魏の曹操孟徳・夏侯惇・夏侯淵、呉の孫策・孫権・周愉、このほか多くの魅力的な「漢(おとこ)」が登場し、大変面白かった。全13巻の長い物語をあの熱いテンションで読ませるのは凄いことだ。

 そんな北方氏が『三国志』の次に選んだのが、『水滸伝』(・・・に関する基本知識は、こちらをどうぞ)。

 『三国志』以上の傑作ということで、文庫本になるのをずっと待っていた。まあ、何かヒット作が出ると、その後の作品は「あの○○を超える(あの○○に並ぶ)最高傑作」、その前の作品は「あの○○へと繋がる作品」と宣伝されるのは常套手段だが。

 北方『水滸伝』は、10月から毎月刊行で、全19巻。最後の刊が出るのは、2008年4月。登場人物は原典の108人に、北方氏オリジナル・キャラを加えた総勢111人!

 壮大である。

 第1巻だけでも既に53人が登場(名前だけの登場も含む)。腐り切った時の政府(12世紀の北宋)をぶち壊し、新しい理想の国を打ち立てようする男達が徐々に集結していく様が描かれている。

 リーダー的な存在である宋江(そうこう)と晁蓋(ちょうがい)が、なぜこれほどまでに多くの男を惹き付けるのか、その魅力はまだ十分には伝わってこないが、長い物語のほんの導入部に過ぎないから、今後に期待しよう。

 次は、『プラネタリウムのふたご』(いしいしんじ・著/講談社文庫)を読む。
posted by ふくちゃん at 01:21| Comment(2) | TrackBack(2) | 歴史・時代小説