2010年02月07日

食堂かたつむり


食堂かたつむり
著者名:小川糸(著)
出版社:ポプラ社
出版年:2010.01
ISBN :9784591115015


 単行本が出たときから気にしていた話題作。柴咲コウ主演で映画化。それなりに期待して読んだのだが。


・内容
同棲していた恋人にすべてを持ち去られ、恋と同時にあまりに多くのものを失った衝撃から、倫子はさらに声をも失う。山あいのふるさとに戻った倫子は、小さな食堂を始める。それは、一日一組のお客様だけをもてなす、決まったメニューのない食堂だった。巻末に番外編収録。
(「BOOK」データベースより)


 これは小説ではない。小説になりそこなった、ただの散文である。

 これが20万部(だっけ?)も売れるとは・・・。

 文章が下手過ぎる。

 言葉・表現の無駄な重複が多い。文章を推敲をしているのであろうか?手なりで書いてそのままではないのか?文章を練りに練っていたら、まともな小説になっていたかもしれない。推敲を重ねてこの程度なら文才がない。いったい、編集者は何をしてる?

 肝であるはずの料理や食事のシーンもさっぱりだ。読んでいても生唾が湧いてこない。たとえば、池波正太郎、宮部みゆき、北森鴻の各氏の作品を読んで勉強せよ!と言いたくなる。

 終盤の豚のフルコースだけは圧巻。だが、所詮はただメニューを並べただけのことだ。

 人物の描き方も全然足りない。

 久々に「金返せ」と思える作品だが、もっと良くなる可能性もあった。残念だ。

 映画は普通に作れば原作を越えるはず。


 次は『でかい月だな』(水森サトリ・著/集英社文庫)。
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2010年02月05日

このミステリーがすごい!


このミステリーがすごい! 2010年版
著者名:
出版社:宝島社
出版年:2009.12
ISBN :9784796675208


 もう大勢の人がご存知だろうが、ベスト10は以下の通り。

国内編
1位 新参者(東野圭吾)
2位 ダブル・ジョーカー(柳広司)
3位 Another(綾辻行人)
4位 追想五断章(米澤穂信)
5位 犬なら普通のこと(矢作俊彦+司城志朗)
6位 粘膜蜥蜴(飴村行)
7位 仮想儀礼(篠田節子)
8位 暴雪圏(佐々木譲)
9位 竜神の雨(道尾秀介)
10位 秋期限定栗きんとん事件(米澤穂信)

海外編
1位 犬の力(ドン・ウィズロウ)
2位 ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女(スティーグ・ラーソン)
3位 ユダヤ警官同盟(マイケル・シェイボン)
4位 バッド・モンキーズ(マット・ラフ)
5位 ソウル・コレクター(ジェフリー・ディーヴァー)
6位 グラーグ57(トム・ロブ・スミス)
7位 川は静かに流れ(ジョン・ハート)
8位 泥棒が1ダース(ドナルド・E・ウェストレイク)
9位 ミレニアム2 炎と戯れる女(スティーグ・ラーソン)
10位 リンカーン弁護士(マイクル・コナリー)
10位 ミレニアム3 眠れる女と狂卓の騎士(スティーグ・ラーソン)

 国内編では唯一10位の『秋期限定栗きんとん事件』だけ読了。この作品と6位の『粘膜蜥蜴』以外は単行本だからな。最近はあまりホラーに食指が動かない。

 文庫になったら読みたいのは、1〜4位と8位かな。

 海外編では3位と6位を読んだ。個人的には6位の『グラーグ57』の方が、3位の『ユダヤ警官同盟』より好み。文庫本が多いので、最新作でも国内編よりリーズナブル。やっぱり1位は読んでみたい・・・と思って、本屋で手にとっては戻してしまう日々。どうしよかなぁ〜。


 次は、『食堂かたつむり』(小川糸・著/ポプラ文庫)。
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2010年02月04日

ユダヤ警官同盟


ユダヤ警官同盟 上巻
著者名:マイケル・シェイボン(著)
     黒原敏行(訳)
出版社:新潮社
出版年:2009.04
ISBN :9784102036112



ユダヤ警官同盟 下巻
著者名:マイケル・シェイボン(著)
     黒原敏行(訳)
出版社:新潮社
出版年:2009.04
ISBN :9784102036129


 「このミス(海外編)」&「ミステリが読みたい(海外総合)」、共に3位。そして、下の紹介文にある通り、アメリカの権威あるSF賞=ヒューゴー、ネビュラ、ローカスを総ナメ。だけど、同じく権威あるミステリ賞=エドガー、ハメットは落選。

 いったい、どんな作品なんだ?という興味で購入。


・上巻内容
安ホテルでヤク中が殺された。傍らにチェス盤。後頭部に一発。プロか。時は2007年、アラスカ・シトカ特別区。流浪のユダヤ人が築いたその地は2ヶ月後に米国への返還を控え、警察もやる気がない。だが、酒浸りの日々を送る殺人課刑事ランツマンはチェス盤の謎に興味を引かれ、捜査を開始する − 。ピューリッツァー賞受賞作家による刑事たちのハードボイルド・ワンダーランド、開幕。ヒューゴー賞、ネビュラ賞、ローカス賞3冠制覇。
(「BOOK」データベースより)

・下巻内容
マフィアが巣食い、宗教指導者が影響力を揮うシトカの街を、深い傷を負った刑事の魂が彷徨う。殺された若者はチェスの天才だった。神童。奇跡の子。ユダヤ人の間で囁かれる救世主伝説。警察ばかりか、幾多の勢力が事件を葬り去ろうとするなか、相棒ベルコと暴走気味に捜査を続けるランツマンはある事実に気づくが − 。故郷喪失者の挽歌が響くハードボイルド・ミステリ大作、佳境へ。2008年度のヒューゴー賞、ネビュラ賞、ローカス賞というSFの主要3賞を制覇。エドガー賞長篇賞、ハメット賞最終候補。
(「BOOK」データベースより)


 どこがSFかというと、要する歴史改変モノ。

 ユダヤ人が建国したイスラエルはあえなく崩壊し、アメリカ・アラスカ州に用意された特別自治区にその多くが暮らしてきた。だが、今は特別区のアメリカ返還を控え、海外移住する者もいれば、アメリカ永住権を取得しようとする者もいて、警察などの公務もアメリカ人に引き継がれる・・・という状態。ついでに、満州国が存続している(ストーリーには全く関与しない)。

 しかし、ただそういう設定だ・・・というだけで、別に「SFだ!」とは個人的には感じなかった。

 主人公ランツマンは、かつては優秀な刑事。同僚の妻と別れた後はうらぶれて低迷。しかし、特別区返還に備えて、すべての未解決事件を意図的に迷宮入りさせて、治安上、建前は「まっさら」にしてアメリカに引き継げ・・・という上層部の指示に反発して、上司として戻ってきた妻の元、出会った最後の殺人事件の解決に力を注ぐ・・・。

 ランツマンの傷ついた魂、同僚や妻との遣り取り・・・至極真っ当なハードボイルドミステリ。


 次は、『このミステリがすごい!2010年版』(宝島社)。
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2010年01月31日

ワーキング・ホリデー


ワーキング・ホリデー
著者名:坂木司(著)
出版社:文藝春秋
出版年:2010.01
ISBN :9784167773335


 特に触れるつもりはなかったが、つい先日、私の好きなミステリ作家のひとり、北森鴻氏が亡くなった。まだ48歳である。意外なほど話題にならないので、やっぱり触れてみた。香菜里屋シリーズ、冬狐堂シリーズ、蓮丈那智シリーズ、どれも好きだった。香菜里屋シリーズは完結したが、他の2つはもう続きが読めない。残念だ。


 さて、坂木司氏である。坂木氏といえば「日常の謎」派ミステリ。さあ、今度はどんな謎だ?


・内容
「初めまして、お父さん」。元ヤンでホストの沖田大和の生活が、しっかり者の小学生・進の爆弾宣言で一変!突然現れた息子と暮らすことになった大和は宅配便ドライバーに転身するが、荷物の世界も親子の世界も謎とトラブルの連続で…!?ぎこちない父子のひと夏の交流を、爽やかに描きだす。文庫版あとがき&掌編を収録。
(「BOOK」データベースより)


 ・・・と思いながら読み続けたが、遂に謎も事件も登場せず。

 ミステリじゃなかったのか・・・。

 でも、楽しかったし、ホロリと来た。

 展開は多少ベタだけど、狙ってのことだろう。

 けなげな進。父親としての愛情に目覚めていく大和。2人を見守る周囲の先輩や仲間。ハート・ウォーミングでホッとする小品だ。

 続きが読みたい。


 次は『ユダヤ警官同盟(上・下)』(マイケル・シェイボン著/新潮文庫)。
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2010年01月28日

風は山河より 第五巻・第六巻


風は山河より 第5巻
著者名:宮城谷昌光(著)
出版社:新潮社
出版年:2009.12
ISBN :9784101444550



風は山河より 第6巻
著者名:宮城谷昌光(著)
出版社:新潮社
出版年:2009.12
ISBN :9784101444567


 仕事が忙しく、更新が停滞・・・。読み終えてかなり時間が経ったので、細かいところは忘れた。


・第五巻 内容
2万の軍勢を率いて尾張に進攻した今川義元であったが、桶狭間で信長の寡兵に敗れ命を落とす。父の死、弟の謀叛を乗り越え、元康に属く決心をした菅沼定盈は、その手腕で信頼を勝ち得るも、人質にとられた妻を殺され、守るべき野田城を奪われるという悲運に見舞われる。甲斐では、今川と松平の熾烈な争いを横目に、信玄が不穏な動きを見せ始めていた。時代が激動の様相を呈する第5巻。
(「BOOK」データベースより)

・第六巻 内容
三河制圧に意欲を燃やす信玄は、ついに三方原にて家康と激突する。圧倒的軍勢を誇る武田軍を前に、勝敗は呆気なく決し、家康は敗走。窮地に追い込まれた徳川軍の最後の砦は、野田城に篭もる菅沼定盈のみ。勢いづく敵は3万、守るは400。絶体絶命の中、定盈は1ヵ月に亘る大攻防を繰り広げる。並居る武将を唸らせた男はいかに生きたのか。菅沼三代を描いた歴史巨編、堂々の完結。
(「BOOK」データベースより)


 松平元康から名を改めた徳川家康に、織田信長、武田信玄・・・。群雄割拠であるが、菅沼定盈が凄い。ま、主人公だから当然だが。

 一度は奪われた野田城を奪回した後、周囲の目を眩まして秘かに大修復を行い、信玄の侵攻に備え、大軍勢を相手に孤立無援の篭城戦を耐え切るのである。“敵は3万、守るは400”というのは史実らしいから、恐れ入る。

 信玄・信長が賞賛し、家康が厚く信頼した武将・菅沼定盈。だが、祖父や父という存在があったればこそ、定盈がある。

 安城三代の物語(『警官の血』)も良かったが、菅沼三代の物語も面白かった。


 次はこれまた読後の時間経過が著しい、『ワーキング・ホリデー』(坂木司・著/文春文庫)。
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2010年01月16日

警官の血(上・下)


警官の血 上巻
著者名:佐々木譲(著)
出版社:新潮社
出版年:2009.12
ISBN :9784101223223



警官の血 下巻
著者名:佐々木譲(著)
出版社:新潮社
出版年:2009.12
ISBN :9784101223230


 2008年版『このミステリーがすごい!』の国内作品第1位。


・上巻内容
昭和23年、警察官として歩みはじめた安城清二は、やがて谷中の天王寺駐在所に配属される。人情味溢れる駐在だった。だが五重の塔が火災に遭った夜、謎の死を遂げる。その長男・安城民雄も父の跡を追うように警察学校へ。だが卒業後、その血を見込まれ、過酷な任務を与えられる。大学生として新左翼運動に潜りこめ、というのだ。三代の警官の魂を描く、空前絶後の大河ミステリ。
(「BOOK」データベースより)

・内容
安城民雄は、駐在として谷中へと還ってきた。心の傷は未だ癒えてはいない。だが清二が愛した町で力を尽くした。ある日、立てこもり事件が発生し、民雄はたったひとりで現場に乗り込んだのだが−。そして、安城和也もまた、祖父、父と同じ道を選んだ。警視庁捜査四課の一員として組織暴力と対峙する彼は、密命を帯びていた。ミステリ史にその名を刻む警察小説、堂々たる完結篇。
(「BOOK」データベースより)


 ミステリというよりは、あくまで三代に渡る親子の血の物語として読んだ。

 自殺として処理された初代・清二の謎の死。その死の謎を解いたことで、自分もまた死に誘われた二代・民雄。

 祖父と父の死の奥に何があるのか、誰がいるのか・・・謎に迫る三代・和也。

 まあ、誰がいるのかは途中で何となく分かるし、ミステリとして「そうだったのか!」という驚きは別にない。

 しかし、戦後の貧しい世の中で食うために警察官になった男と、その背中を見て育った子供と孫、3人の男の人生を描いた骨太の大河小説として読み応えがあった。

 和也が選んだ生き方をどう受け止めるか。読む者は皆、複雑な思いに読後、囚われるだろう。


 次は、『風邪は山河より(第五巻・第六巻)』(宮城谷昌光・著/新潮文庫)
posted by ふくちゃん at 18:22| Comment(0) | TrackBack(1) | 警察小説

2010年01月14日

居眠り磐音 江戸双紙 荒海ノ津


居眠り磐音 江戸双紙 荒海ノ津
著者名:佐伯泰英(著)
出版社:双葉社
出版年:2007.04
ISBN :9784575662788


 心のオアシス、『居眠り磐音』シリーズ。


・内容
玄界灘の荒波が初冬の気配を漂わす頃、豊後関前を発った坂崎磐音とおこんは筑前博多に辿り着く。福岡藩の御用達商人箱崎屋次郎平の招きに応えての訪いであった。到着早々、磐音は旅の武芸者に絡まれた若侍と武家娘を助けるのだが…。春風駘蕩の如き磐音が許せぬ悪を討つ、著者渾身の書き下ろし痛快長編時代小説第22弾。
(「BOOK」データベースより)


 今回は、磐音の話より、江戸暮らしの友人、貧乏御家人・品川柳次郎に“浮いた話”が出たところが良かった。こんなに実直で良い男なのに、22巻もの間、恋の話はなし(人のことはいえない私だが^^;)。磐音はモテモテ、あの周囲に迷惑ばかりかける(愛すべき)酔いどれ侍・竹村武佐衛門でさえ、女房・子供がおるというのに。

 磐音には、そろそろ江戸に戻って欲しいぞ。


 次は『警官の血(上・下)』(佐々木譲・著/新潮文庫)。
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2010年01月11日

卒業


卒業
著者名:東野圭吾(著)
出版社:講談社
出版年:1989.05
ISBN :9784061844407


 加賀恭一郎シリーズの中で、なぜかこの最初の1冊だけを読んでいなかった(単行本を除く)。


・内容
卒業を控えた大学4年の秋、1人の女子大生が死んだ。親友・相原沙都子は仲間とともに残された日記帳から真相を探っていく。鍵のかかった下宿先での死は自殺か、他殺か。彼女が抱えていた誰にも打ち明けられない秘密とは何だったのか。そして、第2の事件が起こる。刑事になる前の加賀恭一郎、初登場作。
(裏表紙より)


 刑事になって以降の加賀とはやはり雰囲気が少し違う。冷静で粘り強いところは同じだが、若さゆえの“自信”(“傲慢”と言い換えても良い)や、軽みがある。

 自分の思いも率直に口にする場面が多いし、「加賀も若かったんやなぁ」などと感慨を抱いたりして(笑)。

 この順番で読んだおかげで、かえって味わい深かったかも。

 第1の事件は密室、第2の事件は衆人環視の中と、「いかにも」の不可能状況下。図解も豊富(笑)。トリックは、分かってみると「なぁんだ」であって、「やられた!そう来たか!」という驚きはあまりない。まあ、こちらは読む側であって、考える側じゃないので、気楽にそういうことが言えるのだが(笑)。


 次は、『居眠り磐音 江戸双紙 荒海ノ津』(佐伯泰英・著/双葉文庫)。
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2010年01月07日

妖怪アパートの幽雅な日常3


妖怪アパートの幽雅な日常 3
著者名:香月日輪(著)
出版社:講談社
出版年:2009.12
ISBN :9784062765329


 第1巻、第2巻と面白く読んだものの、今後どのように話を展開させていくかが難しいな、このシリーズは・・・と、注目していた第3巻。


・内容
何の因果か「魔道書」に封じ込められた妖魔たちの使い手となった夕士。だが使えない妖魔揃いで、現実離れした日々ながら将来の夢は相変わらず手堅く公務員かビジネスマン。そんな夕士が通う条東商業高校に幽霊話が降ってわいた。妖怪アパートの住人たちの助けを借りて、夕士は取り憑かれた男を救えるか。
(「BOOK」データベースより)


 第2巻でひょんなことから、魔道書『小(プチ)ヒエロゾイコン』の主人(マスター)となった夕士。

 高校生活を普通に過ごしながらも、同じ妖怪アパートに住む、魔道書使いの「古本屋」や高校生霊能者の秋音ちゃんの力を借りて、一人前の妖魔使いになるため修行に励む。

 しかしながら、『小(プチ)ヒエロゾイコン』は、本物の魔道書『ヒエロゾイコン』のミニ版であり、パロディ版。なので、そこに封じられた妖魔たちも、頼りになるような、ならないような半端モンばかり。それが笑いのアクセントになっている。

 この巻のキモである幽霊騒動そのものは、別に感心するほどのストーリーではないが、使えない妖魔たちの活躍(?)が絡んできて、楽しい。

 そして、両手首だけの幽霊るり子さんが作る飯は、相変わらす旨そうである。


 次は、『卒業』(東野圭吾・著/講談社文庫)。
posted by ふくちゃん at 20:04| Comment(0) | TrackBack(0) | ファンタジー・幻想文学

2010年01月03日

孤宿の人(上・下)


孤宿の人 上巻
著者名:宮部みゆき(著)
出版社:新潮社
出版年:2009.11
ISBN :9784101369310



孤宿の人 下巻
著者名:宮部みゆき(著)
出版社:新潮社
出版年:2009.11
ISBN :9784101369327


 謹賀新年。

 年末にひいた風邪は95%回復したが、まだ鼻と喉が若干おかしい。咳も少々。

 長引いている。トシか。。。

 さて、『孤宿の人』である。

 帯の惹句“加賀様は鬼だ、悪霊だ”を見て、ちょっと不安だった。ホラーや超常現象モノも嫌いではないのだが、なぜか時代物とそれらの組み合わせは好きじゃないのだ。具体的には宮部氏の『霊験お初捕物控』シリーズのことだが(笑)。


・上巻内容
北は瀬戸内海に面し、南は山々に囲まれた讃岐国・丸海藩。江戸から金比羅代参に連れ出された九歳のほうは、この地に捨て子同然置き去りにされた。幸いにも、藩医を勤める井上家に引き取られるが、今度はほうの面倒を見てくれた井上家の琴江が毒殺されてしまう。折しも、流罪となった幕府要人・加賀殿が丸海藩へ入領しようとしていた。やがて領内では、不審な毒死や謎めいた凶事が相次いだ。
(「BOOK」データベースより)

・下巻内容
加賀様は悪霊だ。丸海に災厄を運んでくる。妻子と側近を惨殺した咎で涸滝の屋敷に幽閉された加賀殿の崇りを領民は恐れていた。井上家を出たほうは、引手見習いの宇佐と姉妹のように暮らしていた。やがて、涸滝に下女として入ったほうは、頑なに心を閉ざす加賀殿といつしか気持ちを通わせていく。水面下では、藩の存亡を賭した秘策が粛々と進んでいた。著者の時代小説最高峰、感涙の傑作。
(「BOOK」データベースより)


 知的な面ではパッとしないが、不幸な身の上ながらも、どこまでも純粋無垢な少女“ほう”。

 世俗にまみれ、時に真実や信念に目を瞑り、清濁併せ呑まねばならない不条理を生きていく大人達。

 ほうと大人達のぶつかり合いや触れ合いが、こちらの情動を激しく揺さぶる。

 こんなに自分の喜怒哀楽に振り回された作品もちょっと珍しい。

 購入前に感じた不安は、杞憂だった。

 宮部氏の時代物としては、『初ものがたり』か『日暮らし』がナンバー1・・・と思っていたが、それに匹敵するぞ、これは!


 次は、『妖怪アパートの幽雅な日常3』(香月日輪・著/講談社文庫)。
posted by ふくちゃん at 20:47| Comment(6) | TrackBack(0) | 歴史・時代小説